クールベと村内美術館


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6/10はクールベの誕生日。以前、村内美術館所蔵だった、この  『 フラジェの樫の木 』 は、フランス国家から熱望されて、返却(4億円で売却)されたそうです。今、フランスの国宝となり、オルナンのクールベ美術館 蔵となっています。

その村内美術館、今月の25日をもって、一旦、閉館となります。1982年11月から常設展示として長年続いてきた「ミレー、コロー、クールベとバルビゾン派」展も、終わりです。
前半はバルビゾン派の薄暗いトーンの作品が並び、中盤からはプーグローやエネルなど、国内ではなかなか会えない作品が展示され、そして、後半にはボナールやルノワールなどが続きます。キスリングの『 ブイヤベース 』 は色彩のインパクトが強い作品です。近年ではブラジリエやマナブ・マベなども加わり、幅が広がっていくのかと期待していました。

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いつ行っても会える落ち着いた美術館で、八王子に行った際に何度も訪問した美術館。お世話になりました。

さて、7月からは大きくリニューアルされ、家具デザインと現代アートの展示場になるとのこと。これまでのバルビゾン派の作品などと併設されるのか否か(コレクション自体も)不明ですが、今後の新たな企画に期待します。

2013年5月の高額落札アート作品トップ10


毎月の定点観測です。
先月は、25億円以上の案件がたくさんあったのですね!

1. ポロック 『 Number 19 』  5,836万ドル
2. リキテンスタイン 『 Woman with Flowered Hat 』  5,612万ドル

3. バスキア 『 Dustheads 』  4,884万ドル
4. バーネット・ニューマン 『 Title: Onement VI 』  4,384万ドル

5. セザンヌ 『 Les Pommes 』  4,160万ドル
6. ウォーホル 『 Four Marilyns 』  3,824万ドル

7. リヒター 『 Domplatz, Mailand (Cathedral Square, Milan)』  3,712万ドル
8. ロスコ 『 Untitled (Black on Maroon)』  2,700万ドル

9. モディリニアーニ 『 L’Amazone 』  2,592万ドル
10. ガストン 『 To Fellini 』  2,588万ドル

artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)

2013年4月の高額落札アート作品トップ10


毎月の定点観測です。
先日、亡くなられた、ザオ・ウーキー氏の作品が出てます。
ザオ・ウーキー作品は、現在、ブリヂストン美術館で鑑賞できます(先日、観てきました)。

1. ザオ・ウーキー 『 10.03.83 』  477万ドル
2. Wu Hufan 『 春云烟柳 』  357万ドル
3. Donald Judd 『 Untitled (Bernstein 90-01)』  352万ドル
4. Zhang Daqian 『 乙巳泼彩 』  348万ドル
5. Ludwig Deutsch 『 The offering 』  328万ドル
6. Julie Mehretu 『 Rising down 』  307万ドル
7. Chu Teh-Chun 『 25 Décembre 1985 』  304万ドル
8. Zhang Daqian 『 The drunken dance 』  297万ドル
9. ピカソ 『 Femme assise 』  284万ドル
10. Lee Man Fong 『 Bali Life 』  275万ドル

artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)

美術館コレクション・マネジメント・システム


イギリスのコートールド美術館のフェイズブックを見ていたら、スイスのIT企業が作った ” Museum Plus ” というマネジメント・システムを使って、当館のコレクション作品の管理を始めた、という記事が載っていました。

膨大な量のコレクション作品情報を、国内外の美術館が、どうやって管理されているのかは全く知りませんが、高度で便利なアプリケーションも発達して来ているのでしょう。

その記事の中で期待したいのは、このシステムを使って、現在のコートールド美術館の作品DBサイトが改訂されるとあります。一般利用者にとって、どういう形で便利になるのでしょう? 解説等が詳しくなるのかもしれません。”very soon” とあったので、もう少ししたら出てくるのだと思いますので、期待してましょう。

コートールド美術館の、その記事のブログ

サムライ!(日本の武具展)


