再興第109回 院展(東京展)の感想
毎度の通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリストです(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 霞野 』 手塚 雄二
『 月乃神 』 井手 康人
『 夢模様 』 足立 知美
『 映 』 小田野 尚之
○ すこし足が止まった作品
『 A sight – 45 – 』 山浦 めぐみ
『 幽玄彩霞 』 加藤 厚
『 夏陰 』 小針 あすか
『 キュビズムな町 』 松下 明生
『 白日の憂鬱 』 廣田 晴彦
・前回、再興第108回 院展 の感想
・日本美術院のホームページ
・全国巡回日程のページは,こちら
毎度の通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリストです(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 競馬場跡 』 小田野 尚之
『 錯然 』 宮廻 正明
○ すこし足が止まった作品
『 フロイスのみた岐阜 』 山本 真一
『 名古屋港 』 本地 祐輔
『 神楽の貌 』 川﨑 麻央
・前回、再興第107回 院展 の感想
・日本美術院のホームページ
・全国巡回日程のページは,こちら
毎度の通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリストです(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 二十歳の心 』 宮北 千織
『 四季の船 』 村岡 貴美男
『 朝 』 小田野 尚之
○ すこし足が止まった作品
『 池之端 』 手塚 雄二
『 まほろば 』 西岡 悠紀
『 COMPLETE MESS 』 式部 雅子
『 本に似た迷路と女のふりをする隘路 』 平林 貴宏
・前回、再興第106回 院展 の感想
・日本美術院のホームページ
・全国巡回日程のページは,こちら
長引くコロナ禍の中で、各作品にも多分に閉塞感が含まれているかのような感じがありました。毎回の通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリストです(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 ここにあるもの 』 小針 あすか
『 Dream arc 』 奥川 夏妃
『 きんとんうん 』 宮廻 正明
○ すこし足が止まった作品
『 月影 』 宮北 千織
『 光函 』 守 みどり
『 サンサシオン 』 西岡 悠紀
『 花ひらく 』 栁沢 優子
『 共鳴 』 村上 里沙
→ 前回、再興第105回 院展 の感想
今年も、無事開催されてよかったです。毎回の通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリストです(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 浄 』 瀧下 尚久
『 黄金の林檎 』 川村 敏博
『 北越雪譜 』 浦上 義昭
○ すこし足が止まった作品
『 風 止む 』 小野田 尚之
『 朱夏 』 守 みどり
『 茫洋とした予感の中で 』 廣田 晴彦
『 雪の華・浮舟 』 高橋 天山
『 映 』 菅原 美惠子
前回、再興第104回 院展 の感想
日本美術院のホームページ
今回は少なかったのですが、毎回の通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリストです(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 こ・おう 』 山﨑佳代
『 戻り梅雨 』 菅原三惠子
『 二元 』 井手康人
○ すこし足が止まった作品
『 神殿 』 西田俊英
『 仰 』 吉家研二
『 人形の見る世界 サメを観る日 』 佐藤佑
『 游 』 小林路子
いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 歓声 』 藤井聡子
『 襲 -鵺- 』 川﨑麻央
『 小樽 』 本地裕輔
『 木の国 』 長谷川万秩子
○ すこし足が止まった作品
『 舞い支度 』 梅原幸雄
『 はるか・金華山 』 伊藤髟耳
『 螢雪勉励図 』 高橋天山
『 渡航前夜 』 牧野環
『 神輿渡御 』 阪野智啓
いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 新緑の沼 』 手塚雄二
『 山鉾巡業 』 阪野智啓
『 朝陽と三日月 』 福王寺一彦
『 小さな駅 』 小田野尚之
『 春秋遊楽図 』 高橋天山
○ すこし足が止まった作品
『 残像夢 -繋-』 北澤龍
『 吉野 』 田淵俊夫
『 涅槃寂静 』 宮北千織
『 ねこ 』 平野博士
いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 跡(巡行)』 下川 辰彦
始皇帝? 数百年か数千年の時の重ねがあり、想いが巡ります。
『 水明 』 安原 成美
お餅のような雪。好きですわ。
『 Window 』 白石 綾奈
盛夏の通りを墨で描いたかのようで、インパクトあり。
『 劫・サクラダ・ファミリア 』 吉家 研二
どういう角度から見たものでしょう?
