ホーム   >   物語と絵画   >   旧約聖書と絵画   >   ユディトの話  

気になるアート.com「物語と絵画シリーズ」

旧約聖書 続編:ユディトの話

マリナリ
『 ホロフェルネスの首を持つユディト 』
1680頃
ブダペスト国立西洋美術館
Onorio Marinari
" Judith with the Head of Holofernes "
旧約聖書 続編:『 ユディト記 』に登場する女性 ユディト に関する話です。近いモデルとなる事件はあったのでしょうが、この記自体はフィクションです。
ここでは、ユディトが登場する部分以外はダイジェストになっております。

チグリス川
[Tigris]
上流にある都市:ニネベ
[Nineveh]
において アッシリア人
[Assyrians]
を統治していた
ネブカドネツァル
(Nebuchadnezzar) 王は、東方の都市:エクバタナ
[Ecbatana]
で メデア人
[Medes]
を統治していた
アルパクサド
(Arphaxad) 王と長年対立していた。
ある時、
ネブカドネツァル
王は
アルパクサド
王を打ち破るために勢力を付けようと、ユーフラテス川
[Euphrates]
よりも西の民にも戦闘に加わるよう要請を出した。
それは、ペルシヤ
[Persia]
全土 ・ キリキア地方
[Cilicia]
・ ダマスコ
[Damascus]

レバノン
[Lebanon]
・ アンチレバノン山脈
[Antilebanon]
・ 海岸沿い ・
上ガリラヤ地域
[Upper Galilee]
・ エズレル平野
[Esdraelon]

サマリア
[Samaria]
とその周辺 ・ ヨルダン
[Jordan]
を越えたエルサレム
[Jerusalem]

ベタニア
[Bethany]
・ カデシュ
[Kadesh]
、 さらには エチオピア
[Ethiopia]
の境界に至る エジプト
[Egypt]
の各都市にまで及んだ。
しかし、それを受けた各国の民は「そんなもん、知るか」と、使者を手ぶらで追い返して恥をかかせてしまった。これに激怒した
ネブカドネツァル
王は「いつか皆殺しにしたる」と誓ったのであった。
数年後、
ネブカドネツァル
王は
アルパクサド
王を撃墜して各都市を略奪し、遂に投鎗をもって
アルパクサド
王を刺し殺して勝利を得た。
[1章]

翌年、
ネブカドネツァル
王は、かつて誓った「西方の全地域を征服する」との計画を発表する。彼は、国内 No.2 で総司令官の
ホロフェルネス
を呼んで命じた。
「 その方、これから 歩兵 12万の強者、騎兵 1万2千を率いて、予の命令を受けぬ西方を討て。あ奴らに土地と水を用意させよ。予は再び怒りをもって奴らに臨み、我が軍の足でくまなく全土を覆って略奪する。こうして、きゃつらの屍は谷を埋め、あらゆる小川や大河は死体で溢れるのだ。奴らを捕虜として地の極まで引っ連れてってやる。
その方は先に行って奴らの領地を征服してこい。降伏したら、予が裁く日まで捕虜にしておけ。どの地であれ、対抗する者あらば、容赦なく虐殺し略奪しろ。予は言ったことは、我が命にかけ王の権勢に誓って必ず実行する。その方、主君の命に違えることなく、命じられたことを遂行せよ。速やかに実行せよ 」と。
ここで、
ホロフェルネス
は、アッシリア軍の参謀・将軍・将校 全員を召集して、部隊ごとに選定した大軍団を編成した。その数 12万、騎馬弓兵 1万2千。輸送のための大量のラクダ・ロバ・ラバに、食糧のための無数の羊・牛・ヤギ、そして兵士用の大量の食事を用意すると共に、王家から大量の金銀を持ち出した。
こうして、彼は全軍をもって出陣した。あちこちから混成部隊がイナゴの群れのように湧いて集まり、それは数えきれない量となった。彼らはニネベを出て 3日前進してベクテレテの平原
[Bectileth]《注:架空の場所》
に到り、上キリキア地方の北にある山近くのベクテレテの反対側に陣営を張った。ここから、全軍の歩兵・騎兵・戦車を率いて山地の国へ進み、プト
[Put]
と ルド
[Lud]
を滅ぼし、ラシス人
[Rassis]
と、ケレ人
[Chelleans]
の国の南方にある荒地に沿って住む イシマエルの人々
[Ishmaelites]
のすべてを略奪した。
続いて ユーフラテス川を遡って メソポタミア
[Mesopotamia]
を通過し、アブロナ川
[Abron]
沿いの高地の住民を滅ぼして海にまで到った。 また、キリキア領を押さえ、抵抗する者は皆殺しにし、アラビアに面するヤフェト
[Japheth]
の南の境界まで進んだ。
さらに、ミデアン人
[Midianites]
を包囲し、テントを焼き払って、羊小屋を強奪した。
次に、麦刈りの時期にあったダマスコの平野に降り来、その全畑を焼き払って羊と牛の群れを殺し、町々を略奪しては、土地を荒し、すべての若い男を剣の刃にかけて殺した。
なので、海岸沿いに住む シドン
[Sidon]
や ティルス
[Tyre]
の人々、スル
[Sur]
や オキナ
[Ocina]
の住民、そして、また、ヤムニア
[Jamnia]
に住む人々は、皆、恐怖に陥り、戦慄した。アゾト
[Azotus]
や アシュケロン
[Ascalon]
の住民たちも、ひどく怖れた。
[2章]
彼らは和平を誓って
ホロフェルネス
に使者を送って言った。
「 ご覧ください。私どもは偉大なる王:ネブカドネツァル様の しもべであり、ご意向に何でも従います。私どもの建物・土地・麦畑・羊と牛の家畜・テントと共に羊小屋、すべて、どうぞ、御意のままにお扱いください 」
彼は軍隊を率いて海岸地方へ下り、丘の上の町々には衛兵を駐留させた。
これらの人々、および、周りの国々の人々は花輪を付け、タンバリンをもって踊りながら彼を迎えた。
ところが、彼は、それぞれの聖堂と聖なる果樹園を打ち壊した。なぜならば、彼は、あらゆる国々に
ネブカデツァル
のみを崇拝させ、あらゆる言語の者と種族に「神」と呼ばせるために、各土地の神々を破壊するよう命じられていたからである。
次に、
ホロフェルネス
は、 ユダヤの峰に面するドタン
[Dothan]
近くのエズレル平野の外れにやって来た。ここで、ゲバ
[Geba]
とスクトポリス
[Scythopolis]=ベト・シェアン
との間に陣を張り、軍に必要な物資を調達するために 1ヵ月間駐屯した。
[3章]
この時、ユダヤに住むイスラエルの人々は、アッシリアの総司令官
ホロフェルネス
が国々で行ったこと、各聖堂を破壊していったこと、その全てを聞いた。 なので、彼らは
ホロフェルネス
の襲来を非常に恐れ、そして、彼らの神なる主の聖堂とエルサレムのことを憂いた。というのも、彼らは最近、やっと捕囚の身から解放され、再び新たに集まって、冒涜されていた祭具・祭壇・聖堂を清めたばかりであったのである。
彼らは、サマリア
[Samaria]
の全域、コナ
[Kona]
・ベトホロン
[Beth-horon]
・ベルマイン
[Belmain]
・エリコ
[Jericho]
・コバ
[Choba]
・ハイソラ
[Aesora]
、および、サレム
[Salem]
の谷に使いを送り、急ぎ高い丘の頂上を占拠して村々を要塞化させ、戦争に備えて食料を備蓄させた。
その時、エルサレムに居た大祭司
ヨアキム
(Joakim) は、ドタンに近い平野の向いに広がるエズレル平野に面する町:ベトリア
[Bethulia] 《注:架空の町》
と ベトメスタイム
[Betomesthaim] 《注:架空の町》
の人々に書簡を送り、敵が攻め上って来る丘々の道を固めるよう指示した。それは侵入される経路であるが、その道は狭くて 2人が並んで通るのがやっとであったため、どんな侵入者も食い止め易かったからである。

