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バーンズ財団美術館: 所蔵作品・地図情報

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  The Barnes Foundation
バーンズ財団美術館
薬品の開発で成功し一代で巨万の富を獲得したバーンズ氏によるコレクション。基本、門外不出の名作群は長いこと教育目的でなければ鑑賞できなかったが、2012年5月19日に新美術館へ移転し一般公開されることとなった(Webで事前登録は必要)。独特な展示方式もそのまま継承された。
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住所: 2025 Benjamin Franklin Parkway Philadelphia, PA 19130


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ガーデンが残る旧住所は 300 North Latch's Lane Merion, PA 19066-1729

バーンズ・コレクションの展示手法

医化学者 アルバート・C・バーンズ (1872-1951)氏は、銀軟膏「アルジロル」という消毒薬の開発によって巨大な富を手にした人です。

アメリカにおいて、いち早くマネ以降の近代絵画を収集し、地元で展覧会を開催するも、当時の一般には全く受け入れられず嘲笑まで浴びてしまったため、怒り心頭に発した彼は、以後、コレクションを自らの美術館から門外不出とし、教育目的以外での鑑賞を禁止したのでした。その方針は、基本的に現在も受け継がれており、事前申請して許可されないと館内には入れないようになっています(2012年5月の新館移行で終了)。

さて、ここでお伝えしたいのは、ここでの展示手法です。一例ですが、この写真をご覧ください。

Barns Fundation

壁の一面の、真ん中にアフリカの彫刻を置き、左右対称に、ほぼ同サイズの同じ画家の絵画を展示して、その間、隙間を装飾具で飾るという手法。この写真を最初に見た時には感動しました。こんなディスプレイ手法があろうとは、考えてみた事もなかったのです。

ルーヴル美術館のように、壁いっぱいに天井まで絵画を重ねて、たくさん展示してあると、だんだんと時間が経つにつれ、作品の鑑賞というよりは、「首が痛い~!」というのが強くなりますね。 (あれは、「ルーヴルを一度で済ませようというのが大間違い。何度も時間をかけて来なさい」という事かもしれないですが。。)

絵画のサイズが大小あれ、壁の上下には1作品のみを展示し、それを横に観ていくというのが、一般的な美術館の展示です。最近の新しい美術館では、自然光を取り入れて、できるだけゆったりとしたスペースで鑑賞できるように設計されていると思いますが、壁面への掲載方式については、だいたい同一でしょう。

しかし、この、バーンズコレクションのディスプレイは違います。壁一面における複数の異なった作品群をもって一作品なのです。音楽で言えば、ジャズあり、レゲェあり、ポップスあり、クラシックありの1枚の完成したアルバムのような感じです。

音楽はシーケンシャルに時間を通した後に全体の感動を味わうわけですが、絵画においては、こういう観せ方によって、最初に全体を一瞬に把握して、それから細部を感じていくという特殊なことが可能になります。

そのことをバーンズ氏は教えているのではないか、と思うのです。


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