アート・ニュース 2012 - Vol.01

  ( 1/1 - 3/31 )


2012.03.30(金):

あなたに見せたい絵があります。 (予告)


ブリヂストン美術館の所蔵品展。再び、名画に会えるということでお勧めなのだが、今回の目玉は新所蔵となったカイユボット作品の初公開。彼の作品の国内所蔵は、確か、唯一となるのではあるまいか。

カイユボット 『 ピアノを弾く若い男 』 1876

左のパンフレット裏面、右下に出ているが、こちら、ブリヂストン美術館ブログ に大きな画像が出ているので、ココで確認できる。

カイユボットによる印象派画家たちへの支援がなければ数々の名作は生まれなかったかもしれないし、彼の収集が無ければ、今のオルセー美術館の所蔵も少なかったことになるわけで、彼の功績は大きい。それに感謝しながらも鑑賞したいと思う。

 ※ カイユボットのページ
 ※ ブリヂストン美術館のページ


■ あなたに見せたい絵があります。 - ブリヂストン美術館開館60周年記念
   会場: ブリヂストン美術館(地図)
   期間: 2012. 3.31 - 6.24
   URL: http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/2012/179/





2012.03.22(木):

マリー・ローランサンとその時代 (予告)


蓼科高原、静かな蓼科湖のほとりにあったマリー・ローランサン美術館は、隣接するホテルの経営者が変わったことから、昨年 9月30日に閉館してしまいました。
( コレクション自体は維持され、次の落ち着き場所を探しているとのこと。)

そういう経緯があって、閉館後に、現在、当コレクションの全国巡回が行われています。岡山、愛知、兵庫と回り、この、東京のニューオータニ美術館が最後の展示会となります。

これが終わると、当面は、まとまった形でのコレクションの鑑賞はできないかもしれません。その意味で、とっても気になる美術展なのです。

 ※ ローランサンのページ


■ マリー・ローランサンとその時代 ~ 巴里に魅せられた画家たち
   会場: ニューオータニ美術館(地図)
   期間: 2012. 7.14 - 9.30
   URL: http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201207_marie/

   上記、パンフレットと URLは、6/24に追記しました。





2012.03.19(月):

最近のアート・ニュース記事まとめ

● 3/11 ロスの美容室でタブレット端末からバーゼル・アート・フェアに出ていた 2,000万円の買い物をした女性の話で始まるWSJの記事
  http://on.wsj.com/AAvjyA

● 3/11 東京都美術館4/1リニューアル・オープン。4/2-4/7は「東京・春・音楽祭」
  http://www.tobikan.jp/

● 3/1 ノルウェー発 "Twitter art exhibit" というイベント
  http://davidsandumart.posterous.com/call-for-artists-2nd-twitter-art-exhibit-in-m

● 3/1 故サイ・トォンブリー氏、イタリア政府から32億円の脱税かと
  http://bit.ly/zO6Odw

● 2/23 レオパルド美術館にて、セイコー2代目社長:服部玄三氏コレクション展
  http://bit.ly/xdlN2y

● 2/22 NY時間で昨日の2/20はメトロポリタン美術館の開館 40周年だった

● 2/21 年間2億円程度の予算のデンバーの一美術館が、所蔵していた4点の抽象表現主義作品を売りに出したら、「アート界が気が狂って」80億円近くも手にしてしまったという話
  http://bit.ly/yJn4yR

