再興第102回 院展の感想


いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。

◎ しばらく足が止まった作品
『 新緑の沼 』  手塚雄二
『 山鉾巡業 』  阪野智啓
『 朝陽と三日月 』  福王寺一彦

『 小さな駅 』  小田野尚之
『 春秋遊楽図 』  高橋天山

○ すこし足が止まった作品
『 残像夢 -繋-』  北澤龍
『 吉野 』  田淵俊夫
『 涅槃寂静 』  宮北千織
『 ねこ 』  平野博士

 

再興第101回 院展の感想


いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。

◎ しばらく足が止まった作品

『 跡(巡行)』  下川 辰彦
   始皇帝? 数百年か数千年の時の重ねがあり、想いが巡ります。
『 水明 』  安原 成美
   お餅のような雪。好きですわ。
『 Window 』  白石 綾奈
   盛夏の通りを墨で描いたかのようで、インパクトあり。
『 劫・サクラダ・ファミリア 』  吉家 研二
   どういう角度から見たものでしょう?
『 約束 』  速水 敬一郎
   夕景の中の美人画。珍しいかと思います。

○ すこし足が止まった作品

『 華 』  宮北 千織
『 雪夜(鬼の棲む画室)』  梅原 幸雄
『 金魚 』  齋藤 満栄

『 蛍 』  菊池 円
『 神話紀行 』  川村 敏博
『 鼓動 』  田中 裕子

『 冬の川 』  手塚 雄二
『 天文時計 』  清水 由朗
『 無常 』  井手 康人

・東京都美術館:   9. 1- 9.16
・京都市美術館:   9.22 – 10. 9
・大阪大丸心斎橋店: 10.12 – 10.18
・足立美術館:    10.22 – 11.13
・名古屋松坂屋美術館:11.26 – 12. 4
・富山県民会館:   12. 8 – 12.25
・岡山市天満屋:   1. 2 – 1.15
・広島市福屋:    1.19 – 1.31
・横浜そごう美術館: 2. 4 – 2.21
・天心記念五浦美術館:2.25 – 3.30
・北九州市立美術館分館:4. 7 – 5. 7
・今井美術館:    5.12 – 6. 1
・クリエート浜松:  6. 6 – 6.18

 

再興第100回 院展の感想


いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。

◎ しばらく足が止まった作品

『 白道 』  井手 康人
『 月ノウエ 月ノシタ 』  山崎 佳代
『 皇妃の一生 』  宮北 千織

『 朝陽の中で 』  福王寺 一彦
『 風の庭 』  北田 克己

○ すこし足が止まった作品

『 寧しい宙へ・一九〇三 』  坂元 洋介
『 シンパシー 』  西澤 秀行
『 共に 』  武蔵原 裕二

『 水面 』  小林 路子
『 雪月花 』  高橋 天山
『 一葉の躊躇い 』  染谷 香理

『 パリ・リヨン駅 』  岩永 てるみ
『 海霧 』  清水 達三

■ 再興第100回 院展  東京展
会場: 東京都美術館
期間: 2015. 9. 1 – 9.16  その後、全国各地巡回
日本美術院のホームページ

 

再興第99回 院展の感想


いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。

◎ しばらく足が止まった作品

『 雪間 』  安原 成美
『 秋陽 』  小林 路子

『 午下 』  山﨑 佳代
『 奉燈 』  阪野 智啓

『 二人 』  澁澤 星
『 桜島 』  後藤 純男

『 老松 』  大野 百樹

○ すこし足が止まった作品

『 坂の上から 』  伊藤 髟耳
『 あ伎の野辺 』  北田 克己

『 行く夏 』  守 みどり
『 佳き日 』  宮北 千織

『 浄闇“第62回伊勢神宮式年遷宮遷御之儀” 』  高橋 天山
『 白夜 』  吉村 誠司

『 悸 』  奥山 たか子

前回(再興第98回 院展)の感想

■ 再興第98回 院展  東京展
会場: 東京都美術館
期間: 2014. 9. 2 – 9.15  その後、全国各地巡回
HP:  日本美術院のホームページ

巡回展
京都市・京都市美術館:  9.19 – 10. 5
大阪市・大丸心斎橋店: 10. 8 – 10.14
安来市・足立美術館:  10.18 – 11. 9
福井市・福井県立美術館 11.14 – 11.24
名古屋市・松坂屋美術館:11.29 – 12. 7
横浜市・そごう美術館: 12.11 – 12.28