※「 聖書地図 」より。エルサレムが高地にあることが判る。関連する場所に赤丸を付けた。
なので、イスラエルの人々は、大司教
ヨアキム
と、エルサレムで開かれた全イスラエル長老会議の命に従って、その通りに実行した。
そして、すべての男たちは熱心に神に祈り、断食して厳しく節制に努めた。彼らも、その妻や子供たちも、その家畜も、また全ての寄寓者も庸人も、買われてきた奴隷たちも、皆、麻布を腰にまとった。
エルサレムに住む全てのイスラエル人は聖堂の前にひれ伏し、頭に灰をかぶって、主の御前に麻布を広げた。彼らは祭壇をまで麻布で覆い、心を一つにして熱心にイスラエルの神に叫んで
幼児たちがさらわれたり妻たちが分捕られたりしませんように!
先祖代々の町が破壊されませんように!
聖域が穢され冒涜されて異邦人の嘲りとなりませんように!
と祈った。
ユダヤの各地において、エルサレムにおいて、人々が全能の主の聖壇の前にて何日間も断食して祈ったので、主は、その祈りを聞き入れられ、その苦悩を見られたのであった。
大祭司
ヨアキム
と、主の御前に立ち奉仕するすべての祭司たちも腰に麻布を巻いて 燔祭を献げ続け、人々の祈りと任意の供物を献上した。彼らはターバンの上に灰をかぶり、主に向かって
イスラエルすべての家を顧みくだされぇ~!
と、力の限り叫んで祈った。
[4章]
アッシリア軍の総司令官
ホロフェルネス
は、イスラエル人が戦争の準備をし、丘々への路を塞いで全ての丘の頂上を固め、平地にはバリケードを築いたと聞くや、激怒する。
モアブ
[Moab]
のすべての侯伯、アンモン
[Ammon]
のすべての指揮官、海岸地域のすべての支配者を召し集めて、彼らに聞いた。
「 カナンの者
[Canaanites]
たちよ、丘の上に住む者たちは どういう民なのか? どういう町に住んでいて、軍勢がどれくらいで、そして、その力と強さは何によるものなのか? 軍を率いる王たる統治者は誰なのか、告げよ。また、西方に住む者どもの中で、何故に、こ奴らだけは、予に挨拶に来ぬのだ?」
アンモンの長である
アキオル
(Achior) が答えた。
「 ご主人様、しもべたる私よりお答えします。この近くの山岳地帯に住む者たちについて、ありのままをお話しいたします。この言葉に嘘偽りはございません。
この民はカルデア人
[Chaldeans]
の血を引く者であり、彼らはカルデアに居た先祖たちの神に従わなかったため、一時期、メソポタミアに住んでおりました。彼らは先祖たちが行ってきた道を離れ、天の神、すなわち、彼らが知った神礼を拝するようになったために、つまみ出されてメソポタミアへ逃れ、そこに久しく居留したのでありました。
ある時、その住んでいた土地を離れて カナン
[Canaan]
の地へ行くようにと、彼らの神に命じられます。この地に彼らは定住し、多くの金銀・家畜を得るようになりました。
カナンの地が飢饉に襲われると、彼らはエジプトへ下り、食糧が得られる限り、そこで住むようになり、彼らの人口は増え、数えきれないほどに増えたのでした。
なので、エジプトの王は彼らを敵視するようになり、狡猾に彼らにレンガ作りの苦役を押しつけて虐げ、奴隷としたのでした。そのため、彼らが神にすがるや、神がエジプト全土を不治の疫病で覆ったため、エジプト人は彼らを追い出したのでありました。
神は彼らの眼前で紅海を干上がらせ、シナイ山
[Sinai]
とカデシ・バルネア
[Kadesh-barnea]
を通って彼らを導き、荒野のすべての民を追い出しました。そうして、彼らはアモリ人
[Amorites]
の地に住み、ヘシボン
[Heshbon]
の全住民を滅ぼし、ヨルダンを横切って、丘々の国すべてを占領したのであります。そして、カナン人、ペリジ人
[Perizzites]
、エブス人
[Jebusites]
、シケム人
[Shechemites]
、ギルガシ人
[Gergesites]
らを追い出して、長い間、その地に住みました。
さて、彼らが神に罪を犯さない限りは、彼らは栄えます。なぜならば、不義を憎む神は彼らと共にあられるからです。ところが、ひとたび彼らが神と約束したことを守らないと、度重なる戦いによって完膚なきまでに打ちのめされ、外国に捕囚の身とさせられました。その神の聖堂は地に引き倒され、彼らの町は敵に奪われたのです。
しかし、今日、彼らは神のもとに立ち帰り、離散していた所から戻りました。聖所があるエルサレムを取り戻し、無人であった山地にも定住するようになったのであります。
ゆえに、ご主人様、もし、この民に無意識の過ちがあって神に対して罪を犯しており、彼らの違反を見付けましたならば、攻め上って叩きましょう。しかし、もし、この国に重罪がなければ、そのまま通過なされませ。なぜならば、彼らの主が防御し、彼らの神が彼らを護るからであり、私どもが世界中に恥をさらすことになってしまうからです 」
アキオル
が、こう述べ終えた時、テントの周りに立っていた者は皆、不平を口にし始めた。
ホロフェルネス
の将校や沿岸の者、および、モアブの者たち全員が「彼を殺すべし」と主張した。 彼らは言った。
「 イスラエルの民など恐るるに足りません。彼らに戦いをする力などありません。閣下、攻め上りましょう。奴ら、大軍に飲み込まれるまでです 」と。
[5章]
会議の外の者たちの非難が止むや、アッシリア軍総司令官
ホロフェルネス
は、すべての外国人構成部隊の前で
アキオル
とモアブ人たちに言った。
「 アキオルとやら、エフライム族
[Ephraim]
の傭兵よ、イスラエルの神が奴らを護るから戦うべきではないだと? ふん、予言じみたこと言うなど、貴様、なに野郎だ。ネブカデツァル様以外に、どんな神があるというのか!?
王は軍隊を送って奴らを地上から消し去られるのだ。奴らの神とやらは、救えはせぬわ。我ら、王の しもべにとって 奴らを滅亡させることなど、たった 1人を討つようなものよ。我らの騎兵力に抵抗できはせぬ。奴らを火あぶりにしたらん。
『山々は血に染まり、野は死体で埋まる。奴らは抵抗できず、全滅するのだ』と、全土の主 ネブカデツァル王は言われた。まさに、そう言われたのだ。王の言葉が虚しくなることはない。
しかし、アンモンの傭兵のアキオルよ、かような事を言ったが故に、今日が貴様の災いの日となったな。今日以降、その、エジプトから出て来たという奴らに制裁の鉄拳が下される日まで、二度と予の前に顔を見せるな。 今度会う時は、我が軍隊の剣と予の側近の鑓が貴様の腹を貫き通し、貴様が負傷者の中に倒れる時だ。
今、予の奴隷に貴様を丘の町に連れて行き、登り道沿いの一つの町に置き棄てさせてやる。 貴様が生きておれるのも、奴らが潰されるまでのことだ。
心の中で奴らが占領されないことを真に願うのなら、顔を伏せるな! 予は言ったぞ。予の言に失敗は無いのだ 」
そこで、
ホロフェルネス
はテントの外に控えていた奴隷たちに
アキオル
をベトリアに連行してイスラエル人に渡すよう命じた。奴隷たちは彼を陣営から野に連れ出し、その野から丘の上の町へ登っていき、ベトリアの麓の泉に行った。
その町の人々が これを見るや、それぞれに武器を取り、町を飛び出して丘の上に上った。そして、投石隊 は石を投げて敵が登って来るのを防御した。 しかし、敵は丘の避難場所に身を寄せ、そこで
アキオル
を縛り上げると、麓に投げ出して、主君の元に戻ってしまったのである。 イスラエルの人々は町を降り来て彼を見付け、縄を解いてベトリアへ連れて行き、町の司祭たちの前に渡した。
時の司祭は、シメオン族の
オジア
(Uzziah)・
カブリ
(Chabris)・
カルミ
(Charmis) であった。 彼らが町の長老たちを全員集めると、若い男も女も急ぎ集まって来た。
アキオル
を真ん中に据えるや、
オジア
は何が起きたのか訊ねた。
彼は、
ホロフェルネス
の会議で何があって、彼がアッシリアのリーダーたちの前で何を話したか、
ホロフェルネス
がイスラエルの家を蹴散らすと言ったこと全てを語った。
人々は地にひれ伏して神に拝し、神に向かって叫んだ。
おぉ、天にいまします神なる主よ