● 2/20 ボストン美術館、新たなオンラインカタログをリリース
  http://www.mfa.org/americanpaintings

● 2/8 今日の Google トップ=若冲

● 2/7 あら、ドイツ・グッゲンハイム美術館は閉じてしまうのですか
  http://nyti.ms/AculSR

● 1/16 HTML5 ! モナリザの横顔って、初めて見た。^^;
  http://roxik.com/mona/

● 1/13 グッゲンハイム・ヘルシンキ、正式決定は、まだ。最短で2017年オープン
  http://bit.ly/xFE2Sa

● 12/30 故ヘレン・フランケンサーラーの功績を讃える記事
  http://nyti.ms/rto2hr

● 12/27 2011年、アート界を振り回した女性39人。レディ・ガガも登場
  http://bit.ly/uNh8zg

● 12/22 アムステルダム国立美術館の美しきクリスマス・グリーティング
  http://youtu.be/Qf3ysUplF04

● 12/16 ワズウォース美術館のHPがリニューアルになってて画像DBが少し充実
  http://bit.ly/sDAgdL

● 12/4 新しく出てきたウィキ・ペインティングス。例えばピカソ青の時代ページ
  http://bit.ly/u28P0v

● 11/29 フランスのマルロー美術館のHPが更新
  http://bit.ly/tA3IWL

● 11/26 ロンドンのダ・ヴィンチ展チケットがネットオークションで25倍もの高値に
  http://bbc.in/rL22Oc

● 11/15 ジョージア・オキーフ美術館「所蔵作品全点オンラインで観られる」
  http://contentdm.okeeffemuseum.org/

● 11/11 プーシキン美術館のURLが変更。日本語にも対応
  http://www.arts-museum.ru/?lang=ja

● 11/10 ロンドンオリンピックの公式ポスターが公開
  http://bit.ly/ux1AMq

● 11/9 旧バーンズ美術館の4部屋内を 360度 ぐるりと見回せるパノラマ写真
  http://nyti.ms/taGvbx

● 10/31 改装オルセー美術館、本当に作品を明るく鑑賞できるようになったみたい
  http://dai.ly/vggExw

● 10/27 オルセー美術館、やっと、ストライキ終わって、今日から開館!

● 10/26 フェイスブックでの話。脳を見れば友人の数が分かる? ロンドン大研究
  http://t.asahi.com/4dnu

● 10/21 オルセー改装オープンは、ガードマンたちのストライキで日程が遅れ

● 10/17 2010年5月、パリ市立近代美で起きたピカソやマティス等作品の盗難事件、捕まった犯人は「ゴミに出して捨てた」と言っておるそうな!
  http://lat.ms/pz8JdF





2012.03.04(日):

京都 細見美術館展 PartⅠ 都の遊び・王朝の美


横浜のそごう美術館にて2部に分けて開催される、京都 細見美術館の展覧会。現在、Part I が開催中。

光悦・宗達のコラボ作品の他、江戸期の屏風絵等々、関東地方ではお目にかかれる機会の少ない逸品が勢揃い。 屏風絵では、作者不明の『 北野社頭図屏風 』 は良い作品であった。

神坂雪佳 『 十二ヶ月草花図 』 六月 紫陽花  大正時代

さて、終盤に展示されている 神坂雪佳 の一連の作品も必見である。10年ほど前のこと、エルメスが発行する総合誌 「ル・モンド・エルメス」 の表紙に取り上げられたことで話題になったが、明治期とは思えぬ現代風の作品。平成風の「ゆるさ」があると言って良いかもしれない。

院展・朦朧体的な作品も、その時代の反映だろうが、波の表現が特別。琳派における海の波表現に、新たな工夫が凝らされている。

この人の作品、関西の方にしか所蔵がなかったかと思うが、このサイトでも、とりまとめてみようと思う。

Part II は 伊藤若冲 中心の展示とある。鈴木其一の作品も結構出るらしい。少し空けての 5/26からであるが、こちらも楽しみである。






2012.02.26(日):

ジャクソン・ポロック 展

Mural, 1950 buy at オールポスターズ

インディアンレッドの地の壁画 』 1950 183.0*243.5  テヘラン現代美術館

回顧展は、その人の初期の作品から年代を追って鑑賞することで、その発展経緯・変化を知ることができる。生誕100年記念であり、過去に日本では実現できなかったポロックの大回顧展、今回の鑑賞記も、そういった流れで書こうと、鑑賞前は、そう思っていた。

ところが、ともかく、この作品である。この一作こそが凄い。

1976年にテヘラン現代美術館に所蔵されたものの、79年にイラン革命が起きて以降、門外不出となっており、本館所蔵後初貸出となった伝説の作品。保険評価額が 200億円! という途方もない価値。

そういった前情報があって期待大きかったことは事実であるが、いざ対面してみると、そんな条件はよくって、その作品の特異さに、ただただ息をのんだ。

なんと! 黒い線が動いているように見えるのである! まるで生きているかのように。 ジャズやロックを聴いているかのように、また奏でているかのように、表面に浮き出てくる動く抽象絵画。ポロック本人自身「抽象絵画というものは、音楽を楽しむように味わえばいい」と云ったそのままが、ここにはあった。

