クリーブランド美術館の “ArtLens”


アメリカのクリーブランド美術館が、館内鑑賞と個別作品の解説を受けることができる iPad 専用アプリ “ArtLens” を発表して話題になっています。実際に美術館に行って使用してみないと実感が沸かないところではありますが、iPad を作品の前でかざすと、各部分の解説が出るようになっているようです。

アプリ自体は無料です。→ iTunes のダウンロードページ
実際にダウンロードしてみると、インストールの後でコンテンツの取得をする必要があり、これを進めると、かなりの数のファイルを取りに行きました。

・館内フロアマップと作品画像
・作品別の解説と学芸員による動画での説明
・ツアー形式による作品解説
・今日の展示紹介
・フェイスブック、ツイッターへの投稿

等々と、これまで、いろんな美術館のホームページやアプリが実装してきたことを、発展させて全て盛り込んだという感じです。

これは、マティスの一作品の紹介ページ。音声で学芸員さんが作品の解説をきちんとしてくれる。これ海外の大手美術館のすばらしいところだと思います。

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館との連動機能を含めて次世代のシステムであり、米国内各大手美術館も、これを倣うのではないか、との噂もありとのことです。また、いろんな館内設備等を含めてことだと推測しますが、このプロジェクトに 30人のスタッフが8年かけて、300億円ほど使ったというのですから、その規模の大きさに驚かされます。

さて、日本でも東京国立博物館でのスマホアプリ提供など、デバイスを併用した鑑賞サービスが始まっていますが、今後、どういった高度なサービスが出てくるでしょうか、楽しみです。

明治天皇御下命「人物写真帖」


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明治12年、明治天皇が群臣たちの肖像写真を手元に置いておこうと下命されて作られた 4,531名もの名士が載った、39冊からなる分厚いアルバムです。

A-1に分類されるアルバムには写真と共に、本人の和歌も掲載してあるというユニークな作り。当時、華族に限らず政治家や軍人でも歌を詠むことは必須の教養であったのですね。

明治の初期なので写真の質が悪いのは仕方ありませんが、紙幣や歴史書に出てくる著名人の別の姿の写真であったり、初めて見る写真もあります。また、その後活躍する人の若き日の姿であったりして、これは楽しめます。貴重な資料でもあります。

この写真集、各人の顔を確認されるために使われたのか、もしくは後生に残しておこうと指示されたのかもしれません。同じ頃、脚気対策のために漢方医と西洋医に競って研究させる「脚気相撲」を指示されたりしてますので、明治天皇は企画人な方だったのかもしれません。

いつもはゆったり鑑賞の三の丸尚蔵館ですが、今回は結構、混んでました。図録も売り切れてしまったそうで、増刷待ちとのこと。

2013. 1.12 – 3.10
at 宮内庁三の丸尚蔵館(入館無料)

アントニオ・ロペス展(予告)


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スペインのアントニオ・ロペス氏。サッカー選ではなくて、同姓同名のアーティストです。Bunkamura にてルーベンス展の後に開催されるとのことで、最初、パンフを手にした時、「あ、今度は写真展か。。」と思ったのですが、よく見ると「油彩」とあります。そうです、これは細密画なんです。

スーパー・リアリズムというと、白日会の活動、そして近年開館した千葉のホキ美術館の話題から、写真以上にリアリティのある絵画として人気が高まっているでしょう。手の器用な日本人の得意とするところという気もしますが、そういうアーティストは世界中にもたくさんおられるのだと思います。

そういう一人、ロペス氏のまとまった企画展。日本人の感覚とは、また違であろうリアルすぎるリアルな絵画に、どんな印象を受けるか、楽しみな展覧会です。

2013. 4.27 – 2013. 6.16
at Bunkamura ザ・ミュージアム

12月の高額落札アート作品トップ10


今回は中国の作品が多く、作者・作品名共に日本では馴染みの薄いものが多いです。ラファエロのデッサンが高額落札されたのは、春からのラファエロ展を前に、ニュースですね。

1. ラファエロ 『 若きアポストルの頭部 』  4,785万ドル
2. 文徴明 ( Wen Zhengming ) 『 江山胜览图 』( landscape )  1,625万ドル
3. 斉白石 ( Qi Baishi )『 祖国颂 』 ( Ode to the morher country )  1,329万ドル
4. 文徴明 ( Wen Zhengming ) 『 溪山清远卷 』( Landscape )  1,199万ドル
5. アルフレッド・ジェンセン 『 進行中の帆船 』  1,038万ドル
6. ヤン・ステーン 『 食事の前の祈り 』  908万ドル
7. Qi Gong 『 江水万里图 长 』(Landscape)  890万ドル
8. クロード・モネ 『 セーヌ川のほとり、アルジャントゥイユの橋 』  882万ドル
9. 張大千 ( Zhang Daqian ) 『 烟江叠嶂 』(Landscape)  839万ドル
10. Li Keran 『 雄关漫道·苍山如海 』(Representation of mao zedong’s poem)  655万ドル

artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)