岡山市・天満屋:  2015.1. 2 – 1.18
広島市・福屋:      1.22 – 2. 3
浜松市・クリエート浜松: 2. 6 – 2.22
北茨城市・天心記念五浦美術館:2.28 – 3.29
北九州市・北九州市立美術館分館:4.10 – 5. 6
江津市・今井美術館:   5. 9 – 5.24

 

下村観山展の感想


kanzan201312下村観山は、卓抜した技量をもって岡倉天心の思想を絵画上に表現したといわれる画家です。同じ院展における横山大観や菱田春草が個別の回顧展が開催されるのに対し、この人の作品は何かの企画展の中に出品されるのみで、回顧展までは開催されません。また、先の二人の作品が切手の図柄に採用されているのに対して、観山の作品は取り上げられることがありません。

ともかく寡黙で、自ら美術思想を語る人ではなかったため、大観や春草と画論を交わすことは無かったそうです。大観からは「下村さんは(中略)、普段もあまり絵の話をしない人ですから、あるいはできない人ですから、私とはあまり話しませんし」(「大観語録」)とあり、春草も「下村君は全然独創的に新境域を開拓する人ではないやうである」と言っています。憶測ですが、大観や春草からすると、自らの考えを言明することも無く、すらすらと旨く描いてしまう観山はうらやましくもあり、歯がゆい面があったのでしょう。

前段が長くなりました。

今回の大規模回顧展、最初に展示室に入ってすぐ、狩野派の濃い線の軸作品がいくつか続きます。狩野派の誰かの参考出展かと思いつつも、なんだか子供じみた表現です。よく見たら、観山10歳の頃の作品とあり、びっくり。やはり天賦の才ですね。

その後、東京美術学校に入り、大和絵風、絵巻物風の習作が続きます。
そして、第一段としての完成を見るのが、『 闍維 』1898 (M31) や 『 修羅道 』1900 (M33) でしょう。

『 日・月蓬莱山図 』 1900 (M33) は、大観との朦朧体風景画の共作です。大観が天心と「ああだ、こうだ」と言って制作していったのと対照的に、観山は隣ですらすらと描いたように思えました。

ところで、英国留学中に制作された作品が数点、大英博物館に所蔵されています。さすがに、それらは今回は出展されていませんでしたが、大英博物館のDBで画像が見られますので、その一つにリンクしておきます。

ダイオゼニス

帰国後、五浦時代の、『 木の間の秋 』1907 (M40) 、原三渓の招きにより横浜本牧へ移動し、再興院展での『 白狐 』1914 (T03)、『 弱法師 』 1915 (T04) などの屏風絵の傑作が続きます。(前後期展示混ぜてます)

おもしろいのは、終盤に展示されている 1916 (T05)頃以降の宋元画風の作品群。多くの人物が、どれも岡倉天心の顔なんですね。観山としての感謝の念なのでしょうけれど、いくつも続けて見ると、ちょっと笑えます。

初見のところで良かったのは、『 春秋鹿図 』1902-06 (M35-39)頃。個人蔵らしいので、もう逢えないかもしれません。

あと、観山は鵜を扱った作品をいくつも描いていますが、昔、目黒雅叙園美術館にあった『 夕日と鵜 』1911 (M44)頃 に今回、再会出来ないかと期待していたものの、出ていませんでした。岩の描写が妙にインパクトあったのですが、今どこにあるのでしょう?