構図や色彩、視点の組み合わせなどから動いているように感じられる/想像できる絵画はたくさんあった。しかし、静止画なのに動いているように見させる作品は他の人には無いだろう。

必見の、感動の一作。


 ※ ジャクソン・ポロックのページ





2012.02.21(火):

セザンヌ - パリとプロヴァンス (予告)


1880年代以降、セザンヌは故郷の南仏エクス=アン=プロヴァンスに一人こもって制作を続けたという解説が多いのだが、実は、彼はパリとの間を何度も行き来していたのであって、そのパリとプロヴァンスという南北対比の視座から、彼の芸術的創造の軌跡を捉えようというのが当展覧会の企画。

今回、パリ市立プティ・パレ美術館の所蔵作品が出展されるとあり、一番初期の作品 『 四季 』 も出るとある。この作品が次に日本に来ることは、まず当面は無いであろうから、今回は貴重な機会である。

さて、今回の展覧会、初期・風景・身体・肖像・静物・晩年 の6部構成となっている。

セザンヌの作品は、どれも常に謎解きであって、作品の前で考え込まさせる工夫がたくさん仕込んであるのだと思う。

個人的に、「リンゴ」と「山」と「カード」のシリーズは、なんとか納得できた。しかし、「水浴」と「肖像」シリーズが、その隠された鍵が何なのか、ど~にも、まだ判らないでいる。

展覧会図録の解説も、そこまで踏み込んだものであることを期待したい。

 ※ セザンヌのページ


■ セザンヌ - パリとプロヴァンス
   会場: 国立新美術館(地図)
   期間: 2012. 3.28 - 6.11
   URL: http://cezanne.exhn.jp/index.html





2012.02.10(金):

アメブロからのデータ移行

2008年4月から 2010年7月までは、アメブロにて情報発信していました。ニュース性の記事なども、この期間にパターンを作ってきたものですが、その後、置きっぱなしになっていましたので、今回、こちらにデータ移行することにしました。

まずは、2008年版を完了。

補足があれば [後記] として説明を入れ、2~3本に跨った記事は1本に編集し直したものもあります。内容自体が古くなってしまったものは削除しました。

ま、あまり、役には立たない駄文ばかりです。^^;


 ※ アート・ニュース・インデックス・ページ の 2008年版






2012.02.04(土):

ルドンとその周辺 - 夢見る世紀末


三菱一号美術館でルドン展があるというので、最初、どんな奇抜な構成で見せてもらえるのだろう? と期待したのだが、岐阜県美術館蔵のルドン作品集、しかも、巡回展の一つだとあり、正直、今回はパスしとこか、と思った。

ところが、よく見ると、当館に昨年収蔵された、巨大なパステル画のブーケが同時展示されるとある。100年もの間、フランスの古城に眠っていたという作品だ。これはおもしろい。行かねば。

タイトルの「ルドンとその周辺」とは、ルドンと周辺の 象徴主義 という意味であった。数多くのルドンの作品を追うと共にゴーギャンやナビ派の作品も併せて解説する流れになっている。

中でも、これまで知らなかったが、マックス・クリンガーの作品『 手袋 』シリーズは夢と現実が交錯したシュールな版画の作品であり、面白かった。


そして、一番最後の方で、いよいよ『 グラン・ブーケ 』(上記、パンフレットに掲載されている作品)。照明を落とした暗い展示室に浮かび上がるブルー基調の、題名の通りの巨大な花束であり、縦2.5 * 横 1.6メートルもある。しかもパステル画。

ドムシー男爵というパトロンから依頼を受けて、ルドンは男爵所有の大きな城の食堂を 16点からなる作品で飾った。『 グラン・ブーケ 』は、その中の1作品であり、全体の中心的な存在。100年近くも一般に公開されることなく眠っていたのだが、他の 15点は 1988年に、あのピカソ美術館(パリ)のピカソ作品がそうであったように、フランスの「相続税の美術品による物納制度」によって国家所有となり、現在、オルセー美術館にある。

その後も、この『 グラン・ブーケ 』だけは、男爵家の大食堂に残されたままであったが、昨年、三菱一号館美術館が取得して収蔵されることになったという経緯。

さて、全体を知るために、残りの 15点がどういうものか? それはオルセー美術館のデータベースを覗くと画像が登録されているので知ることができる。それを以下にマッピングしてみた。いつもの通り、■マークが画像ページへの直リンク。

