秘蔵の名品アートコレクション展の感想


okura201308

毎年夏の時期にホテルオークラ東京にて趣向を変えて開催される「秘蔵の名品アートコレクション展」。今年は「パリ」という場所をキーにした作品展。第一次世界大戦後にパリに集まったエコール・ド・パリの画家たちを対象にした展覧会は度々開催されていますが、今回は日仏両画家の作品を織り交ぜてあるところが特徴的でしょう。

ヴラマンクに里見勝蔵、ユトリロに佐伯祐三などなど、パリに行った日本人画家が、どういう風に影響を受けて、そして、それを越えて自分の境地を切り開いたかを、それぞれの作品を並べて展示してあります。

マルケの展示があるところで、藤島武二はマルケの影響を受けているはずだと思うのですが、藤島の展示はありませんでした。彼はパリの風景は描いていなかったからであり、時代がずれるからしょう。いつかどこかで、マルケと藤島武二の比較、および、その後の影響について分析した展覧会がないかな、と思っています。

さて、個別の作品の感想としては、、

モネ『 菫の花束を持つカミーユ・モネ 』。へぇー、こんなカミーユの肖像画があったのですか。しかも、所蔵は知れないものの、日本国内に。カミーユの表情がはっきり知れる作品は、カミーユが何人も現れる『 庭の女たち 』か、もしくは死の床の悲しい作品ぐらいで、これは珍しいです。これこそ「秘蔵の名品」と思いきや、企画者のお一人である熊澤さんから「2007年の国立新美術館でのモネ展に出ていたよ」と教えていただきました。それは漏らしてました。

パンフレットから、アサヒビール大山崎山荘美術館のモネ『 睡蓮 』が出ることが知れていましたので、2メートル四方の大きな作品が来るのだろうかと期待していましたが、それは叶わなかったようです。

パリということで藤田の作品も出ているだろうと思ったら、6点も出ていました。『 パリ風景 』は「小さな職人」タッチの作品で、内容は富める者と貧しき者でしょう。清方の『 讃春 』みたいなもの。『 朝の買物 』も市中での1ショットですが、藤田のそういう作品が他にもあったことは発見でした。

 

モネ ユトリロ 佐伯と日仏絵画の巨匠たち
ホテルオークラ東京 アスコットホール(別館地下2階)
2013. 8. 7 – 2013. 9. 1