彼らの傲慢をご御覧ください
私らの卑しみを憐れみくだされ
今日、あなた様に捧げております者たちの顔をご覧くだされ
彼らは
アキオル
を慰め、そして、大いに褒めたたえた。
オジア
は、その集会の場から彼を自らの家に招き入れ、長老らのために宴を催し、夜を通してイスラエルの神に助けを求めたのであった。
[6章]
明くる日、
ホロフェルネス
は全軍、ならびに、それに合流した者全員に、陣営を畳んでベトリアに向い、丘の国への通り道を占領してイスラエル人に戦闘するよう号令を発した。なので、戦士たちは即日、陣営を移動開始した。その数、兵士 17万、騎兵 1万2千。荷駄と、それを持つ歩兵と共に、それはそれは 膨大な数であった。
彼らはベトリア近くの谷の泉の側に陣を張り、それは ドタンからベルマイム
[Balbaim]
まで横に広がり、 縦には ベトリアからエズレル平野に面するキアモン
[Cyamon]
にまで連なった。
イスラエル人は、その膨大な数を見て震えあがった。彼らはそれぞれ隣の者に、
「 敵は全土を覆い尽くしてしまう。高い山々も谷も丘も、あの重さに耐えられないぞ 」と言い合った。 各人は武器を手に取り、櫓に篝火を焚いて、一晩中、防備にあたった。
2日目、
ホロフェルネス
は全騎兵をベトリアのイスラエル人が見えるように並べ、 町への登り道を検分して、給水のために、いくつかの泉を取り押さえる。ここに番兵を置き、そして自らは自軍に戻った。
ここに、エサウ(Esau) の民のすべての長、モアブ
[Moabites]
地方のすべての有司、および、海岸沿い地方の隊長たちがやって来て言った。
「 ご主人様、お聞きください。そうすれば、貴軍隊が損傷を受けることはありません。
このイスラエルの民が頼りにしているのは武器ではなく、彼らが住んでいる山の高さです。この山の頂上に登るのは至難であります。
なので、ご主人さま、戦闘なされますな。そうすれば 1兵たりとも損なうことはございません。陣に留まられて、すべての軍隊を止め置き、ただ、山の麓から湧き出る、ある泉を私どもに占拠させください。なぜならば、ベトリアの住民はすべて、この泉から水を得ているのです。ですから、喉が渇けば自滅して町を開け渡すことでしょう。
私らは近くの山の頂上に登って、そこに陣を張り、誰も町から出られないよう見張ります。彼ら、その妻と子供らは飢えによって滅び、剣が臨むまでもなく、彼らは通りに倒れてしまうことでありましょう。 こうして、彼らが逆い、穏やかに迎えなかったことが故に、彼らに報復されることができます 」と。
この進言に
ホロフェルネス
と、その士官たちは満足し、その通りに実行するよう命じた。 なので、アンモンの民は 5千のアッシリア軍と共に前進して谷に陣を張り、イスラエルの給水源と泉とを占拠したのであった。
また、エサウの子孫とアンモンの子孫たちはドタンの反対側の丘の町に陣を張り、南と東とに兵を送って モクムル川
[Mochmur]
溪流沿いのクシ
[Chusi]
に近いエクレベル
[Acraba]
に向かわせた。残りのアッシリア軍は平地に陣を張り、それは全土を覆った。そのテントと物資は大きく広がり、膨大な量であった。
イスラエルの民は神なる主に叫んだ。敵の全軍が周りを取り囲んで逃げ出せなくなったことから、絶望してしまったのである。
アッシリアの全軍、その歩兵・戦車、ならびに 騎兵は 34日間に渡って彼らを包囲した。
そうして、ベトリアの住民の水がめは尽きてきた。貯水槽も空となり、飲み水の量が制限されたため、1日分の水さえ足りなくなってきた。子供たちは弱り果て、女性も若者も渇きのために喘いで町の通りや門の通路にダウンした。もはや、彼らには力が残っていなかった。
その時、すべての人々、若者・女性・子供らが
オジア
と町の長老たちの所に押し寄せて来て大声で叫び、そして、長老たちに こう言った。
「 どうか、神が、あなた方と我々との間をお裁きくださいますように。
アッシリアと和平を結ばなかったがために、こんな悲惨な状況に陥ったではないですか! もはや、何の助けもありません。神は我々を敵の手に渡され、喉の渇きと破滅をもって 我々を地に打ちつけられたのです。
もう、ホロフェルネス軍に降参し、全市を渡してくだされ。捕虜となる方がマシです。奴隷となろうとも生き長らえられるし、目の前で赤ん坊が死んでいくのも、また、妻子が弱って息を引き取るのを見なくて済むのです。
天と地、我らの罪と先祖たちの罪によって我々を罰せられる神、そして、先祖たちの主にかけて、宣誓してほしい。我々が言った悲惨な事々を、今日にも神に止めてもらうと!」
そうして、集まった者たちは全員で大きな悲嘆にくれ、彼らは神なる主に向かって大声で叫んだ。
オジアは彼らに言った。
「 兄弟たちよ、気を強く持ちなされ! あと 5日間だけ頑張ろう。それまでに 神なる主は我々に憐れみを垂れられるであろう。神は我らを完全にお見捨てにはならぬ。しかし、もし、その日が過ぎてもなお、何のお助けもなければ、、みなが言う通りにしよう 」
そうして、彼は人々を各自の持ち場に帰らせた。彼らは町の城壁や櫓に戻っていき、女性や子供らは家に帰された。町全体が深い失意の底に沈んでいた。
[7章]
しばらくして、
メラリ
(Merari) の娘である
ユディト
(Judith)は、この事を聞いた。
彼女の夫の
マナセ
(Manasseh) は彼女と同族であり血縁者であったが、ある日、大麦の刈取りの時に熱中症にかかって死んでしまった。
その後、
ユディト
は 3年と 4ヶ月間、腰に麻布をまとって寡婦として家にいた。彼女は、安息日の前日・安息日・新月祭の前日・新月祭の日、およびイスラエルの祭日と祝日以外は、寡婦の日々を断食して過ごした。
彼女の容姿は美しく、とても愛らしい顔をしていた。夫の
マナセ
が財産をたくさん残しておいてくれたので、彼女はそれらを管理しながら生活していた。 彼女は深く神を信仰する婦人であったので、誰も、彼女のことを悪く言う者はいなかった。
ユディト
は、民の者たちが水が枯れて不安にかられ、司祭に向ってひどい言葉を吐いたこと、また、
オジア
が 5日後にアッシリアに降参すると誓ってしまったことを聞いた。
彼女は全財産を管理する侍女遣わして、町の長老である
カブリ
カルミ
に来てもらうよう依頼する。
彼らがやって来ると、彼女は語った。
「 ベトリアの民の司の方々、どうか、私の申し上げることをお聞きください。
あなた方が、今日、民に語られたことは正しくありません。あなた方は、もし、数日内に主が私たちを顧みてお救いにならないのであれば、この町を敵に渡すと約束して、神とあなた方との間で誓いを立てて宣誓までなされました。
あなた方は、いったい何様でございますか? 今日、神を試験台に置いた上に、あなた方自身を人の子の間の神よりも上に置いているのですよ。あなた方は全能の主を試そうとしているのです - しかし、何もお解りになってないではありませんか!
あなた方は人の心の深さを測ることも出来なければ、人が何を考えているのかを理解お出来にならないというのに、いかに万物を造り給う神を詮索して、神の御心を探り、お考えを理解しようとするのですか?
いけません! みなさん。私たちの神である主を怒りに駆り立てるようなことを やってはならないのです。
たとえ、この 5日のうちに私たちを助けることを選択なさらないとしても、神がお望みとなるなら、その期間ずっと 私たちをお守りになることもできれば、敵前にて私たちを滅ぼすこともお出来になる力をお持ちです。私たちの神なる主の目的を束縛しようとしないでください。なぜならば、神は人とは違うのです。脅しが効いたり、訴えで勝てるようなお方ではないのです。
ですから、神の救出を待つ間、助けを求め続けましょう。そうすれば、私たちの声をお聞きいただけるはずです。もし、それが御心に沿えば。
過去においては人の手で作られた神を拝む者がありましたが、私たちの世代、また、今の時代では、そういうことをする部族・氏族・民や町は全くありません。私たちの先祖は、それを行ったがために、剣に渡され、略奪され、敵の前に甚大な惨事に苦しみました。しかし、私たちが神以外の神を知らないからこそ、神が私たちや私たちの民を軽んじられることはないと信じています。
