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第一次世界大戦後、時の人の画家であったローランサンは、同じくモード界の時の人であったココ・シャネルの肖像画を描いた。帽子店から服飾、そして香水と、次々にヒットを飛ばしていたシャネルが、ここでは物憂げな雰囲気の表情で描かれている。そして、シャネルはこの作品の出来が気に入らず、受け取らなかった。一説には、パリっ子であったローランサンは、田舎出身のシャネルを悪く言えば卑下していたという。
しかし、ただそれだけではないだろう。共に 1883年生まれの同期であった画家は、噂混じりだったかもしれないが、モデルの背景を知っていたに違いないし、さらにはキャンバスを通して、彼女の内面を観て取ったに違いない。
この小説を読むと、シャネルの生涯を知ることが出来る。と同時に、この絵画からはローランサンの鋭い観察眼を知れるだろう。
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