「アメリカン・ポップ・アート展」の感想
- 2013年09月01日
- 展覧会
国内美術館にあるアメリカン・ポップ・アート作品の全てを集合させても、これだけまとまった展示はできないだろうと思えるくらい、強力なコレクションの展覧会です。そもそも、日本国内でアメリカン・ポップ・アートのみの作品展が開催されることは稀なのですが、ウォーホルだけでなくロイ・リキテンスタインやウッセルマン等の作品も数多くまとめて鑑賞できるというのは、ほんとうに稀少だと思います。
展覧会の流れは、抽象表現主義からポップ・アートへの橋渡しとなった、ロバート・ラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズから始まります。ラウシェンバーグの「コンバイン」シリーズ作品、さらには、ジョーンズの「ハッチング」シリーズ作品をまとめて鑑賞できたのは初めてでした。
続いて、ラリー・リヴァーズとジム・ダインへ、そして、「ソフト・スカルプチャー」のクレス・オルデンバーグと移ります。
そして、いよいよ、アンディ・ウォーホル となるのですが、『 キャンベル・スープ缶 』のみならず、『 電気椅子 』『 マリリン 』『 毛沢東 』『 花 』、、と代表作の大集合!
その中でも圧巻なのは「キミコ・パワーズの部屋」とも呼ぶべき、一室全部がウォーホルによるキミコ・パワーズさん作品で埋め尽くされたコーナー。これは、このコレクションでしか実現できないでしょう。
ココまでだけでもお腹いっぱいというところなのですが、次に、ロイ・リキテンスタイン。『 鏡の中の少女 』などの他に「モネの大聖堂シリーズ」まで逢えるとは感涙ものでした。
メル・ラモス、ジェイムズ・ローゼンクイストと来て、〆は、トム・ウッセルマン。線だけのヌードが妙にエロいんですが、さらには鉄をレーザーで切って具象的に表現した作品も出品されていました。
さて、図録の最初にキミコ・パワーズさんによる蒐集回顧談が掲載されています。力入れての購入という姿勢では無く、日々の茶飲み集まり的場所がギャラリーであって、気に入ったものを集めていったという話はおもしろかったです。
この図録、3,500円と、ちょい高めなのですが、アメリカン・ポップ・アートの流れを追って把握できるように解説されていますので、学術書としても重要でしょう。
これまでにアメリカ本国でも全貌が紹介される機会は無かったというパワーズ・コレクションの展覧会。必見です。
「アメリカン・ポップ・アート展」
国立新美術館
2013. 8. 7 – 10.21