もし、私たちが占拠されてしまったら、ユダヤ全体が占拠されることとなり、聖域は略奪されることになります。そうなってしまったら、神は、私たちにその冒涜に対する罰を科されることでありましょう。
そして、同胞たちの虐殺・土地の没収・嗣業の荒廃 - これらすべてが、私たちが奴隷として奉仕する あらゆる所で、異郷の人々の中で私たちの頭上にもたらされるのです。私たちを捕える者たちの目からは、私たちは不快であり非難される者となるでしょう。
となれば、私たちが奴隷になったからといって恩恵はもたらされず、主なる神には、返って不敬と捉えられてしまうのであります。
なので、みなさま、兄弟のみんなに模範を示しましょう。彼らの命は私たちにかかっているのです。聖域も聖堂も祭壇も、私たちに掛かっているのです。
何にもかかわらず、私たちの神である主に感謝いたしましょう。私たちの先祖に行われたと同様に、今、私たちに試練を与えておられます。
神がアブラハム(Abraham) と共に行われたこと、また、イサク(Isaac) にどう試みられたか、シリア
[Syria]
の メソポタミア にて ヤコブ(Jacob) が彼の母の兄であるラバン(Laban) の羊を飼っている際に、彼の身に起きたこと、すべてを想い起してください。
神は、先祖たちの心を探るために行われたように、私たちに火をもって試されるのでなければ、何か仕返しされるのでもありません。ただ、主に寄り添おうとする者を戒めるために鞭打たれるのです 」
オジア
は答えて言った。
「 そなたの言われたこと、すべて真の心より語られたものであろう。そして、誰もそなたの言葉を否定できまい。そなたの知恵が示されたのは、今日が初めてではない。そなたの生涯の初めより、全ての人々はそなたの智慧を認識しておる。これ、そなたの心根が善いことによろう。
しかし、人々はひどく渇きに苦しんでおり、彼らは我々が約束したことを実行するよう強要し、また、我々が破ることが出来ない誓いを立てさせたのじゃ。
そなたは敬虔なる女性であられる。我らのために主が雨を降らせて水瓶を満たし、我らが、これ以上、落ち込んでしまわぬよう、お祈りくだされ 」と。
ユディト
は言った。
「 お聞きください。私は、孫子の代まで語り継がれる、あることを行います。
今宵、町の門にお立ちください。私は侍女と共に出かけます。あなた方が、敵に降伏してこの町を渡すと約束された日限のうちに、主は私の手によってイスラエルをお引き渡しになられることでしょう。
ただ、私の計画を探ろうとしないでください。私は、これから行おうとしていることを完遂するまではお知らせいたしません。
オジア
と司たちは言った。
「 心安らかに行かれよ。神なる主が そなたに先立ち、我々の敵にリベンジしてくだされますように 」
こうして、彼らはテントを出て、各々、自分の場所に戻った。
[8章]
ここで
ユディト
は ひれ伏し、頭に灰を蒙って、着ていた荒い麻布をあらわにした。そして、エルサレムの神の家で夕げの香が献じられる時刻になると、彼女は大きな声を上げて主に祈った。
おぉ、我が先祖 シメオン の神なる主よ。
乙女のガードルを剥いで冒涜し、太ももを露わにして恥ずかしめ、そして子宮を穢して汚辱した異郷の者に復讐するために、あなたは シメオン に剣を与えられました。
あなた様が「やってはならない」とおっしゃったことを、異郷の者たちが犯してしまったからです。ゆえに、あなた様は、彼らの統治者たちを見放して死をお与えになりました。彼らが行った欺きによって恥ずかしめられたベッドは血に染まり、しもべたちは長の子たちと共に倒され、そして、長の子たちは自らの座の上で倒れました。
あなた様は、その者らの妻たちを捕らえ、娘らを捕虜とし、すべての戦利品を 愛する子たちに分け与えられました。その子らは、あなた様を熱望し、血の汚染を忌み嫌い、あなた様に助けを求める者たちです。
あぁ神よ、我が神よ、寡婦なる私の言うことをお聞きください。
これらの事々は、その前の事も、後の事も、あなた様が行われた事でした。現在の事も、これから起り来る事も、あなた様がデザインされたものです。
そうです! あなた様が意図された事は来ては過ぎ、ご意志は自ずから現れ、こう おっしゃいます。「見よ、我らはここにあり」と。なんとなれば、すべての方策は予め用意されているものであり、あなた様の裁きは予知をもって下されるのでしょう。
ご覧ください。アッシリア人は兵力を増し、馬と騎兵と共に高揚して歩兵の力に奢り高ぶっています。楯と鑓・弓と投石器とを信じきっているのです。
しかし、彼らは知りません。あなた様が「戦いに圧勝する主」であられることを。
「主」、それこそが、あなた様のお名前です。
あなた様の御力をもって、あの者たちの力を叩き潰し、お怒りをもって兵力を削いでください。なぜならば、あの者たちは、聖所を冒涜し、栄光の御名がある幕屋を毒し、祭壇の角を剣で斬り倒そうとしているのです。 あの者たちの傲慢ぶりをご覧になり、彼らの頭上にお怒りをズドンとお落しください。
寡婦なる私に、私の計画を遂行する力をお与えください。
私の欺きの唇によって、あの しもべを その長と共に、その長を 側近らと共に討ってください。1人の女の手をもって、あの者の傲慢を打ち砕いてください。
あなた様のお力は頭数によるものでなければ、権力を持つ者たちによるものでもありません。あなた様は卑しい者の神、虐たげらたる者の助け主、弱き者の支え、惨めな者の護り、望みなき者の救い主であられます。
お聞きください。我が父の神よ、イスラエルの代々の者の神よ、天と地の主、水の創造主、あらゆる創造の王よ、私の祈りをお聞きください!
あの者らは、あなた様の契約にも、聖められた家にも、シオン
[Zion]
の頂きにも、あなた様の子らが所有する家に対しても、すべてに逆らう残虐な事を企てたのですから、私の欺きの言葉が、あの者らの傷となり鞭となりますように。
そして、すべての国民、あらゆる民をして、次の事を悟らせてください。
あなた様こそが神。そう、全知全能の神であり、イスラエルの民を護るお方は、あなた様以外、他に誰も居ないということを。
[9章]
ユディト
がイスラエルの神に祈りの声を上げることを止め、その言葉を終えた時、 彼女は、そのひれ伏した所から起き上って侍女を呼び、安息日、ならびに、祝祭日に過す部屋に降りて行った。
そこで、彼女は着ていた荒い麻布を解き、未亡人の服を脱いで、水で体を清めた。芳醇な香油を付け、髮を編んでティアラを頭に着け、夫の
マナセ
が生きていた時によく着ていた晴れ着をまとった。そうして、おしゃれなサンダルを履き、アンクレット・ブレスレット・指環・イアリングなど、ありとあらゆる飾りを身につけて、彼女を見る男たちの目を惑わすように、とても美しく仕立て上げた。
彼女は侍女にワインのボトルと油の瓶を渡し、炒り麦とドライフルーツと上等のパンを袋に詰め込んで、容器と共に包みにして侍女に持たせた。
かくして、2人がベトリアの門に向うと、そこには、既に
オジア
と町の長老なる
カブリ
カルミ
が立っていた。
彼らが、彼女の顔が変わっており、着替えているのを見て、それが、とてつもなく美しいことに驚き、そして祈った。
我らの祖先たちの神が恩恵を垂れますことを
あなたの計画が満たされますように
イスラエルの人々の栄となり
エルサレムの誉となりますにように
ここに、彼女は神に拝した。
彼女が
「 門を開けるようお命じください。お話したことを果たすために出かけて参ります 」 と言うと、彼らは、若い男に門を開けさせた。門が開けられると、
ユディト
は侍女と共に出かけて行った。
町の人々は彼女らが山を下りて谷を過ぎ、姿が見えなくなるまで見送った。
2人が谷を越えて真っすぐに進んでいくと、アッシリア軍のパトロール隊に出くわした。 彼女らを捕えるや、
「 お前らは、どこの民だ? どこから来て、どこへ行くのか?」と尋問した。
ユディト