 

白隠展、行ってきました


いつも海外美術館からの企画展が開催される Bunkamuraにて江戸期の日本画展とは意外であり、さて、どんな趣向の展覧会になるのだろう? と期待して出かけました。

まず、会場に入ると、「『賛』がどうの」、という解説が続きます。「賛」って何? 誰かが絵を描いて、別の人が賛辞を送る「画賛」のことで、大抵、漢文なり、崩れた文字で書いてあるので、何やら判らないというのが一般です。

内容は判らなくとも、その名の通り、賛辞が送ってあるのでしょう。ところが、今回、初めて知ったのですが、画を描いた本人が書く場合もあるそうなのです。

ん? だとしたら自画自賛? いや、そうでは無くて、「画賛」とは必ずしも賛辞とは限らないらしいのです。

それで、会場の最初の部分で出てくるこの作品。

hakuin2012_1横向き半身達磨 』 永青文庫 (前期のみ展示)

画像が小さくなるので、画賛の部分を拡大して横に置きました。

コレ、会場の解説によると「どふ見ても」と書いてあるそうなのですが、しかし、ど~見ても、そう読めませんよねぇ。

会場で先に進んでは戻り、他の作品と解説を見ては戻りで、4~5回繰り返し観に行って、やっと判りました。これ、縦に左から右に書いてあるのです。真ん中が「見」の漢字のようです。

謎が解けた瞬間、「もう少し丁寧に解説してもらえれたら。。」と思ったのですが、それも禅問答の一部としての設計なのかもしれません。

さて、今回の展覧会でのイチオシは、この作品。

渡唐天神 』 選佛寺(京都)

hakuin2012_2なんと、「南無天満大自在天神」という9文字から各パーツが構成されており、最後に菩薩の顔が当てはめられているというものです。構図といい、大胆な筆さばきといい、文字が絵とが融合して一体化した宗教画。これは奇抜です。

などなどが続く、いろいろと趣向の凝った展示会、お勧めです。^^

2013 今年の期待の美術展


年初とあって「2013 美術展」で調べている方、急増のようです。
現時点で把握している美術展予定を「気になる美術展一覧」にまとめていますが、個人的には、

ラファエロ展: 国立西洋美術館
奇跡のクラーク・コレクション展: 三菱一号館美術館
フランシス・ベーコン展: 東京国立近代美術館
ファインバーグ・コレクション展: 江戸東京博物館

などは、必ず行くと思います。

その他も期待の展覧会ぞくぞく。さらには現在は準備中で、これから公開される必見の美術展も多々あるのでしょう。今年も楽しみですね。

古川美術館のページを新規アップ


名古屋市内にある 古川美術館のページ を新たに立てました。

映画館のヘラルドグループの創業者であった古川為三郎氏による優れたコレクション。余所と比較して東海地方の日本画画家の作品を数多く有するのも特徴でしょう。あまり、所蔵作品が全国巡回の回顧展に貸し出されることは少ないようですので、訪館して鑑賞することが必要かと思います。

美術館の近くに為三郎記念館というのがあって、日本庭園をそなえた広い古い屋敷で、奥が喫茶室になっています。都会の喧噪からしばし離れて、一息つけるところですね。

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11月の高額落札アート作品トップ10


artnet というメディアが毎月、高額落札されたアート作品のトップ10を発表しているのですが、毎月のページ単位ではアーカイブされていないようで(このサイト、使い方がいまいち判りません)、次の月になると前月ページのデータが消えてしまいます。

なので、日本語訳も含めて、毎月、書き出してみようと思います。
サイトは、こちら → http://www.artnet.com/top10auctions/results.aspx

それで、2012年11月の高額落札作品は下記の通り。80円ぐらいをかけると、それぞれ数十億円の単位になります。

1. ロスコ 『 No.1( ロイヤル・レッドと青 )』 288.9*171.5  7,512万ドル
2. モネ 『 睡蓮 』 88.3*90.8  4,376万ドル
3. ウォーホル 『 自由の女神 』 197.5*205.7   4,376万ドル
4. ピカソ 『 チューリップのある静物 』 130*97   4,152万ドル
5. フランツ・クライイン 『 無題 』 200.7*280.4  4,040万ドル
6. ポロック 『 Number 4 』 76.5*63.5  4,040万ドル
7. ジェフ・クーンズ 『 チューリップ 』 203.2*457.2*520.7  3,368万ドル
8. ベーコン 『 無題(教皇)』 152*94   2,976万ドル
9. リキテンスタイン 『 赤いシャツの裸婦 』 198.1*167.7  2,808万ドル
10. バスキア 『 無題 』 198.1*172.7  2,640万ドル