 

生誕140年記念 下村観山 展

横浜美術館
2013.12. 7 – 2014. 2.11
図録: ¥2,500

 

大田区立郷土博物館「川瀬巴水 展」の感想


西馬込 の大田区立郷土博物館にて、「 川瀬巴水 - 生誕130年記念 - 」展が開催されています。2013.10.27 – 2014. 3. 2 の期間、前期・中期・後期に分けて全点展示替えで、500点近くの巴水作品に会える、しかも無料公開の展覧会です。

川瀬巴水は大正から昭和初期にかけて活躍した版画家で、戦前の東京等の情景が、一見、江戸期の版画と似ているのですが、よく見ると電気が灯っていたり運河があったりと近代化含みのところに独特な情緒があります。

暗い夕刻の風景の家屋の中に明かりがあるのは、マグリット的でもあります。
NHKの番組でアップル社の故スティーブ・ジョブスも好んだとありましたが、彼は巴水のみではなく、近代日本版画全般が気に入っていたらしいです。

さて、この方、鏑木清方 の弟子でありました。大正期に三菱財閥がお得意先への配るために深川別邸を描いた「三菱深川別邸の図」というものを企画しました。当初、鏑木清方へ依頼されたのですが、清方は「風景なら巴水の方がいい」と彼を推挙したことで、巴水の作品が実現することになったのです。三菱の贈答品として海外にも広がったことで、世界的に人気となりました。

もし、鏑木清方作の美人風景画が実現して海外に出ていたら、国際的な清方人気が、もっと広がっていたかも? と思うと、正直、ちょっと残念な気もしますが、巴水自身意図したわけではないでしょうが、思わぬところで、結果的に国際媒体に乗って広がったというマーケティングに成功したわけですね。

otaku201310
川瀬巴水 - 生誕130年記念 -
大田区立郷土博物館
2013.10.27 – 2014. 3. 2   前期・中期・後期: 全点展示替え
図録: 2,000円

なお、同時期、千葉市美術館でも「 川瀬巴水 展 」が開催されています。
2013.11.26 – 2014. 1.19

 

印象派を超えて 展の感想


nact201310オランダのクレラー・ミュラー美術館所蔵作品展であり、パンフの表紙もゴッホなので、ゴッホ作品が多いのだろうと思って出かけました。しかし、ゴッホ作品は1室のみ。全体は分割主義(点描)の作品を説明し、コレクターであるクレラーさんの意向を分析していくという構成です。

まず、ゴッホのこと。
同じくオランダのゴッホ美術館が、最初、アムステルダム市立美術館へ遺贈された後に専門美術館として設立されたのと違って、クレラー・ミュラー美術館は能動的にゴッホ作品が蒐集されたものです。ですので、こちらこそ世界最大のゴッホ・コレクションというべきものだと思います。

では、何故に、クレラーさんは、かくもゴッホ作品に魅入ったのでしょう?
クレラー・ミュラー美術館サイトには「彼女はゴッホの新しい人間性に惚れた」とあるものの、過去のゴッホ展でも、その説明が無かったように思います。

今回、この展覧会の図録に、ようやく、その解説がありました。彼女は指南役であるブレマーの影響を受けて、「芸術作品を決定するものには、芸術家の人間性、環境、そして時代の精神の3つの要素がある」という考え方をしていたそうなのです。そういった思想の上で、ゴッホは過去には無かった新しい人間性を持った画家、と見いだしたのでしょう。

さて、その他の分割主義作品。
スーラの作品は当然のことですが、クレラーさんは蒐集のタイミングを逃したらしく、シカゴ美術館やナショナル・ギャラリー,ロンドンにあるような名作は手に入れられなかった模様です。

今回、オランダの点描作品画家、レイセルベルへの作品がたくさん展示されています。オルセーを含む過去の大型美術館所蔵品展でも、彼の作品はそれぞれ1~2点のみが出展されるだけでしたので、これは貴重な展示かと思います。

モンドリアンについても、これまでは、クレラーさんは、その新規性に興味を持っていたという説明だけだったと思います。事実、彼女のコレクションはモンドリアンの完成作が出る前で終わっているのです。今回、これも色彩分割の延長として位置づけられるという解説がされていました。これは納得出来ます。逆に、初期段階にして、それを認識されていたということに驚きを感じました。