『 約束 』 速水 敬一郎
夕景の中の美人画。珍しいかと思います。
○ すこし足が止まった作品
『 華 』 宮北 千織
『 雪夜(鬼の棲む画室)』 梅原 幸雄
『 金魚 』 齋藤 満栄
『 蛍 』 菊池 円
『 神話紀行 』 川村 敏博
『 鼓動 』 田中 裕子
『 冬の川 』 手塚 雄二
『 天文時計 』 清水 由朗
『 無常 』 井手 康人
・東京都美術館: 9. 1- 9.16
・京都市美術館: 9.22 – 10. 9
・大阪大丸心斎橋店: 10.12 – 10.18
・足立美術館: 10.22 – 11.13
・名古屋松坂屋美術館:11.26 – 12. 4
・富山県民会館: 12. 8 – 12.25
・岡山市天満屋: 1. 2 – 1.15
・広島市福屋: 1.19 – 1.31
・横浜そごう美術館: 2. 4 – 2.21
・天心記念五浦美術館:2.25 – 3.30
・北九州市立美術館分館:4. 7 – 5. 7
・今井美術館: 5.12 – 6. 1
・クリエート浜松: 6. 6 – 6.18
いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 白道 』 井手 康人
『 月ノウエ 月ノシタ 』 山崎 佳代
『 皇妃の一生 』 宮北 千織
『 朝陽の中で 』 福王寺 一彦
『 風の庭 』 北田 克己
○ すこし足が止まった作品
『 寧しい宙へ・一九〇三 』 坂元 洋介
『 シンパシー 』 西澤 秀行
『 共に 』 武蔵原 裕二
『 水面 』 小林 路子
『 雪月花 』 高橋 天山
『 一葉の躊躇い 』 染谷 香理
『 パリ・リヨン駅 』 岩永 てるみ
『 海霧 』 清水 達三
■ 再興第100回 院展 東京展
会場: 東京都美術館
期間: 2015. 9. 1 – 9.16 その後、全国各地巡回
日本美術院のホームページ
いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 雪間 』 安原 成美
『 秋陽 』 小林 路子
『 午下 』 山﨑 佳代
『 奉燈 』 阪野 智啓
『 二人 』 澁澤 星
『 桜島 』 後藤 純男
『 老松 』 大野 百樹
○ すこし足が止まった作品
『 坂の上から 』 伊藤 髟耳
『 あ伎の野辺 』 北田 克己
『 行く夏 』 守 みどり
『 佳き日 』 宮北 千織
『 浄闇“第62回伊勢神宮式年遷宮遷御之儀” 』 高橋 天山
『 白夜 』 吉村 誠司
『 悸 』 奥山 たか子
※ 前回(再興第98回 院展)の感想
■ 再興第98回 院展 東京展
会場: 東京都美術館
期間: 2014. 9. 2 – 9.15 その後、全国各地巡回
HP: 日本美術院のホームページ
巡回展
京都市・京都市美術館: 9.19 – 10. 5
大阪市・大丸心斎橋店: 10. 8 – 10.14
安来市・足立美術館: 10.18 – 11. 9
福井市・福井県立美術館 11.14 – 11.24
名古屋市・松坂屋美術館:11.29 – 12. 7
横浜市・そごう美術館: 12.11 – 12.28
岡山市・天満屋: 2015.1. 2 – 1.18
広島市・福屋: 1.22 – 2. 3
浜松市・クリエート浜松: 2. 6 – 2.22
北茨城市・天心記念五浦美術館:2.28 – 3.29
北九州市・北九州市立美術館分館:4.10 – 5. 6
江津市・今井美術館: 5. 9 – 5.24
下村観山は、卓抜した技量をもって岡倉天心の思想を絵画上に表現したといわれる画家です。同じ院展における横山大観や菱田春草が個別の回顧展が開催されるのに対し、この人の作品は何かの企画展の中に出品されるのみで、回顧展までは開催されません。また、先の二人の作品が切手の図柄に採用されているのに対して、観山の作品は取り上げられることがありません。
ともかく寡黙で、自ら美術思想を語る人ではなかったため、大観や春草と画論を交わすことは無かったそうです。大観からは「下村さんは(中略)、普段もあまり絵の話をしない人ですから、あるいはできない人ですから、私とはあまり話しませんし」(「大観語録」)とあり、春草も「下村君は全然独創的に新境域を開拓する人ではないやうである」と言っています。憶測ですが、大観や春草からすると、自らの考えを言明することも無く、すらすらと旨く描いてしまう観山はうらやましくもあり、歯がゆい面があったのでしょう。
前段が長くなりました。