食堂に入って正面の左端から時計回りに、

正面:
 『 黄色い背景の樹 』 1901 249.5*185.5
 『 黄色のフリーズ 』 1901 37.5*245.3
 『 黄色い背景の樹 』 1901 247.5*173.0

右面:
 『 黄色い花咲く枝 』 1901 247.5*163.5
 『 花のフリーズ(赤いひな菊)』 1901 35.0*165.5
 『 グラン・ブーケ 』 1901 248.3*162.9    三菱一号館美術館蔵
 『 花と実のフリーズ 』 1901 35.0*163.7

入り口面:
 『 ひな菊 』 1901 123.0*149.5
 『 人物 』 1901 244.5*58.5
-- 入り口のドア --
 『 人物(黄色い花)』 1901 243.8*58.3
 『 花とナナカマドの実 』 1901 122.5*152.3

左面:
 『 花の装飾パネル(明るい背景)』 1901 244.0*103.7
 『 灰色の小さいパネル 』 1901 41.5*55.3
 『 灰色のフリーズ 』 1901 41.5*357.0
 『 灰色の小さいパネル 』 1901 43.0*55.5
 『 花の装飾パネル(明るい背景)』 1901 250.7*89.4

実際に、その城の食堂に入ってみなかったら全体の感じは掴めないのだろうが、頭の中で作品をマッピングして想像すると、雰囲気を感じることはできるだろう。


ところで、ドムシー男爵。どこかで聞いたことのあるお名前だと思うのだが、今回の古城の話は初めて知ったのであり、何かの書物で読んだか記憶が定かでない。
と思っていたら、オルセーに、そうそう、この作品があったではないですか。

 『 ロベール・ド・ドムシー男爵夫人の肖像 』 1900

男爵と、この、ご婦人が広い城の食堂にて、ルドンの作品に取り囲まれながら、二人で静かにスープをすすってられるような情景を思い浮かべたりするのも、また楽しい。

 ※ ルドンのページ


■ ルドンとその周辺 - 夢見る世紀末
   会場: 三菱一号館美術館(地図)
   期間: 2012. 1.17 - 3. 4
   URL: http://mimt.jp/redon2012/





2012.01.29(日):

 東日本大震災チャリティー企画 日本赤十字社所蔵アート


日本赤十字社100年を記念して寄贈された美術作品がコレクションの美術展ということで、一般公開されることの少ない作品がジャンル別に展示してあるのだろうと思って出かけました。

ところが、スタートは 1863年にスイスで赤十字を作った アンリー・デュナン 氏へのオマージュからとなっていたのでした。

上記は、会場で販売されていたジュニア・ブックレットでの解説。
左が、増田誠による 『 アンリ・デュナンの肖像 』 不明 42.0*33.0。

1859年に北イタリアがオーストリア帝国から独立するきっかけとなった、北イタリアの都市ソルフェリーノでの戦いでは4万人もの死傷者が出、スイス人デュナンは近くの村人たちと共に多くの兵士たちを手当てしました。

彼は帰国後、1862年に敵味方関係なく負傷者を救う団体を設立すべきとの本を書き、それによって、1863年に「五人委員会」というものが作られました。これが赤十字の始まりです。

東郷青児は、日本赤十字社100年に際し、この赤十字の精神の起源を描いた巨大な壁画を作成することにし、死の前年の 1977 (S52)年に、上の図の右側 『 ソルフェリーノの啓示 』 を完成させて寄贈したのです。

縦 1.76 * 横 2.86メートルの壁画、大きすぎるために当展示会には縮小された参考写真パネルと下絵のみが出展されていたのですが、左側に天使、右側に死傷した人々の中で悲しみにくれるデュナンの像が描かれています。

同じく寄贈・出展されていた『 ナース像 』 1974 (S49) 100.0*72.8 は、いつもの東郷青児風女性の看護婦姿ですが、この壁画は、一見では東郷青児作とは判らぬかと思います。彼自身、啓示を受けての制作、そして行動であったかのようにも思えます。