なお、ピサロ等、その他の点描作品が、国内の美術館からも数多く出展されています。最初の部屋が国内美術館所蔵のみでしたので、あれ? という感じがしました。
サントリー美術館からも出展されていました。六本木へ移転以降、所蔵西洋画の作品が展示されたことが無く(確か)、大阪も閉じてしまわれたので、コレクション自体どうなっているのだろう? と不明なのですが、今後、その他の所蔵作品も出展していただく機会が増えるとありがたいですね。

nact201310_2

「 印象派を超えて - 点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで 」

図録 ¥ 2,300

国立新美術館: 2013.10. 4 – 12.23

広島県立美術館: 2014. 1. 2 – 2.16

愛知県美術館: 2014. 2.25 – 4. 6

※ クレラー・ミュラー美術館の紹介ページ

モローとルオー展の感想


shiodome201210_zパリのギュスターヴ・モロー美術館が改装のため、モロー作品の貸し出しが実現した美術展。『 キマイラたち 』のような大きな作品の貸し出しは難しいとしても、結構、たくさん会えるかと楽しみにしていた展覧会です。

総論としては、汐留ミュージアムの展覧会であるためか、「モローの一番弟子であったルオーについて」という面を主題に置いた感が強かったように思います。出品数もモローとルオーと半々でした。

とはいえ、
 『 ヘラクレスとレルネのヒュドラ 』
 『 ハムレット 』
 『 一角獣 』
 『 セイレーンたち 』

などなど、国内では拝見できない作品が数多く出品されています。貴重な機会です。

パンフレットにも掲載されている、モローの『 ユピテルとセメレ 』は、同名の代表作の試作的作品。この後、あの、おどろおどろしい完成作へと向かうのですね。

また、『 油彩下絵 』という、大作の背景部分の試作がいくつか出ていましたが、これらは抽象絵画のようであり、新たな発見でした。

一方、ルオーについても、初期の頃は明暗表現の作品を描いており、当時、美術学校のみんなからは「レンブラントの再来」と言われていたとのこと。ある時期以降、彼独自の表現へと移行するわけですが、当初、そういう作品を残していたとは意外でした。

 

モローとルオー - 聖なるものの継承と変容 -
2013. 9. 7 – 12.10
汐留ミュージアム図録: ¥2,300
2013.12.20 – 2014. 3.23 松本市美術館 へ巡回

気になる美術展一覧

再興第98回 院展の感想


今回は、なかなか時間が取れず、東京展終盤になって、やっと行けました。
いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。

しばらく足が止まった作品

『 想 』  宮北 千織
『 夏の細道 』  北田 克己

『 花の中に 』  伊藤 髟耳
『 雪の音・橅の音 』  安原 成美

『 春爛漫 』  田淵 俊夫
『 Ataraxia の映帯 』  大久保 智睦

すこし足が止まった作品

『 空へ 』  郷倉 和子
『 莫妄想 』  藤城 正晴

『 百花為誰開 』  井手 康人
『 発電所跡 』  小野田 尚之

『 秋色の中で 』  杉山 紅
『 連なりのある街 』  中神 敬子

『 ひととき 』  武蔵原 祐二

前回(第68回 春の院展)の感想

■ 再興第98回 院展  東京展
会場: 東京都美術館
期間: 2013. 9. 1 – 9.16  その後、全国各地巡回
HP:  日本美術院のホームページ

巡回展
京都市・京都市美術館: 9.20 – 10. 6
大阪市・大丸心斎橋店: 10. 9 – 10.15
山形市・山形美術館: 10.19 – 11. 4
安来市・足立美術館: 11. 8 – 11.26
名古屋市・松坂屋美術館: 11.30 – 12. 8
横浜市・そごう美術館: 12.12 – 12.28
岡山市・天満屋: 2014.1. 2 – 1.19
広島市・福屋: 1.23 – 2. 4
宇都宮市・東武宇都宮百貨店: 2. 8 -2.18
魚津市・新川文化ホール: 3.14 – 3.30
北九州市・北九州市立美術館分館: 4.21 – 5.18
江津市・今井美術館: 5.23 – 6. 8

 