アメリカのメトロポリタン美術館などでも、時々、日本の戦国時代の鎧などの展覧会が開かれることがありますが、今回は、ボストン美術館で開催されるものです。

Samurai !  Armor from the Ann and Gabriel Barbier-Mueller Collection

ホームページを見ると、日本の城の展示場や博物館などでよく見る、おどろおどろしい鎧の他に、兜の上に仏像が乗っていたり、天狗や魚の形をしたユーモラスなものまであります。

副題の通り、Barbier-Mueller夫妻のコレクションですが、ファインバーグ夫妻同様、自由な感覚を大事にして蒐集されているように思えます。

また、サイトではスマホ・アプリのゲームも提供されています。

それと、ボストン美術館のフェイスブックでは展示準備状況の写真がアップされており、こちらも騎馬武士の迫力満点です。

at ボストン美術館
2013. 4.14 – 8. 4

2013年3月の高額落札アート作品トップ10


毎月の定点観測です。

1. Li Xiongcai 『 长青不老松 』  1,442万ドル
2. Christopher Wool 『 無題 』  366万ドル
3. ムンク 『 Young Woman on the Beach 』  322万ドル
4. Christopher Wool 『 無題 』  321万ドル
5. Tang Dai 『 Stream-laced mountain after snow 』  274万ドル
6. ウォーホル 『 ナイフ 』  200万ドル
7. Wang Shouren 『 Letter to the family 』  192万ドル
8. Sayed Haider Raza 『 Village en Fête 』  185万ドル
9. ピサロ 『 Tête de jeune-fille de profil dite la Rosa 』  168万ドル
10. ケントリッジ 『 Procession (in 25 parts)』  153万ドル

→ artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)
http://www.artnet.com/top10auctions/results.aspx

 

Google アートプロジェクトの件

3年前に Google アートプロジェクトが開始され、歓迎はするものの、「高精度の画像でゴッホの筆の跡を見る人が何人いるんだろう?」という、どちらかというとネガティブな感想が先に立ったのですが、その後、日本の美術館も徐々に参加されて、少し、状況が変わってきたかと思います。

現在、日本で参加しているのは、次の 9の美術館
・国立西洋美術館
・東京国立博物館
・ブリヂストン美術館
・山種美術館
・サントリー美術館
・MOA美術館
・大阪市立美術館
・大原美術館
・足立美術館

これまでに、自サイトで所蔵作品の画像を積極的に公開されてきた館においては、大きな変わりでは無いですが、そうでなかった館での公開開始は意義が大きいでしょう。たとえば、山種美術館での 小林古径 の 『 清姫 』。8点の作品が全点掲載されています!

ただ、順番が把握しにくく、見に来た人は、どれがどれだか判らないのでは無いかと思えます。
美術館別 - 作家別 - 順番が判る作品別のインデックスが必要でしょう。

個別の作品を表示して、右側にマウスを持って来て「他の作品を見る」の「芸術家」をクリックすると、一覧に出ていない作品も登録されていることが判るようになっていますので、一覧よりも、たくさん登録されていることがあります。

あと、縦長の作品の場合、下の線がフッターの枠とひっついており、これはページ・デザイン的に、よろしくないですね。
作品詳細に日本語表記はあるものの、基本は英語。これも、日本国内での利用上は、どうかな? という感じです。

しかし、一番驚きなのは、足立美術館の取り組み。現在の現役画家たちの作品も、たくさん掲載されているのです。「Google を通せば、これもアリなの?」 というところですが、あれこれ難しい問題もあるのでしょうけれど、嬉しいですね。

さて、今後、どういう風に広がっていくでしょうか。楽しみです。

※ 館サイトに掲載されていない作品で、Google アートプロジェクトに登録される作品は、当サイト内の画家別ページの作品に ◆印でリンク設定をしていく予定です(現在、日本画は完)。合わせてご利用ください。

 