さて、そういった デュナン、東郷の精神を受け継ぐように、多くの人々から寄贈されたのが、このコレクション全体です。

画家本人からなのか、篤志家からたちなのか、寄贈者の明記はほとんどなかったため知れませんでしたが、次のような作品が展示されていました。

藤田嗣治佛印メコンの廣野 』 不明  53.2*73
東山魁夷晴れゆく朝霧 』 1979 (S54)  90.0*70.0

小磯良平集い 』 1977 (S52)  100.0*100.0
永瀬義郎 『 版画集「浪漫」』 不明  各53.7*41.5

織田廣喜氏 『 シャンゼリゼの風景 』 不明  116.0*91.4

ピカソアトリエの画家 』 1963  65.0*92.0

こちらは梅原龍三郎が自作を寄贈しようとしたのたけれども、高齢で制作できず、代わりに、以前、ピカソと作品交換して所蔵していたのを提供したもの。


梅原龍三郎パリス審判図 』 1939 (S14)  51.5*39.8

それを聞いた、とある日赤関係者が、自分が持っていた梅原の作品を代わりに寄贈したものがコレとのこと。美談です。



赤十字の精神を理解し、すばらしい作品に触れられ、さらには鑑賞料が東日本大震災復興のための義援金として日赤へ寄付されるという、三重に意義の大きい展覧会。是非、お勧めします。

2/19(日)まで。新宿の損保ジャパン東郷青児美術館にて。

この展覧会の予告記事





2012.01.25(水):

ジャクソン・ポロック 展 (予告)

愛知県美術館での開催後、いよいよ、東京国立近代美術館にて ジャクソン・ポロック の大規模な回顧展が開催される。

日本において、戦後のアメリカ絵画は、ウォーホルに代表されるポップアートの認知は高いものの、抽象表現主義、そして、アクションペインティングの作品に対しては必ずしも高くないと思う。

それらは解説が無ければ理解しにくいという専門性があること、また、各現代美術館でも所蔵が少ないため、まとまって鑑賞できる機会が得にくかったはずで、何か高額な取引が行われたとかのニュースがあっても、やはり、それは基本的に業界内での話題であったのだろう。

そんな中で、ポロックがラッキーだったのは、国立西洋美術館と大原美術館に所蔵があったおかげではなかろうか。そこで彼の作品を複数続けて鑑賞できなくとも、それらが何か特異な作品であること、そして、他では見られない不思議な力を発していることに、おそらく多くの人が感じることが出来て来たのではないかと思うのだ。

さて、今回、ポロック生誕100年を記念して世界中から集められた 70点もの作品をまとまって鑑賞できる。どういう風に感じられるか? そして、今後、この展覧会が日本での認知に、どう浸透し影響してくるか? 長い意味でも楽しみな美術展である。

 ※ ジャクソン・ポロックのページ

■ ジャクソン・ポロック展
   会場: 東京国立近代美術館(地図)
   期間: 2012. 2.10 - 5. 6
   URL: http://pollock100.com/





2012.01.18(水):

イ・ブル展: 私からあなたへ、私たちだけに (予告)


韓国の女性アーティスト、イ・ブル氏の名前と作品は、以前から雑誌等では知るも、先月、ソウルの Leeum サムスン美術館で実作品に会うまでは、やはり「一知識」でしかなかった。

その美術館の1~2階吹き抜けのフロアの天井から吊された、サイボーグのような蛹のような真っ白い異様な物体の下を通ったとき、「なんじゃぁ、こりゃぁ?」ということが、それが、真の初めての出会いであったのである。

最初の出会いに続く次の興味満々な時に、ラッキーなことにタイミング良く、もうじき、六本木の森美術館にて大規模な回顧展が開催される。

これは、じっくりと楽しめそうだ。


■ イ・ブル展: 私からあなたへ、私たちだけに
   会場: 森美術館
   期間: 2012. 2. 4 - 5.27
   URL: http://www.mori.art.museum/contents/leebul/





2012.01.16(月):

渋谷ユートピア 1900-1945


20世紀の前半、菱田春草に岡田三郎助、岸田劉生や村山槐多、竹久夢二から杉浦非水、児島善三郎かと思えば谷中安規、そして、忠犬ハチ公までと、渋谷とアートにまつわるものを何でも集めたといった企画の展覧会です。

それぞれ、「渋谷」との関連性が知れて面白かったのですが、ココでは純粋にお勧め作品のご紹介を。

 ・ 野口彌太郎 『 』 1931 (S06)頃  愛知県美術館

この「黒」は良いですね~。


 ・ 杉浦非水 『 三越呉服店 春の新柄陳列会 』 1914 (T03)  三越伊勢丹

アールヌーボーな代表作のポスター。予想していたより、色のトーンが落ちていたように感じました。当時の印刷技術にもよるのかもしれません。


 ・ 児島善三郎 『 おさげの少女 』 1926 (T15)  個人蔵?