「アメリカン・ポップ・アート展」の感想


nact201308_z
国内美術館にあるアメリカン・ポップ・アート作品の全てを集合させても、これだけまとまった展示はできないだろうと思えるくらい、強力なコレクションの展覧会です。そもそも、日本国内でアメリカン・ポップ・アートのみの作品展が開催されることは稀なのですが、ウォーホルだけでなくロイ・リキテンスタインやウッセルマン等の作品も数多くまとめて鑑賞できるというのは、ほんとうに稀少だと思います。

展覧会の流れは、抽象表現主義からポップ・アートへの橋渡しとなった、ロバート・ラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズから始まります。ラウシェンバーグの「コンバイン」シリーズ作品、さらには、ジョーンズの「ハッチング」シリーズ作品をまとめて鑑賞できたのは初めてでした。

続いて、ラリー・リヴァーズとジム・ダインへ、そして、「ソフト・スカルプチャー」のクレス・オルデンバーグと移ります。

そして、いよいよ、アンディ・ウォーホル となるのですが、『 キャンベル・スープ缶 』のみならず、『 電気椅子 』『 マリリン 』『 毛沢東 』『 花 』、、と代表作の大集合!
その中でも圧巻なのは「キミコ・パワーズの部屋」とも呼ぶべき、一室全部がウォーホルによるキミコ・パワーズさん作品で埋め尽くされたコーナー。これは、このコレクションでしか実現できないでしょう。

ココまでだけでもお腹いっぱいというところなのですが、次に、ロイ・リキテンスタイン。『 鏡の中の少女 』などの他に「モネの大聖堂シリーズ」まで逢えるとは感涙ものでした。

メル・ラモス、ジェイムズ・ローゼンクイストと来て、〆は、トム・ウッセルマン。線だけのヌードが妙にエロいんですが、さらには鉄をレーザーで切って具象的に表現した作品も出品されていました。

さて、図録の最初にキミコ・パワーズさんによる蒐集回顧談が掲載されています。力入れての購入という姿勢では無く、日々の茶飲み集まり的場所がギャラリーであって、気に入ったものを集めていったという話はおもしろかったです。
この図録、3,500円と、ちょい高めなのですが、アメリカン・ポップ・アートの流れを追って把握できるように解説されていますので、学術書としても重要でしょう。

これまでにアメリカ本国でも全貌が紹介される機会は無かったというパワーズ・コレクションの展覧会。必見です。

アメリカン・ポップ・アート展
国立新美術館
2013. 8. 7 – 10.21

気になる美術展一覧

秘蔵の名品アートコレクション展の感想


okura201308

毎年夏の時期にホテルオークラ東京にて趣向を変えて開催される「秘蔵の名品アートコレクション展」。今年は「パリ」という場所をキーにした作品展。第一次世界大戦後にパリに集まったエコール・ド・パリの画家たちを対象にした展覧会は度々開催されていますが、今回は日仏両画家の作品を織り交ぜてあるところが特徴的でしょう。

ヴラマンクに里見勝蔵、ユトリロに佐伯祐三などなど、パリに行った日本人画家が、どういう風に影響を受けて、そして、それを越えて自分の境地を切り開いたかを、それぞれの作品を並べて展示してあります。

マルケの展示があるところで、藤島武二はマルケの影響を受けているはずだと思うのですが、藤島の展示はありませんでした。彼はパリの風景は描いていなかったからであり、時代がずれるからしょう。いつかどこかで、マルケと藤島武二の比較、および、その後の影響について分析した展覧会がないかな、と思っています。

さて、個別の作品の感想としては、、

モネ『 菫の花束を持つカミーユ・モネ 』。へぇー、こんなカミーユの肖像画があったのですか。しかも、所蔵は知れないものの、日本国内に。カミーユの表情がはっきり知れる作品は、カミーユが何人も現れる『 庭の女たち 』か、もしくは死の床の悲しい作品ぐらいで、これは珍しいです。これこそ「秘蔵の名品」と思いきや、企画者のお一人である熊澤さんから「2007年の国立新美術館でのモネ展に出ていたよ」と教えていただきました。それは漏らしてました。

パンフレットから、アサヒビール大山崎山荘美術館のモネ『 睡蓮 』が出ることが知れていましたので、2メートル四方の大きな作品が来るのだろうかと期待していましたが、それは叶わなかったようです。