「 私はヘブライ
[Hebrews]
の娘でございます。しかし、彼らは滅びのためにあなた様方に渡されそうとしておりますゆえ、逃げてまいりました。私は、御軍隊の総司令官であられる ホロフェルネス様のもとに参り、実態をお知らせし、一兵卒も損なうこと無く、捕えられることも殺害されることなく、すべての山地をからめ取る方法をお伝えいたしたく存じます 」と答えた。
パトロール隊の者たちは彼女の言葉を聞き、また、その顔を見つめて、その美しさに驚嘆しつつ、彼女に言った。
「 あなたは我々の長官の元に急ぎ来て命拾いされたな。すぐに彼のテントへ行かれよ。誰かにエスコートさせて、お目通りが叶うようにいたそう。彼の前に立ったら畏れることなく、今申されたことをお伝えなされ。彼は、あなたを鄭重に扱われるであろう 」と。
彼らは 100名の兵士を選んで、彼女と侍女とを連れて
ホロフェルネス
のテントへと向わせた。彼女の到着の事はテントからテントへと伝えられたため、全ての陣営の者たちは「すごい女が来たぞ」と大騒ぎになった。エスコートの者たちが
ホロフェルネス
に告げる間、彼女がテントの外で待っていたが、彼らはドヤドヤとやって来て彼女の周りに集まった。
彼らは彼女のあまりの美しさに驚き、そして、彼女の美しさがゆえにイスラエル人に恐れ入った。 誰しもが隣の者に
「 こんな、すげー美人がいるとは、この民は侮れん。1人たりとも残してはマズいべ。生かしておいたら全ての土地を陥れかねん 」と言いあった。
そうして、
ホロフェルネス
の近臣とすべての しもべらが出てきて、彼女をテントの中へ導き入れた。
ホロフェルネス
は、紫と金とエメラルドと高価な宝石で装飾された天蓋付きのベッドに横になっていたが、彼女の事が告げられると、彼は銀の燭台を立ててテントの控えの間に出て来た。
ユディト
ホロフェルネス
と使いの者たちに面するや、皆々が彼女の美しさに驚く。彼女はひれ伏して彼を拝したが、使いの者たちが彼女を起こし上げた。
[10章]
その時、
ホロフェルネス
は彼女に言った。
「 女よ、案ずるな。怖れなくともよい。予は全世界の王たる ネブカドネツァル様に仕えることを選ぶ者に危害を加えることはない。今でも、この山地に住む お前の民どもも、予を侮ったりしなかったら、鑓を上げたりはせなんだに。奴ら自ら、この事態を招いてしまったのだ。
さぁ、どうして お前はここへ逃げて来たのか話すがよい。ここは安全だ。安心せよ。今宵これから、お前の命を保障しよう。誰も危害を加える者はなく、誰しも、我が主君 ネブカドネツァル王の家来に接するように、お前を大切に扱うであろう 」
ユディト
は彼に答えて言った。
「 あなた様の しもべの言葉をお受けください。御前にて、この婢女
(はしため)
にお話させてください。今宵、私が あるじ様に申上げることに嘘偽りはございません。
もし、この婢女の言葉通りに実行なされば、神は あなた様を通して事を達成されるでありましょうし、あるじ様は、その目標を失敗なさることはありません。
命あるすべてのものに秩序をもたらすために、あなた様をお送りなされた、すべての地の王であられる ネブカドネツァル様の御世において、そのパワーが保たれることの恩恵を受けて、ネブカドネツァル様と御一族の下にて、あなた様の力によって、あなた様が故に人々が王に仕えるのみならず、野の獣・家畜・空の鳥までもが生き続けることでありましょう。
私どもは、あなた様の知恵と才腕について聞き及んでおります。あなた様が王国内随一のお方であると全土に伝えられており、軍事戦略に非常に長けておられると、あまねく知られております。
さて、アキオル氏がこちらの会議で述べたことでありますが、彼はベトリアの人に救われ、あなた様に話したことの全てを皆に伝えましたので、私たちも聞きました。
されば、ご主人さま、彼の言を無視なさらず、ご留意ください。それは真実なのであります。私どもの民は自らの神に対して罪を犯さない限り、罰を受ける事もなければ、剣をもって倒されることもありません。
しかし、今や、ご主人さまが破れて目的を達せられないという事がないように、彼らは死を迎えるしかありません。なぜならば、自らの悪によって神の怒りを招いてしまったことにより、罪から逃れられなくなったからであります。
彼らの食料は尽き、飲み水もほとんど枯れつつあるために、家畜を殺し、神の律法をもって食してはならぬと決められたものまで食べてしまうと決めてしまいました。彼らは、エルサレムにて神の御前に仕える祭司たちのために清められ分けられている穀物の初穗、ワインと油の 1/10をまで使ってしまおうと決めました - これらは手に触れてはならないものであるにもかかわらずです。
彼らは過去にエルサレムにも前例があるからと、エルサレムに使いを送って議会から許可を得ようとしています。その許可が下りたなら実施してしまうでしょう。しかし、その日が、まさに滅びの日となるのです。
この婢女は、この事をすべて知ったからこそ、逃げてまいりました。全土を驚かし、それを聞く者を驚愕せしめる事を、あなた様と達成せんがために、神は私を送られたのであります。下女は信心深く、日夜、天の神に仕えております。なれば、私はここに居り、毎夜、谷に降りて神にお祈りいたします。そうすれば、彼らが罪を犯した時、神はそれをお教えくださるでありましょう。その時が来ましたらお伝えしますので、全軍をもってご出陣ください。誰も立ち向かう者はいないはずです。
私はあなた様を導いてユダヤの中を通ってエルサレムまでお連れします。その中央に、あなた様の御座を設けましょう。かくして、あなた様は彼らを羊飼いのいない羊の如くに率いられることでしょう。唸り声をあげる犬など 1匹たりともおりません。
これらは預見をもって私めに示されたものであり、それが故に、こちらに遣わされたのであります。
こうした彼女の言に、
ホロフェルネス
と側近たちは満悦すると共に、彼女の知恵に驚いた。そして、
「 地の果てから他方の果てに至るまで、これほど美しく、かつ、知恵ある言葉を持つ女は他に居るまい 」と言った。
ホロフェルネス
も、また言った。
「 神は、よくぞ、我らに手を貸して、我が主君を軽んじる民に破滅をもたすために、お前をここに遣わされたものよ。お前は容姿が美しいのみならず、言葉にも知恵がある。もし、言うたことを行ってくれるなら、お前の神を予の神としよう。そして、お前は ネブカドネツァル王の家に住むと共に、その名は全土に知れ渡るであろう 」
[11章]
そして、彼は銀の食器が用意されている部屋に彼女を連れて行き、そこにテーブルをセットして食事とワインを与えるようにと言いつけた。
すると、
ユディト

