ほぼ日々更新してます「気になる美術展一覧(美術展スケジュール)」(ページの右上端のリンクから行ってください ↑)、公立の美術館の来年度予定が、そろそろ出揃ってくるはずですので、それを足すと 100件以上のリストになりそうです。
さて、今年の3月は、ラファエロにベーコン、ルーベンスと、すごい大型展覧会が目白押し。アートフェア東京や春の院展も3月中に開催とあり、日程の調整もさることながら、財布の方も心配な状況です。^^;
そんな中、あまり取り上げられていない感じですが、次の2展も気になります。
●「住友グル-プ秘蔵名画展 - 花 -」 at 泉屋博古館(東京) 3. 2 – 5.12
HPの紹介によると、これは泉屋博古館所蔵品だけでなく、「住友グル-プ各社が所蔵する名画、それらは、普段、公開されることはない作品」とあり、いつもは会社の役員室とか応接室などに飾ってあるような知られざる作品が出てくる可能性あります。これは気になります。
●「知られざるプライベートコレクション ジャパンビューティ 描かれた日本美人」
at ニューオータニ美術館 3.16 – 5.26
こちらも、HPを見るに、松園・夢二・蕉園の作品、これまでに会ったことがありません。ニューオータニのコレクションでは無く、個々のプライベートコレクションを集めた展覧会のようです。鏑木清方、北野恒富作品と共に、作品数の少ない池田輝方や中村大三郎、山川秀峰も出品されるとあり、これは前期・後期両方とも行かないと! という感じですね。^^
ニューヨークのグッゲンハイム美術館で具体展が始まりました。この美術館もそうですが、アメリカやイギリスなどの大手美術館は、展覧会ホームページが、そのイベントと並行して徐々に充実していくということがよくあるので、このサイトも、だんだんと内容がリッチになっていくのではないかと予測します。
と期待しつつサイトを見ていたら、「iアプリでも具体展を見よう」という記事が載っていました。早速ダウンロードしてみると、アプリのインストール後に 100メガぐらいの追加DLが必要でしたが、具体展のファイルがたくさん載っています。
嬉しいのは、キュレーターさんによる、この展覧会の、具体のきちんとした説明動画。10本以上載っています。学術的にも意味のあるネットサービスになっています。おそらくは、サイトの方にも追って掲載されるのでしょうけれど、当初はスマホ優先で来ましたね。
こういうサービスが日本の美術展でも広がってほしいところです。日本の現状は、どうも、共催のマスコミによる商業的Webサービスが基本で、きれいに作ってはありますが、内容が深くなく、また、展覧会が終わると消されてしまうという学術性の低い提供に終始している感あります。:-(
さて、MoMAでも “Tokyo 1955–1970: A New Avant-Garde” が開催されており、これは東京を中心にした戦後のアバンギャルド特集。ニューヨークでは、にわかに日本前衛芸術ブームって感じですね。今後も定着していったら良いなと思います。
” Gutai: Splendid Playground ”
2013. 2.15 – 5. 8
at ソロモン・R・グッゲンハイム美術館
ストックホルム近代美術館から新しい展覧会のニュースレターが届きました。今回は、ヒルマ af クリント (1862–1944) というスウェーデン出身の女流画家の回顧展。結構、美人ですね~。
これまで歴史に埋もれていたのですが、この人、実は、カンディンスキーやモンドリアン、マレーヴィチなどよりも先に抽象画を切り開いた人だそうで、美術展サイトには「ヒルマは未来のために絵を描いた」という解説があります。
生前には評価されなかった彼女の作品を、数十年の時を経て再評価しようという展覧会。サイトを見ると何点かの作品が紹介されています。円形のフォルムは、上記の抽象画家たちというよりは、どちらかというと ドローネー風であり、また、装飾・デザインのジャンルとも重なっている作品が多いかと思います。
時を経たアーティスト再評価掘り起こし型美術展、さて、後の時代にマッチして評価されるようになるのか否か、それは、企画する美術館の学芸員さんにとっても、チャレンジでありましょう。