ルーブル美術館のクラナッハ『 三美神 』


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先日、日テレで、ビートたけしがルーブル美術館を紹介する番組があったそうですね。その中で、クラナッハの『 三美神 』を4億円で取得したという紹介があったようです。

ようです、というのは、その番組自体は見ていないのですが、当サイトに、そういったキーワードでアクセスする人が急増したからです。2年以上前に、この絵画が取得される経緯の記事 を書いたことがあり、それが数年を経て検索エンジン経由でヒットしたのです。なんとも不思議な感じもします。

番組内で紹介があったか否か判りませんが、その購入時、ルーヴルには資金が足りなくて、ネットで募金したら、1億円があっさりと集まってしまったという経緯がありました。

日テレというか読売新聞系列というか、今後、数年に渡って国内でルーヴル美術館展を開催する計画があるそうで、この『 三美神 』も来てくれたら嬉しいですね。

 

シカゴ美術館のピカソ展


現在、シカゴ美術館で「ピカソとシカゴ展」が開催されています。
シカゴ美術館は、100年前にアメリカで初めてピカソの大規模企画展を開催した美術館であり、1世紀のお付き合いあるとのことです。

当時の写真も併せてピカソ作品を紹介する動画が YouTubeにアップされていますので、ここに貼り付けておきます。

2013年2月の高額落札アート作品トップ10


既に、ピカソやベーコンなどの高額落札がニュースになってましたが、モディリアーニもあったそうです。今回はなじみの深いもの多いでしょう。

1. ピカソ ” Femme assise près d’une fenêtre “  4,477万ドル
2. モディリアーニ ” Jeanne Hébuterne (Au chapeau) “  4,213万ドル
3. ベーコン ” Three Studies for a Self-Portrait (3 works)”  2,154万ドル
4. ルノワール ” L’ombrelle “  1,514万ドル
5. バスキア ” Museum Security (Broadway Meltdown)”  1,451万ドル
6. モネ ” Nymphéas avec reflets de hautes herbes “  1,409万ドル
7. モネ ” Le Givre à Giverny “  1,374万ドル
8. ミロ ” Femme rêvant de l’évasion “  1,321万ドル
9. ゲルハルト・リヒター ” Abstraktes Bild “  1,311万ドル
9. ゲルハルト・リヒター ” Abstraktes Bild “  1,277万ドル

このモディリアーニのジャンヌ・エビュテルヌ、良いですね。モネの睡蓮も。どこかの美術館か富豪さんが取得して、いつぞや日本で展覧会に出品されること願います。と、オークション情報を見るたびに思います。^^;

artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)

1月の高額落札アート作品トップ4


先月は、たまたまなのか、もしくは例年あまり活発ではない月なのか、先々月よりも1桁小さい額の落札となってますので、トップ4までだけ抜き出しました。

1. エドワード・ヒックス 『 Penn’s Treaty 』  254万ドル
2. Lin Sanzhi 『 黄山旧游 』  176万ドル
3. Xu Beihong 『 八十七神仙 』  98万ドル
4. エミール・フィラ 『 Malíř 』  91万ドル

artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)

イギリスの国内全油彩画Web化プロジェクト


イギリスではBBCが表に立って、国内の美術館や大学等、公的機関が所蔵する全油彩画 21万点を、すべてWebに掲載する “Your Paintings” が完成! アーティスト名から検索してみたりすると、へぇ、こんな作品もあったの!? という発見がたくさんあります。

アート情報を整理してWebで公開しようという動きは、フランスには昔から「フランス国立美術館連合 ( RMN )」があり、ヨーロッパ全体では「europeana」が立ち上がりました。アメリカは個々の美術館が強いので、先日のクリーブランド美術館のように一館で数百億円を投資するなんてことがあるのですが、それでも、美術館連合の動画配信である「ArtBabble」や、学芸員さんたちの有志で進められている「Smarthistory」などがあります。