これは、初対面。肩肘の余計な力が抜けた良い作品でしょう。所蔵が知れなかったので、次、いつ会えるか分かりません。



■ 渋谷ユートピア 1900-1945
   会場: 渋谷区立松濤美術館
   期間: 2011.12. 6 - 2012. 1.29
   URL: http://shoto-museum.jp/05_exhibition/





2012.01.11(水):

樫木 知子


六本木のオオタファインアーツにて 樫木知子さんの個展が開催されているというのを遅れて知り、複数の作品を一度に拝見したことがなかったので、年末年始の長期の休廊が空けるのを待ち遠しく待って出かけました。

1ルームの白いギャラリーに1m四方程度の作品が5点。どれも不可思議な空間の中に人体を配置した明るいトーンの作品です。


少し波打ってよじれた床に、いくつもの角度が違う壁が組み合わせられているのに、バランスが取れて1枚に納まっている作品など、どうやって描かれるのでしょう、すごい。

人体が壁や水面に同化して溶け込んでいるのも不思議な表現。マグリット風に「これは、人体ではない」とかの謎かけも出来そうな感じです。

ますます、続きが楽しみになりました。^^


■ 樫木 知子 展
   会場: オオタファインアーツ
   期間: 2011.11.26 - 2012. 1.21
   URL: http://otafinearts.com/ja/exhibitions/2011/tomoko-kashiki-2011/





2012.01.07(土):

青森県立美術館 コレクション展 北の異才たち


青森県立美術館さんのツイートで、東京渋谷のパルコミュージアムにてコレクション展が開催されていることを知った。新幹線は通ったものの、なかなか青森までは出かけられず所蔵作品を鑑賞する機会が得られないため、これはありがたいと思い、先日、早速、出かけた。



パルコミュージアムは店舗の一角にあり広くはないスペースだが、青森県立美術館を再現する形(だそう)で、奈良美智 氏、斎藤義重、村上善男、棟方志功、寺山修司、それに、ウルトラマンの成田亨 等々と、青森出身のアーティストの作品が数点ずつ展示。コンパクトに鑑賞できる。( うげ、、工藤哲巳の作品は、やはり、きもい ^^;; )

帰りにショップで、所蔵名品選の図録が販売されていたので購入。斎藤義重の初期の作品に、高松次郎、シャガールの巨大なバレエ舞台背景作品などの所蔵もあるんだぁ、と知り、感動。

巨大な『 あおもり犬 』にも一度会ってみたいし、俄然、青森まで行きたくなったのである。


■ 青森県立美術館 コレクション展 北の異才たち
   会場: パルコミュージアム
   期間: 2011.12.17 - 2012. 1.29
   URL: http://www.parco-art.com/web/museum/exhibition.php?id=448





2012.01.04(水):

京都 細見美術館 展 (予告)


琳派、伊藤若冲の個人コレクションとしては世界有数の規模誇るという、京都 細見美術館の展覧会が、今年、横浜のそごう美術館にて2部に分けて開催される(現在、高知県立美術館にて開催中(2011.12.25-2012.2.12))。

Part I の「都の遊び・王朝の美」(パンフレットの表面)では、歌仙絵や物語絵、祭礼・遊楽図屏風、調度品の他、俵屋宗達、円山応挙、伊藤若冲の作品等々、京都にまつわる作品が約 80点が。

Part II の 「琳派・若冲と雅の世界」(パンフレットの裏面)では、タイトルの通り、宗達 - 光琳 - 抱一 - 其一に至る琳派、そして伊藤若冲の作品を中心に、能装束や蒔絵等の工芸品も合わせて、約 70点の逸品が展示されるとのこと。

酒井抱一の作品は、昨年、姫路市立美術館や千葉市美術館で開催された「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」に続いて、再び貸出されるのだろうか。抱一さん、大忙しである。

これは新春から、とっても楽しみだ。


■ 京都 細見美術館 展
   会場: そごう美術館 (地図)
   期間: Part I: 2012. 2. 4 - 3.20/ Part II: 2012. 5.26 - 7.16
   URL: http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/schedule.html




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