” Hilma af Klint – A Pioneer of Abstraction ”
2013. 2.16 – 5.26
at ストックホルム近代美術館
いよいよ、期待大のクラーク・コレクションがやってきました。
目玉はなんと言っても、印象派。ルノワール。
ルノワールの作品は晩年の太った浴女シリーズか静物画以外は、デビューから生涯を通して画風の変化が少なく、どの時期のものか作成年を知らないと判らないことが多々あります。
その中でも、第1回印象派展の 1874年頃から 1880年代の、明るい肖像画作品が多いのが、このコレクションの特徴でしょう。『 うちわを持つ少女 』『 劇場の桟敷席(音楽会にて)』『 鳥と少女 』などなどと傑作が並びます。
『 若い娘の肖像(無邪気な少女)』のモデルは女優:アンリエット・アンリオ。国立ウェールズ美術館蔵で、第1回印象派展に出品された 『 パリジェンヌ 』と同じ頃のアンリオさんです。
おもしろいところでは、モネの『 日の出、印象 』に比して? の『 日没 』(1879 or 1881)。モネに先立つことの 『 ヴェネツィア 』(1881) は、1908年のモネのヴェネツィア・シリーズ作品とトーンが似ており、二人ともイタリアに同様の感覚を持ったかなと思いました。
さらには、モネ、シスレー、ピサロ 等々と、明るい光の印象派勢揃いです。堪能できます。
さて、ココでは少し趣向を変えた感想を。
まず、ジェローム作品が3点も展示。オルセーにあるようなスペクタクルもの ではありませんが、それでも「こんな歴史の状況ってあったの?」というような異様な世界の細密画です。映画かゲームにあるような、彼独特の不可思議な世界に引き込まれてしまいます。やはり、どこかでジェローム特集の一大企画展を開いてもらえないかな。一度、総まとめで鑑賞したいです。
個人的に新たな発見として、ボルディーニ。イタリア出身の画家。40*30 程度の小さな作品ですが、切れ切れの布を繋ぎ合わせたかのような服、そして風景もそれに合わせたトーンで表現された作品。このタッチはおもしろい。今後、トレースしてみたいと思います。
2013. 2. 9 – 2013. 5.26
at 三菱一号館美術館
戦場カメラマンの祖:ロバート・キャパの恋人であったゲルダ・タローとキャパ、それぞれにに焦点を当てた2本立てからなる展覧会です。
ゲルダ・タローは、キャパと同じくユダヤ人であり、ナチスから逃れつつの決死の活動を行った人です。女性初の戦場における報道カメラマンとして実績をあげつつあったものの、スペイン内乱取材中に暴走戦車に轢かれて 26歳で死んでしまいます。
その後、キャパの影に隠れ歴史の中に埋もれてしまっていたのですが、今回、ICP 国際写真センター(キャパの弟であるコーネル・キャパ氏が、後に設立した団体)の企画によって、その功績を再評価するという意義ある展覧会になっています。昨今の戦場女性カメラマンたちの活動と重ねる合わせることになるでしょう。
また、そのスペイン内乱時に、タロー、キャパ、シーモアの3人によって撮影されたフィルムが入ったスーツケースが長らく行方不明となっていたものが、2007年に発見されてニュースとなった「メキシカン・スーツケース」。この中の作品からも2点が出品されています。
さて、この展覧会と同期して、丁度、NHKスペシャルにて沢木耕太郎氏によるレポルタージュ番組が放映されました。現地調査と共に、複数の写真をコンピュータ3D分析することにより、かの有名なこの写真 「崩れ落ちる兵士」が、銃で撃たれた瞬間を捉えたものでは無く、演習中に坂で一人「滑りこける瞬間」だという分析でありました。また、カメラ・フィルムのサイズから、それはタローの撮影だったのでは無いか、という指摘です。
タローの撮影であったか、キャパの撮影であったかは、たまたま2人がカメラを交換して撮影したかもしれず、真偽は知れないでしょう。ビートルズのジョン&ポールのように、たとえ別々の作詞作曲であっても、当初から共同作品という取り決めがあったのであれば、それは2人のどちらでも良いことになります。
しかし、世界中が銃弾で即死する瞬間と思っていた写真が、兵士が一人滑りこけた瞬間だとしたら、世界の歴史はみんなで勘違いしたことになってしまいます。