パリということで藤田の作品も出ているだろうと思ったら、6点も出ていました。『 パリ風景 』は「小さな職人」タッチの作品で、内容は富める者と貧しき者でしょう。清方の『 讃春 』みたいなもの。『 朝の買物 』も市中での1ショットですが、藤田のそういう作品が他にもあったことは発見でした。

 

モネ ユトリロ 佐伯と日仏絵画の巨匠たち
ホテルオークラ東京 アスコットホール(別館地下2階)
2013. 8. 7 – 2013. 9. 1

大倉コレクションの精華 II の感想


okura201308_2「大倉コレクションの精華 II - 近代日本画名品選 -」展。

今回、横山大観の「ローマ日本美術展覧会ポスター」が出るとあり、これは観ておきたいと思いました。さて、いつ行こうかと思っていたら、ホテルオークラ東京 別館地下2階のアスコットホールで開催されている「秘蔵の名品アートコレクション展」の 1,200円のチケットで、こちら大倉集古館の展覧会も鑑賞できるとありました。ラッキー。得した感じです。^^

いつも花冷えのする寒い春先に鑑賞することが多い大観の『 夜桜 』。この特別に暑い夏に観ると、なんだか違和感がありました。秋に横浜美術館で逢うときは、また別の感覚でしょうか。

この、ローマ日本美術展覧会出展作品の中で好きなのは、小林古径の『 木菟図 』です。暗闇の中、ミミズクの紅い目が赤い木の花と同調して、そして、キョロっと動き出しそうなのです。

大倉コレクションの精華 II 展は、 2013. 8. 3 – 9.29
秘蔵の名品アートコレクション展は、2013. 8. 7 – 9. 1

ですので、9/1までにホテルオークラ東京に行かれて、一緒に鑑賞されることおすすめです。^^

 

ブリティッシュ・カウンシル展の予告


来年1月から東京ステーションギャラリーで開催予定の「英国現代アート展」が仮称で発表されていました。イギリスのコンテンポラリー・アートが、まとまった形で美術館で開催されるのは珍しいので楽しみです。

さて、その中身は、まだ知れないのですが、先日、正式展覧会名が発表されました。

「プライベート・ユートピア ここだけの場所
ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在」
東京ステーションギャラリー / 2014. 1.18 – 3. 9

ブリティッシュ・カウンシルって、留学・英会話の ??
そうです。イギリスの国際文化交流機関ですね。
日本のページはこちら

ここがアートの活動が活発であること、所蔵があるとも知りませんでしたので、また、ツイートしたら意外と反響も多かったので、少し予習です。
本国のアートのサイトはこちら

アート活動や展示会等の情報が掲載されており、コレクションの作品画像も観ることができます。

イギリスのアーティストの初期段階の作品を集めることがコレクションのポリシーになっているとのこと。また、あらゆるメディアにおける突出した作品を集めているとのことです。

さて、これらの中から、どんな作品がやって来るでしょうか。東京ステーションギャラリーから展示会の詳細が出てくるのは、もう少し先でしょうが、期待してましょう。

「ミン・ウォン展 私のなかの私」の感想


資生堂ギャラリーで開催されている「ミン・ウォン展 私のなかの私」に、昨日、行ってきました。

ミン・ウォン氏はベルリンを拠点に活動しているシンガポールのアーティスト。
地下の資生堂ギャラリーへ潜ると、日本の歌舞伎と小津映画とエヴァンゲリオン等のアニメを題材にした3種の映像作品がそれぞれ流されており、ミン・ウォン氏自身が映像の中で3役以上をこなしています。各役回りを別々に撮影した上で合成して共演しているように見せるという凝った作りになっています。

さらには、広いフロアの3壁面に、別アングルからの映像や撮影風景などが映像がすべて同期した形で流され、いわば、映像合成の種明かしもされているのです。

男のごつい体型で女性に扮した姿などなど、もう一度見たいか? というと、それは違うのですが、シリアスなテーマを選定しパロディの一歩手前で、このように日本という文化をリメイクしていることは、お見事でしょう。