今回の大規模回顧展、最初に展示室に入ってすぐ、狩野派の濃い線の軸作品がいくつか続きます。狩野派の誰かの参考出展かと思いつつも、なんだか子供じみた表現です。よく見たら、観山10歳の頃の作品とあり、びっくり。やはり天賦の才ですね。
その後、東京美術学校に入り、大和絵風、絵巻物風の習作が続きます。
そして、第一段としての完成を見るのが、『 闍維 』1898 (M31) や 『 修羅道 』1900 (M33) でしょう。
『 日・月蓬莱山図 』 1900 (M33) は、大観との朦朧体風景画の共作です。大観が天心と「ああだ、こうだ」と言って制作していったのと対照的に、観山は隣ですらすらと描いたように思えました。
ところで、英国留学中に制作された作品が数点、大英博物館に所蔵されています。さすがに、それらは今回は出展されていませんでしたが、大英博物館のDBで画像が見られますので、その一つにリンクしておきます。
『 ダイオゼニス 』
帰国後、五浦時代の、『 木の間の秋 』1907 (M40) 、原三渓の招きにより横浜本牧へ移動し、再興院展での『 白狐 』1914 (T03)、『 弱法師 』 1915 (T04) などの屏風絵の傑作が続きます。(前後期展示混ぜてます)
おもしろいのは、終盤に展示されている 1916 (T05)頃以降の宋元画風の作品群。多くの人物が、どれも岡倉天心の顔なんですね。観山としての感謝の念なのでしょうけれど、いくつも続けて見ると、ちょっと笑えます。
初見のところで良かったのは、『 春秋鹿図 』1902-06 (M35-39)頃。個人蔵らしいので、もう逢えないかもしれません。
あと、観山は鵜を扱った作品をいくつも描いていますが、昔、目黒雅叙園美術館にあった『 夕日と鵜 』1911 (M44)頃 に今回、再会出来ないかと期待していたものの、出ていませんでした。岩の描写が妙にインパクトあったのですが、今どこにあるのでしょう?
生誕140年記念 下村観山 展
横浜美術館
2013.12. 7 – 2014. 2.11
図録: ¥2,500
西馬込 の大田区立郷土博物館にて、「 川瀬巴水 - 生誕130年記念 - 」展が開催されています。2013.10.27 – 2014. 3. 2 の期間、前期・中期・後期に分けて全点展示替えで、500点近くの巴水作品に会える、しかも無料公開の展覧会です。
川瀬巴水は大正から昭和初期にかけて活躍した版画家で、戦前の東京等の情景が、一見、江戸期の版画と似ているのですが、よく見ると電気が灯っていたり運河があったりと近代化含みのところに独特な情緒があります。
暗い夕刻の風景の家屋の中に明かりがあるのは、マグリット的でもあります。
NHKの番組でアップル社の故スティーブ・ジョブスも好んだとありましたが、彼は巴水のみではなく、近代日本版画全般が気に入っていたらしいです。
さて、この方、鏑木清方 の弟子でありました。大正期に三菱財閥がお得意先への配るために深川別邸を描いた「三菱深川別邸の図」というものを企画しました。当初、鏑木清方へ依頼されたのですが、清方は「風景なら巴水の方がいい」と彼を推挙したことで、巴水の作品が実現することになったのです。三菱の贈答品として海外にも広がったことで、世界的に人気となりました。
もし、鏑木清方作の美人風景画が実現して海外に出ていたら、国際的な清方人気が、もっと広がっていたかも? と思うと、正直、ちょっと残念な気もしますが、巴水自身意図したわけではないでしょうが、思わぬところで、結果的に国際媒体に乗って広がったというマーケティングに成功したわけですね。
「 川瀬巴水 - 生誕130年記念 - 」
大田区立郷土博物館
2013.10.27 – 2014. 3. 2 前期・中期・後期: 全点展示替え
図録: 2,000円
なお、同時期、千葉市美術館でも「 川瀬巴水 展 」が開催されています。
2013.11.26 – 2014. 1.19
オランダのクレラー・ミュラー美術館所蔵作品展であり、パンフの表紙もゴッホなので、ゴッホ作品が多いのだろうと思って出かけました。しかし、ゴッホ作品は1室のみ。全体は分割主義(点描)の作品を説明し、コレクターであるクレラーさんの意向を分析していくという構成です。
まず、ゴッホのこと。
同じくオランダのゴッホ美術館が、最初、アムステルダム市立美術館へ遺贈された後に専門美術館として設立されたのと違って、クレラー・ミュラー美術館は能動的にゴッホ作品が蒐集されたものです。ですので、こちらこそ世界最大のゴッホ・コレクションというべきものだと思います。
では、何故に、クレラーさんは、かくもゴッホ作品に魅入ったのでしょう?