確かに、銃弾が兵士の体をぶち抜いた際には肉片が飛び散りそうなものの、体のどの部分にもそれは見られず、銃弾がどの方向から来たのかも判別できません。展覧会場にもありましたが、掲載された当時の雑誌は印刷の質が良くなく、銃弾の有り無しまでは判別できません。そもそも、デュフィの云う通り、人は、いつもいつも詳細を見ているわけではありませんが。
もっとも、当初、写真を送った2人に、そこまでの意図は無かったのかもしれません。現代のように被写体の一部をデジタル矯正することは出来なかった時代ですので、映っていた被写体自体を意図的に修正することは不可能でした。フランスの雑誌 『ヴュ』 に掲載される際に、説明文によって誇張させることになったのかもしれず、その後は、世の中が勝手に一人歩きしてしまったのでしょう。
人が滑りこける時、こんな転け方をするのだろうか? といった疑問もあるものの、カメラが写す瞬間は時に意外な形を見せるものであり、やはりNHK番組の分析の通り、事実は演習中の出来事であったように思えます。
横浜美術館と同様、キャパ作品を多く所蔵する東京富士美術館の 2006年発行図録「ロバート・キャパ - その生涯と作品」によると、過去に、この写真の真実性に関する論争が世界中でいくつもあったことの解説があります。また、この兵士=フェデリコ・ボレル・ガルシア氏は、この戦闘で戦死したとあります。
とはいえ、たとえ事実は彼が生き延びたのだとしても、50万人もの人が戦死したスペイン内戦。その戦闘の中で、軍服も着ていない市民兵が銃を持って戦場で倒れるという異常で悲惨な事実がその時実際に起きているということ、それを1枚の写真が代表して世界中に伝えたことは「真実」であったといえるでしょう。
そして、その後の報道写真の拡大につながっていたことは歴史であります。
2013. 1.26 – 3.24
at 横浜美術館
先月は、たまたまなのか、もしくは例年あまり活発ではない月なのか、先々月よりも1桁小さい額の落札となってますので、トップ4までだけ抜き出しました。
1. エドワード・ヒックス 『 Penn’s Treaty 』 254万ドル
2. Lin Sanzhi 『 黄山旧游 』 176万ドル
3. Xu Beihong 『 八十七神仙 』 98万ドル
4. エミール・フィラ 『 Malíř 』 91万ドル
→ artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)
畠山記念館には、いくつもの光琳作品の所蔵がありますが、その作品が展示されるのは数年に一度であり、その機会を逃すと、しばらく会えないことになります。今回、6年ぶりに公開されているのが、パンフの表示を飾っている、この作品、
『 白梅模様小袖貼付屏風 』 二曲一双 各169.0*186.0
文字通り、白梅の模様を小袖用にデザインしたものを屏風に貼り付けたものです。
光琳の小袖デザインというと、東京国立博物館蔵の「白綾地秋草模様小袖」のように色彩画的なものがあります。
しかし、この白梅模様は墨画淡彩による白黒の梅であり、濃い枝に対して梅の花は薄く描かれており、ぱっと見、花も葉も無い枝だけのようにも見えます。
とはいえ、山水画のように枯れてしまっているわけでなく、また、抱一が銀屏風に描いた冷たい・寒い梅とも違って、暖かみがあり色気もあるのです。
淡く丸く咲いた梅の花。これを身にした、うら若き女性は、本人そのものと同期して映えたことでしょう。また、彼女を見る周りの人たちにも、暖かな成長の期待を抱かせたことでしょう。
「春を祝う - 仁清・乾山・光琳 -」
at 畠山記念館
2013. 1.19 – 3.20
各画家の作品一覧に追加して「略歴」の記載を始めました。まずは、大観、清方、松園、御舟などから開始しました。
資料は比較的容易に入手できるからと独自にまとめようとすると、これが意外と難しい。
生い立ちや受賞などの記事は多いものの、特筆される作品が生まれた背景が分かるような「略歴」にしたいと思っているのですが、そこまで入れようとすると作品そのものの説明となり、1行ではまとまり切れなくなってしまいます。その時の時代背景も含めようとすると、それも字数オーバーになりがちなのです。
