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気になるアート.com 「物語と絵画シリーズ」

「 観世音菩薩普門品 」 と絵画: その10


その9 その11

訳文:
お釈迦さまは、いい相をしておられます。私、今、再びお伺いいたします。
 観世音さまは、どうして『観世音』というお名前なのですか?
妙相の仏さまは、偈をもって無盡意に答えられました。
 お聴きください。観音の行は、森羅万象のことに対応します。
その広大な誓いは海のように深く、永遠に尽きることはありません。
観世音は多くの千億の仏に仕えて、人々を悩みから救おうという大清浄の願を起こしたのであります。
私はあなたのために、概略を説明しましょう。み名を聞き、そして姿を観、
 心に念じて空しく過ぎなければ、諸々の苦を滅することができるでしょう。
たとえ、殺意ある者によって、大火の中に落とされようとも、
 この観音の力を念ずれば、火坑も池に変じます。
あるいは、大洋に漂流して、龍や怪魚などの鬼に襲われようとも、
 この観音の力を念ずれば、波浪に沈まされることはありません。
あるいは、須弥山の峰から、誰かに突き落とされようとしても、
 この観音の力を念ずれば、体は太陽のように宙に浮きます。
あるいは、悪人に追われて金剛山の岩を落とされたとしても、
 この観音の力を念ずれば、髪の毛1本さえ損することがありません。
あるいは、恐ろしい賊に囲まれて、それぞれの刀で斬られようとしても、
 この観音の力を念ずれば、彼らは、即、慈心を起こすでありましょう。
あるいは、王の裁きに遭遇して、刑に臨んで処刑されようとする際に、
 この観音の力を念ずれば、刀は、ボロボロに折れてしまうでありましょう。
あるいは、囚われの身にて鎖につながれ、手かせをはめられていようとも、
 この観音の力を念ずれば、するすると解かれることでありましょう。
呪詛を受け、諸々の毒薬で身を害されようとしていても、
 この観音の力を念ずれば、それを使った元の人に戻ってくることでしょう。
あるいは、悪羅刹・毒竜・鬼 等に遇う際であれ、
 この観音の力を念ずれば、すべて害されることがありません。



鈴木守一:白衣観音図
鈴木守一『 白衣観音図 』 19C後半

読み下し文:
世尊、妙相 具したまう。我、今、重ねて彼に問いたてまつる。
 仏子
(ぶっし)
、何の因縁をもってか、名付けて観世音となす?
妙相 具足したまえる尊、偈をもって無盡意に答えたまわく。
 汝、聴け。観音の行、善く諸々の方所
(ほうじょ)
に応ず。
弘き誓いの深きこと 海の如く、劫を歴
(ふ)
るとも思議せられず、
 多くの千億の仏に侍
(つか)
えて、大清浄
(しょうじょう)
の願を発
(おこ)
せり。
我、汝の為に略して説かん。名を聞き、及び身を見、
 心に念じて空しく過ごさざれば、能く諸有の苦を滅せん。
仮使
(たと)
ひ、害意を興して、大火坑
(だいかきょう)
に推し落されんも、
 かの観音の力を念ずれば、火坑 変じて池となる。
あるいは、巨海
(こかい)
に漂流して、龍魚諸鬼の難あらんに、
 かの観音の力を念ずれば、波浪も没すること能はず。
あるいは、須弥の峰に在りて、人の為に推し堕されんに
 かの観音の力を念ずれば、日の如くにして虚空に住
(とど)
まらん。
あるいは、悪人に逐われて、金剛山より堕落せんに、
 かの観音の力を念ずれば、一毛をも損すること能わず。
あるいは、怨賊の遶
(かこ)
みて、各々刀を執りて害を加うるに値
(あ)
わんに、
 かの観音の力を念ずれば、咸
(ことごと)
く、即ちに慈心を起さん。
あるいは、王難の苦に遭いて、刑に臨みて 寿
(いのち)
終らんと欲
(せ)
んに、
 かの観音の力を念ずれば、刀、尋
(つ)
いで段段に壊
(お)
れん。
あるいは、囚われて枷
(くびかせ)
・鎖に禁ぜられ、手足 忸械
(ちゅうかい)
せられんに、
 かの観音の力を念ずれば、釈然
(しゃくねん)
として解脱することを得ん。
呪詛
(じゅそ)
、諸々の毒薬、身を害せんと欲られん者、
 かの観音の力を念ずれば、還って本の人に著
(つ)
かん。
あるいは、悪羅刹
(あくらせつ)
・毒竜・諸鬼等に遇わんに、
 かの観音の力を念ずれば、時に悉く敢て害せず。

白文:
 世尊妙相具 我今重問彼 仏子何因縁 名為観世音
 具足妙相尊 偈答無盡意 汝聴観音行 善応諸方所
 弘誓深如海 歴劫不思議 侍多千億仏 発大清浄願
 我為汝略説 聞名及見身 心念不空過 能滅諸有苦
 仮使興害意 推落大火坑 念彼観音力 火坑変成池
 或漂流巨海 龍魚諸鬼難 念彼観音力 波浪不能没
 或在須弥峯 為人所推墮 念彼観音力 如日虚空住
 或被悪人逐 墮落金剛山 念彼観音力 不能損一毛
 或値怨賊繞 各執刀加害 念彼観音力 咸即起慈心
 或遭王難苦 臨刑欲寿終 念彼観音力 刀尋段段壞
 或囚禁枷鎖 手足被忸械 念彼観音力 釈然得解脱
 呪詛諸毒薬 所欲害身者 念彼観音力 還著於本人
 或遇悪羅刹 毒龍諸鬼等 念彼観音力 時悉不敢害