この月は馴染みのあるアーティストの作品が多かったですね。(いつもは、知らない中国の作家が占めることが多いのです。)

上記作品、どこかでお目にかかれるのを楽しみにしましょう。

 

気になる お祭り・イベント・行事 β版


気になるシリーズ、という訳では無いのですが、美術展やデパート物産展のスケジュールリストを作っていたら、妙に、お祭りのリストも作りたくなってしまったのでした。→ こちら

まだ、β版です。少しずつ追加していきます。

生誕100年 松本竣介 展


1年ほど前から全国各地の美術館を巡回して、東京の世田谷美術館での展覧会は最後の開催ですので、既にご覧になった方は多いのでしょう。

松本竣介の作品は、これまでにも神奈川県立近代美術館や大川美術館にて企画展が開催されることがあったので、正直のところ大まかな把握が出来ているものと思い込んでいたのでしたが、甘かったです。個人蔵の作品も数多く集め、油彩画・素描・スケッチを時系列に解説すると共に、関連する資料である雑誌や手紙なども揃えての、かなり充実の回顧展。

・複数の人物が登場する都会の風景画
・自己を主張する自画像
・静謐な空間にて何かを語りかけるかのような指の、人物画
・一人ぽつんと寂しげな姿が通るモノトーンの風景画
等々を経て、最後にキュビズム作品も制作していたとは! それは初めて知りました。

個人的には、やはり、指シリーズが一番印象的です。

そして、編纂されている展覧会図録が 400ページにも及ぶ分厚い超力作。2300円。

1/14日まで。世田谷美術館

 

New page of Picabia


Added a new English page of Francis Picabia.

Mr. Yokoo Tadanori is admiring Picabia, but there are few chance we can meet the artworks in Japan.

New page of “John Singer Sargent”, “Yves Tanguy”


I added the new page of “John Singer Sargent” and “Yves Tanguy“.

There are very few artworks of Sargent, I only know one in Tokyo Fuji Art Museum.

シャガールのタピスリー展


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「タピスリー」というと、中世の色落ちした太い糸で織られた絨毯を想像します。今回、シャガールの作品がタピスリーになるということは、そういう感じのタピスリーなんだろうと、漠然と予想して出かけたのです。また、シャガールの作品は、色彩が幾重にも重なり、にじみもあって、線も自由に途切れ途切れ。そんな、いつもの油彩なり水彩なりの彼の作品がタピスリーになったら、それは、また別の作品なんだろう、、とも。

ところが館に入って目に飛び込んできた数メートルもある大きなサイズのタピスリーは、とても織物とは信じられない精巧なつくり。わずか25色の糸と使って、シャガールの作品そのものがタピスリーとして再現されていたのでした。

これは、シャガールが全幅の信頼を寄せていた、イヴェット・コキール=プランス(1928-2005)という女性による作品。昔の優れたタピスリー作品を研究して彼女独特の作品を生み出すことに成功したそうなのです。シャガール以外にも、ピカソやエルンストの作品のタピスリー化を行っています。「タピスリー」の認識を変えさせられてしまう、すばらしい作品。是非、お勧め。

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併せて、シャガールの油彩・水彩・リトグラフの作品も数多く展示されています。

1月27日まで。渋谷区立松濤美術館。300円。

New page of “August Macke”


I added the new page of “August Macke”. His color is very good !
I do not know the Japanese collection which houses his artworks.
There is a stamp of Germany, he is very popular in Germany I guess.

macke_1” Fashion Shop “ 1913 60.0*50.0
Westfälisches Landesmuseum für Kunst und Kulturgeschichte, Münste

デパート物産展ページを更新


年明けと共に、デパートの全国物産展が再開されますね。

サイト引っ越しに合わせて、このページのレイアウト刷新をして、内容を更新しました。日付ソート機能を付加しました。

こちら。 情報は、適宜、追加していきます。

しかし、デパートの美術展情報は把握しにくい。告知が直前であると共に、内容がタイトルしか判らないです。これでは、出展されるアーティストの方も、業界内での情報流通か、たまたまデパートに買い物に来た人にしか知れないでしょうから、苦労されているのでは無いでしょうか。。