また、それぞれの資料を参照していると、簡潔にまとめようとされた結果か、時系列を読み間違いしてしまいそうな表記になっているようなケースも時々あり、複数の資料を比較検討してそれぞれ確認の上で整理することも必要です。
まずは 10行程度でまとめておりますが、適宜、追記改訂していきます。作品の把握に併せて、語録も含め、それが作成された時が、その画家の一生において、どういうフェーズにあったのか確認できるような、それぞれユニークなページにしていきたいと考えております。
イギリスではBBCが表に立って、国内の美術館や大学等、公的機関が所蔵する全油彩画 21万点を、すべてWebに掲載する “Your Paintings” が完成! アーティスト名から検索してみたりすると、へぇ、こんな作品もあったの!? という発見がたくさんあります。
アート情報を整理してWebで公開しようという動きは、フランスには昔から「フランス国立美術館連合 ( RMN )」があり、ヨーロッパ全体では「europeana」が立ち上がりました。アメリカは個々の美術館が強いので、先日のクリーブランド美術館のように一館で数百億円を投資するなんてことがあるのですが、それでも、美術館連合の動画配信である「ArtBabble」や、学芸員さんたちの有志で進められている「Smarthistory」などがあります。
情報をオープンに発信して共有し全体の価値を高める、ということが、欧米では積極的に進められていることが判りますね。
翻って日本はどうかというと、現状のままだと、世界の動きからだんだんと取り残されていってるような感じがしてしまいます。
この春、フランス国立クリュニー中世美術館から6面のタピスリー「貴婦人と一角獣」が来日する予定です。その6点だけが展示される小展覧会だろうかと思いきや、その美術館から全部で約40点が来るそうなので、他にも中世ヨーロッパの芸術作品が楽しめるという訳ですね。
ちょいと事前予習ということで、クリュニー中世美術館のホームページのコレクション・コーナーを覗いてみましょう。
「貴婦人と一角獣」以外にも優れたタピスリーなどがあるようです。一緒に来てもらえると嬉しいです。
あと、この展覧会、英題で ” The Lady and the Unicorn ” と付いていますが、どうも、The が付くと堅い感じがしてしまい、英語ではピンと来ません。
やはり、フランス語で ” La Dame à la licorne “、こちらがしっくり来ますね。
先日の「シャガールのタピスリー展」でのイヴェット・コキール=プランスさん、中世のタピスリーを調べまくったと、インタビュー映像で述べてられましたので、きっと、この作品も研究されたのでしょう。
2013. 4.24 – 2013. 7.15 at 国立新美術館
2013. 7.27 – 2013.10.20 at 国立国際美術館
一応、美術展に行く前に 100円なり200円なり安く手に入ればラッキーということで、チケット屋さんに立ち寄ることが多いです。しかし、そこで得したと思って気が大きくなった分、鑑賞後のショップで図録+何かを買ってしまうんであり、結局、財布から出て行ったのは予定よりも多かったぁ、ということがよくあるのですが。。^^;
ところで、裏事情は全く知りませんが、美術展によっては、半額とか、さらにはそれ以下とかで売られていることがあるのが不思議です。それは開始後の展覧会の人気度を反映しているのか? そうかと思うと、実際には混んでいたりということもあって、では、来館促進の一手段なのかも? とも思えてしまうのです。
ま、業界どこでも、いろんな事情はあるでしょうから、それは知らずで良しとして、費用が浮いたら浮いたなりに、次の一鑑賞を楽しむことにしましょうね。^^
「駿府」の「博物館」とあり、実は、当初、徳川家関連の博物館だろうか? と思っていたのですが、静岡新聞社・静岡放送の創設者であった 大石光之助 氏が昭和期に集めた絵画や政治家などの書等のコレクションです。
他館の企画展に作品が貸し出されることも少ないようですので所蔵品の全貌が掴みにくいかと思いますが、ココの所蔵である、伊東深水の『 吹雪 』が、去年秋の「国際文通週間」記念切手になったことで認知も高まったことでしょう。