情報をオープンに発信して共有し全体の価値を高める、ということが、欧米では積極的に進められていることが判りますね。

翻って日本はどうかというと、現状のままだと、世界の動きからだんだんと取り残されていってるような感じがしてしまいます。

信州善光寺出開帳両国回向院


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5/21から開催予定だという「ファインバーグ・コレクション展」の情報が出てないだろうかと、江戸東京博物館へ伺ったところ、年度またぎのためなのか、まだ出ていませんでした。

その代わりという訳では無いのですが、「信州善光寺出開帳両国回向院」というパンフが置いてありました。長野の善光寺の御開帳は、次回は再来年なので、まだまだ先なのですが、これは御開帳の出張版。両国駅そばにある回向院に出張されるというのです。

江戸時代にはたいそうな賑わいだったそうで、1778(安政07)年には、60日間で 1,603万人もの参詣があったとの話。(な、嘘な、という感じもしますが ^^;)

今回、東日本大震災復幸支縁 のため、戦後初の出開帳。
復興支援のため、ご利益を受けるため、こりゃ出かけてみなきゃ、と思います。

2013. 4.27 – 5.19
at 両国 回向院

気になる お祭り・イベント スケジュール」のページに、こういった、祭り・イベントの情報をまとめておりますので、こちらも、ご利用ください。^^

クリーブランド美術館の “ArtLens”


アメリカのクリーブランド美術館が、館内鑑賞と個別作品の解説を受けることができる iPad 専用アプリ “ArtLens” を発表して話題になっています。実際に美術館に行って使用してみないと実感が沸かないところではありますが、iPad を作品の前でかざすと、各部分の解説が出るようになっているようです。

アプリ自体は無料です。→ iTunes のダウンロードページ
実際にダウンロードしてみると、インストールの後でコンテンツの取得をする必要があり、これを進めると、かなりの数のファイルを取りに行きました。

・館内フロアマップと作品画像
・作品別の解説と学芸員による動画での説明
・ツアー形式による作品解説
・今日の展示紹介
・フェイスブック、ツイッターへの投稿

等々と、これまで、いろんな美術館のホームページやアプリが実装してきたことを、発展させて全て盛り込んだという感じです。

これは、マティスの一作品の紹介ページ。音声で学芸員さんが作品の解説をきちんとしてくれる。これ海外の大手美術館のすばらしいところだと思います。

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館との連動機能を含めて次世代のシステムであり、米国内各大手美術館も、これを倣うのではないか、との噂もありとのことです。また、いろんな館内設備等を含めてことだと推測しますが、このプロジェクトに 30人のスタッフが8年かけて、300億円ほど使ったというのですから、その規模の大きさに驚かされます。

さて、日本でも東京国立博物館でのスマホアプリ提供など、デバイスを併用した鑑賞サービスが始まっていますが、今後、どういった高度なサービスが出てくるでしょうか、楽しみです。

12月の高額落札アート作品トップ10


今回は中国の作品が多く、作者・作品名共に日本では馴染みの薄いものが多いです。ラファエロのデッサンが高額落札されたのは、春からのラファエロ展を前に、ニュースですね。

1. ラファエロ 『 若きアポストルの頭部 』  4,785万ドル
2. 文徴明 ( Wen Zhengming ) 『 江山胜览图 』( landscape )  1,625万ドル
3. 斉白石 ( Qi Baishi )『 祖国颂 』 ( Ode to the morher country )  1,329万ドル
4. 文徴明 ( Wen Zhengming ) 『 溪山清远卷 』( Landscape )  1,199万ドル
5. アルフレッド・ジェンセン 『 進行中の帆船 』  1,038万ドル
6. ヤン・ステーン 『 食事の前の祈り 』  908万ドル
7. Qi Gong 『 江水万里图 长 』(Landscape)  890万ドル
8. クロード・モネ 『 セーヌ川のほとり、アルジャントゥイユの橋 』  882万ドル
9. 張大千 ( Zhang Daqian ) 『 烟江叠嶂 』(Landscape)  839万ドル
10. Li Keran 『 雄关漫道·苍山如海 』(Representation of mao zedong’s poem)  655万ドル

artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)