「 それは、いただく訳にはいきません。罪となり得ますゆえ。自ら持参いたしましたものがありますので、それを取ります 」と言った。
ホロフェルネス
は、
「 もし、それが無くなってしまったら、同様のものは用意できぬぞ。ここには、お前の民の者は 1人もおらん 」と言う。
ユディト

「 あるじ様、 主がお決めになられたことを私めの手によって実行される前に、この婢女が持ってきたものを食べ尽くしてしまうことはございません 」と答えた。
そうして、
ホロフェルネス
の従者たちは彼女をテントに連れて行き、彼女は夜半まで眠りについた。
朝の見回りと共に起き上がり、そして、
ホロフェルネス
に使いを出し、
「 この婢女が出掛けて祈祷することを許可ください 」と伝えさせた。
ホロフェルネス
は衛兵たちに、彼女を妨げないようにと指示した。
こうして、彼女は陣営に 3日間滞在し、毎夜、ベトリアの谷に出向いて、そこの泉にて身を清めた。泉から上がると
民を高めるために、私めの道をまっすぐに整えてくださいませ
と、イスラエルの神なる主に祈った。
そうして、身を清めて戻るや、夕食を取るまでテントの中に居た。
4日目のことである。
ホロフェルネス
は従者だけと祝宴を催した。しかし、そこには将校らを入れなかった。彼は 、
バゴアス
(Bagoas) という身の回りを世話する役の宦官に
「 お前が世話している、あのヘブライの女に、ここで食事して酒を飲むようさせろ。あんな女が居るというのに共に楽しまねば、据え膳食わぬは恥よ。俺ら抱けもしないとなったら、あの女に笑われちまうわい 」と言った。
なので、
バゴアス
ホロフェルネス
の前を退いて彼女のもとへ行き、
「 美しき仕え女よ、我が主君のもとへ参られよ。めでたくも、その御前にてワインを飲み、我らと共に楽しみ、この日、ネブカドネツァル王に仕えるアッシリアの娘の 1人のようになられよ 」と告げた。
ユディト