クレラー・ミュラー美術館サイトには「彼女はゴッホの新しい人間性に惚れた」とあるものの、過去のゴッホ展でも、その説明が無かったように思います。
今回、この展覧会の図録に、ようやく、その解説がありました。彼女は指南役であるブレマーの影響を受けて、「芸術作品を決定するものには、芸術家の人間性、環境、そして時代の精神の3つの要素がある」という考え方をしていたそうなのです。そういった思想の上で、ゴッホは過去には無かった新しい人間性を持った画家、と見いだしたのでしょう。
さて、その他の分割主義作品。
スーラの作品は当然のことですが、クレラーさんは蒐集のタイミングを逃したらしく、シカゴ美術館やナショナル・ギャラリー,ロンドンにあるような名作は手に入れられなかった模様です。
今回、オランダの点描作品画家、レイセルベルへの作品がたくさん展示されています。オルセーを含む過去の大型美術館所蔵品展でも、彼の作品はそれぞれ1~2点のみが出展されるだけでしたので、これは貴重な展示かと思います。
モンドリアンについても、これまでは、クレラーさんは、その新規性に興味を持っていたという説明だけだったと思います。事実、彼女のコレクションはモンドリアンの完成作が出る前で終わっているのです。今回、これも色彩分割の延長として位置づけられるという解説がされていました。これは納得出来ます。逆に、初期段階にして、それを認識されていたということに驚きを感じました。
なお、ピサロ等、その他の点描作品が、国内の美術館からも数多く出展されています。最初の部屋が国内美術館所蔵のみでしたので、あれ? という感じがしました。
サントリー美術館からも出展されていました。六本木へ移転以降、所蔵西洋画の作品が展示されたことが無く(確か)、大阪も閉じてしまわれたので、コレクション自体どうなっているのだろう? と不明なのですが、今後、その他の所蔵作品も出展していただく機会が増えるとありがたいですね。
「 印象派を超えて - 点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで 」
図録 ¥ 2,300
国立新美術館: 2013.10. 4 – 12.23
広島県立美術館: 2014. 1. 2 – 2.16
愛知県美術館: 2014. 2.25 – 4. 6
※ クレラー・ミュラー美術館の紹介ページ
パリのギュスターヴ・モロー美術館が改装のため、モロー作品の貸し出しが実現した美術展。『 キマイラたち 』のような大きな作品の貸し出しは難しいとしても、結構、たくさん会えるかと楽しみにしていた展覧会です。
総論としては、汐留ミュージアムの展覧会であるためか、「モローの一番弟子であったルオーについて」という面を主題に置いた感が強かったように思います。出品数もモローとルオーと半々でした。
とはいえ、
『 ヘラクレスとレルネのヒュドラ 』
『 ハムレット 』
『 一角獣 』
『 セイレーンたち 』
などなど、国内では拝見できない作品が数多く出品されています。貴重な機会です。
パンフレットにも掲載されている、モローの『 ユピテルとセメレ 』は、同名の代表作の試作的作品。この後、あの、おどろおどろしい完成作へと向かうのですね。
また、『 油彩下絵 』という、大作の背景部分の試作がいくつか出ていましたが、これらは抽象絵画のようであり、新たな発見でした。
一方、ルオーについても、初期の頃は明暗表現の作品を描いており、当時、美術学校のみんなからは「レンブラントの再来」と言われていたとのこと。ある時期以降、彼独自の表現へと移行するわけですが、当初、そういう作品を残していたとは意外でした。
「 モローとルオー - 聖なるものの継承と変容 - 」
2013. 9. 7 – 12.10
汐留ミュージアム図録: ¥2,300
2013.12.20 – 2014. 3.23 松本市美術館 へ巡回
→ 気になる美術展一覧