総じて、その感想はというと、「参ったなぁ」というところですね。
「いや、違うんだけど、そんなことはしないんだけど、うむ、確かにそうです」と。

さて、ギャラリーに入るときには、ぽつぽつと降り始めていた雨。30分ほどの鑑賞を終えて地下から上がってきてみるや、外は激どしゃ降り! 雷もすごかった。

ミン・ウォン展 私のなかの私

資生堂ギャラリー
2013. 7. 6 – 2013. 9.22

プーシキン美術館展の感想


pushkin20132011年の春に開催予定でしたが、東日本大震災直後の混乱のため中止になってしまったので、もう無理かと思っていたプーシキン美術館展。幸い復活することになり、今年、名古屋を経て、ようやく横浜にやって来ました。当館の作品は 2005~06年にも来日しましたが、今回はオールドマスターの作品を含めた展覧会です。

まず、パンフの裏側に掲載されている アングル の 『 聖杯の前の聖母 』 1841。
聖母にしては、ちょっと色っぽいかな、という感じですが、さすが、アングル。春先のラファエロの聖母とも違った、絶妙な魅力を放っています。

嬉しいことに ジェローム の作品が1点。『 カンダウレス王 』 1859-60頃。
古代リュディアというところの王交代劇の発端となった一場面ですが、ストーリーを抜きにしても、ジェロームならではの、不遜か否かギリギリのエロチックな作品。

今回の展覧会の看板になっている、ルノワール の 『 ジャンヌ・サマリーの肖像 』 1877。画風の変化が少ないルノワールにおいて、なにか特定の作品を「最高傑作」と称すのは難しいと思うのですが - そう云うなら、先日のクラーク美術館展の作品も「最高傑作だらけ」になるでしょう - これもピンクの色彩が美しい良い作品であることには間違いありません。旧モロゾフ・コレクション。

さて、センスが尖っているのは、やはり、シチューキン・コレクションの作品群。

ピカソ扇子を持つ女 』 1909。『 女王イザボー 』の連作とも取れる緑色の、分析的キュビズム時代の作品。去年・今年と、ピカソ作品展示の美術展が少ない中、ピカソ・ファンには必見の作品でしょう。

セザンヌ パイプをくわえた男 』 1893-96頃。胴が長くて腕も長い作品。謎かけの多いセザンヌ先生の作品ですが、人物画だけは、その意図が読みづらいのです。今回、この作品の前で 20分ほど粘りましたが解けず。。

ゴーギャン エイアハ・オヒパ(働くなかれ)』 1896。『 浅瀬(逃走)』など、その後の毒気が増す前の、比較的、落ち着いた感のある作品。

マティスカラー、アイリス、ミモザ 』 1913。ラフな描写ながらも、色彩のバランスが、なんとも心地よい作品。シチューキン・コレクションのマティス作品は、エルミタージュ美術館へ行ったものが多いのですが、これは良い作品。

ところで、今回の展示会に同期したイベントとして、池田理代子さんによる3本の書き下ろしコミック がWeb上で公開されています。それぞれ期間限定での公開なので、見逃せません。7~9月の期間に公開されているのは「モスクワの悲劇」。中を見てみると、これはシチューキン氏の伝記であり、家族の自殺や病死といった度重なる悲劇に見舞われたことが知れます。そういう中で、彼の鑑識眼は異様に研ぎ澄まされていったのかもしれません。

図録:¥2,000   2,000円というのはありがたいです。図録なるもの、2,500円前後だと、ちょっと躊躇するも、まぁ仕方ないかと。3,000円近くになると結構躊躇。どーしよーかなーと悩みます。3,000円を超えると、もう断念してしまうことが多いです。

さて、プーシキン美術館の所蔵品、これですべてかというと、いえいえ、まだまだ。
例えば、モネ の 『 草上の昼食 』 1866 が、まだ来ていないでしょう。これは、オルセーにある有名な同名作品とは、また違った完成度があるようです。次の機会に来てくれないかなと、今から期待 ^^;

pushkin_monet
プーシキン美術館展
横浜美術館  2013. 7. 6 – 9.16
神戸市立博物館  2013. 9.28 – 12. 8

プーシキン美術館のページ
気になる美術展一覧