下村観山や橋本雅邦、平福百穂の作品所蔵が豊富で、百穂の水墨画や中村岳陵の南画風の作品などは、他では、あまりお目にかかれないものであり、貴重ではないかと思います。
静岡新聞社の別館の中にあり、入り口は、あまり美術館ぽく無いのですが、静岡駅から歩いていける場所ですので、是非、どうぞ ^^
※ 駿府博物館ページ はこちら
5/21から開催予定だという「ファインバーグ・コレクション展」の情報が出てないだろうかと、江戸東京博物館へ伺ったところ、年度またぎのためなのか、まだ出ていませんでした。
その代わりという訳では無いのですが、「信州善光寺出開帳両国回向院」というパンフが置いてありました。長野の善光寺の御開帳は、次回は再来年なので、まだまだ先なのですが、これは御開帳の出張版。両国駅そばにある回向院に出張されるというのです。
江戸時代にはたいそうな賑わいだったそうで、1778(安政07)年には、60日間で 1,603万人もの参詣があったとの話。(な、嘘な、という感じもしますが ^^;)
今回、東日本大震災復幸支縁 のため、戦後初の出開帳。
復興支援のため、ご利益を受けるため、こりゃ出かけてみなきゃ、と思います。
2013. 4.27 – 5.19
at 両国 回向院
「気になる お祭り・イベント スケジュール」のページに、こういった、祭り・イベントの情報をまとめておりますので、こちらも、ご利用ください。^^
アメリカのクリーブランド美術館が、館内鑑賞と個別作品の解説を受けることができる iPad 専用アプリ “ArtLens” を発表して話題になっています。実際に美術館に行って使用してみないと実感が沸かないところではありますが、iPad を作品の前でかざすと、各部分の解説が出るようになっているようです。
アプリ自体は無料です。→ iTunes のダウンロードページ
実際にダウンロードしてみると、インストールの後でコンテンツの取得をする必要があり、これを進めると、かなりの数のファイルを取りに行きました。
・館内フロアマップと作品画像
・作品別の解説と学芸員による動画での説明
・ツアー形式による作品解説
・今日の展示紹介
・フェイスブック、ツイッターへの投稿
等々と、これまで、いろんな美術館のホームページやアプリが実装してきたことを、発展させて全て盛り込んだという感じです。
これは、マティスの一作品の紹介ページ。音声で学芸員さんが作品の解説をきちんとしてくれる。これ海外の大手美術館のすばらしいところだと思います。
館との連動機能を含めて次世代のシステムであり、米国内各大手美術館も、これを倣うのではないか、との噂もありとのことです。また、いろんな館内設備等を含めてことだと推測しますが、このプロジェクトに 30人のスタッフが8年かけて、300億円ほど使ったというのですから、その規模の大きさに驚かされます。
さて、日本でも東京国立博物館でのスマホアプリ提供など、デバイスを併用した鑑賞サービスが始まっていますが、今後、どういった高度なサービスが出てくるでしょうか、楽しみです。
明治12年、明治天皇が群臣たちの肖像写真を手元に置いておこうと下命されて作られた 4,531名もの名士が載った、39冊からなる分厚いアルバムです。
A-1に分類されるアルバムには写真と共に、本人の和歌も掲載してあるというユニークな作り。当時、華族に限らず政治家や軍人でも歌を詠むことは必須の教養であったのですね。
明治の初期なので写真の質が悪いのは仕方ありませんが、紙幣や歴史書に出てくる著名人の別の姿の写真であったり、初めて見る写真もあります。また、その後活躍する人の若き日の姿であったりして、これは楽しめます。貴重な資料でもあります。
この写真集、各人の顔を確認されるために使われたのか、もしくは後生に残しておこうと指示されたのかもしれません。同じ頃、脚気対策のために漢方医と西洋医に競って研究させる「脚気相撲」を指示されたりしてますので、明治天皇は企画人な方だったのかもしれません。
いつもはゆったり鑑賞の三の丸尚蔵館ですが、今回は結構、混んでました。図録も売り切れてしまったそうで、増刷待ちとのこと。
2013. 1.12 – 3.10
at 宮内庁三の丸尚蔵館(入館無料)