ファインバーグ・コレクション展の感想
- 2013年05月29日
- 展覧会
まず、前期・後期で展示入替えがあります。会場の最初に配布されている出展リストを見ると、のべ出展数 96点中、前期のみ出展が 31点、後期のみが 27点となっており、結構な入れ替えがあることが判ります。
江戸期の幅広い作品が出展されており、パンフレットの宣伝文句通り「オールスター百花繚乱」で、それぞれに楽しめます。いくつか挙げますと、、
一番最初は
俵屋宗達 『 虎図 』
ネコトラ。江戸期の作品にある、当時の日本人が見たことが無いことによる、猫のような虎です。
次のルームに進んでびっくり。次の12幅が、ずらりと並んでいるではありませんか!
酒井抱一 『 一二ヶ月花鳥図 』
抱一は何点か、この種の作品を描いており、宮内庁三の丸尚蔵館、出光美術館、畠山美術館、香雪美術館にもありますけれど、それらのどれにも引けをとらない秀作。
酒井家の菩提寺であった前橋市の海龍院に伝来したものだそうで、明治初期にアメリカに渡っていたのか、近年、日本の画商から取得されたのか知れませんが、よく入手されたなぁ、というのが正直な感想。
鈴木其一 『 群鶴図屏風 』
上記、図録の表紙になっている作品。光琳の群鶴ともまた違う、鶴。
神坂雪佳 『 三保松原図小襖 』(前期のみ)
床の間にあった小襖でしょう。こういう襖があったら楽しいな。
池大雅 『 孟嘉落帽・東坡載笠図屏風 』
大胆な人物画であり歴史画。こういう自由な文人画もあるのだな、と面白いです。
池玉瀾 『 風竹図扇面 』
池大雅の奥さん。団扇用の小さな作品ですが、装飾である風に吹かれる竹の葉と詩歌の文字とのバランスが最高です。
中村竹洞 『 四季花鳥図 』
落ち着いた色。鳥の顔の表情もやさしくて良いです。
谷文晁 『 秋夜名月図 』
赤いドでかい印章を押してある奇抜な作品。谷文晁おもしろいなぁ。7月にサントリー美術館で開催される「谷文晁 展」に、俄然、行きたくなりました。
円山応挙 『 鯉亀図風炉先屏風 』 (前期のみ?)
後ろから光を当てると、屏風の背面の絹本に描かれた水紋が表に浮き出る凝った作りになっているとのこと。会場でも背面から光を当ててあればよかったのですが。。
伊藤若冲 『 菊図 』
これは三幅対。内一幅は国内のプライベートコレクションなのですが、今回、特別に出展されていて、完成版として鑑賞できます。この機会は、もう無いでしょう。
伊藤若冲 『 松図 』
荒々しい松。とげが刺さりそうな感じ。一気に描かれたもので、若冲は当時 81歳。すごくエネルギッシュです。
曾我蕭白 『 宇治川合戦図屏風 』
平家物語の一シーン。蕭白にしては、かなり、カラフル。
磯田湖龍斎 『 松風村雨図 』
白黒のモノトーンで、部分的に少しだけ、うっすらと金泥や紅色が使われた浮世絵の立ち姿図。こういうのを「紅嫌いの手法」というそうです。しかも三幅対。珍しい表現で、新鮮でした。
最後に、葛飾北斎 『 源頼政の鵺退治図 』
これも平家物語の一シーン。幅全体が、「鵺」が現れて来そうな、そんな雰囲気の仕上がりです。
などなど、これは後期のみの 27点も、とても楽しみです。^^
ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡
江戸東京博物館
5/21 – 7/15
MIHO MUSEUM
7/20 – 8/18
鳥取県立博物館
10/5 – 11/10
図録: 2,500円