「 どうして、あるじ様のお誘いをお断りできましょうか。お慶びになることは何でも、すぐにいたします。それは私の一生の喜びであります 」と答えた。そうして、彼女は立ちあがって着飾り、侍女には先に行かせて、
バゴアス
から日々の利用のために受け取っていた柔らかい羊毛を
ホロフェルネス
の前に広げて、彼女がリラックスして食事ができるように敷かせた。
ユディト
が部屋に入って来て体をくずして座るや、
ホロフェルネス
は彼女を初めて見た時から、ずっと落とす機会を狙っていたものだから、もう 彼の心臓はバクバクで、
「うおっ~、たまんね~!」という状態にあった。
「 さ、さ、飲むね? 一緒に楽しも(^o^) 」と
ホロフェルネス
が言うと、
「 はい、いただきます、ご主人さま。生まれてこの方、今日ほど光栄なことはございません 」と
ユディト
は言った。そして、彼女は侍女が用意した物を食べて飲み物を飲んだ。
ホロフェルネス
はすっかり良い気分になり、一生のうちで、これまで飲んだことのない量のワインを しこたま浴びるように飲んだのであった。
[12章]
夕刻となり、従者らは急ぎ退き、
バゴアス
は外からテントを閉じて皆の者を退けさせた。彼らは宴が長びいて疲れていたので、すぐさま就寝に向かった。
こうして
ユディト
は 1人テントに残った。
ホロフェルネス
は飲みすぎてベッドに酔い潰れている。
ここで、彼女は侍女に、いつもの通り寝室の外で彼女が出て来るのを待つようにと告げた。侍女にも
バゴアス
にも、後で祈祷に出かけると言ってあった。
そうして、上の者も下の者も全員出払ってしまい、寝室には誰も居なくなった。
ユディト
はベッドのそばに立ち、心の中で祈った。
おぉ、全能の神なる主よ
エルサレムの高揚のために この手が行う業を
この時、ご覧ください
今こそ、あなた様より譲られしものを救う時
私どもに対して立ち上がった敵を葬り去るために
私めが引き受けた仕事を実行する時であります!
彼女は
ホロフェルネス
の枕元のベッドの支柱に歩み寄り、そこに掛けてあった彼の剣を抜き取った。そして、ベッドに近づくや、彼の髪の毛を掴んで
イスラエルの神なる主よ、今日こそ、私に力をお与えくださいっ!
と祈って、力いっぱいに 2度に渡って彼の頸を斬りつけた。そして、首を胴体から切り離した。
エルスハイマー
『 ホロフェルネスに斬りつけるユディト 』
1601-03頃
ウェリントンコレクション,アプスリーハウス
Adam Elsheimer
" Judith décapitant Holopherne "

ロマネッリ 『 ユディトとホロフェルネス 』 1655-58
 ルーヴル美術館
Giovanni Francesco Romanelli " Judith et Holopherne "
カラヴァッジョ
『 ホロフェルネスの首を斬るユディト 』 1599
 バルベリーニ宮国立古典美術館
Michelangelo Merisi da Caravaggio
" Judith Beheading Holofernes "
ジェンティレスキ 『 ホロフェルネスの首を斬るユディト 』 1612-13
 カボディモンテ美術館
Artemisia Gentileschi " Judith Beheading Holofernes "

彼の胴体をベッドから転がして落として 柱から天蓋を引き外し、少しして、彼女は寝室から外に出た。侍女に
ホロフェルネス
の首を渡すや、彼女はそれを食物の袋に入れた。

シラーニ派 『 ホロフェルネスの首を持つユディト 』 1638-1665頃
 ウォルターズ美術館
follower of Elisabetta Sirani " Judith with the Head of Holofernes "
アローリ 『 ホロフェルネスの首を持つユディト 』 1610-12
 パラティーナ美術館
Cristofano Allori " Judith with the Head of Holofernes "


ルカス・クラーナハ(父) 『 ホロフェルネスの首を持つユディト 』 37.2*25.0 1530頃
 国立西洋美術館
Lucas Cranach the Elder " Judith with the Head of Holofernes "


そうして、彼女らはいつものように「祈祷のために」と、出かけて行ったのである。
そして、陣営を抜けて谷を廻り、ベトリアの山を登って、町の門に着いた。
ユディト
は遠くから門番に叫んだ。
「 お開けください。門をお開けください! 神は、私たちの神は、まだ私たちと共に居られます! イスラエルの中の そのお力を、敵に対してのお力を、今日、行われたように、それをお示しになるために!」
町の人々は彼女の声を聞くや、皆、門まで急ぎやって来て、長老たちを集めた。人々は大人も子供も
ユディト
が生還したことが信じられないまま、全員 走り来て門を開け、そこに彼女らを確認した。彼らは明りのために火を灯して
ユディト
らの周りに集まった。
彼女は声を張り上げて言った。
「 神を讃えてください。讃えましょう、神を! 神はイスラエルの家から憐れみを取り去られることなく、私の手によって、今夜、敵を討ち潰してくださいました!」
彼女は袋から首を取り出すや、
「 ご覧ください。これぞ、敵のアッシリア軍の総司令官 ホロフェルネス の首にあります。そして、これが、この者が酔い潰れて昏睡していたベッドの天蓋です。主は一人の女の手により、この者を討たれたのです。主は見ておられ、私が歩む道をお守りいただきました。私の顔をもって この者を惑わし破滅せしめましたが、私が汚され恥ずかしめられることによって罪を背負う事が無いようにも取り計らわれたのであります 」と言った。

ソリメーナ 『 ホロフェルネスの首を掲げるユディト 』 1730頃 ウィーン美術史美術館
Francesco Solimena " Judith avec la tête d’Holopherne "
人々は、皆、大感嘆し、身をかがめて神に拝して一同に言った。
この日、あなたの民の敵に大恥をかかせられた神に祝福あれ!
オジア
は彼女に言った。
「 おぉ、娘よ、そなたは地上の全女性に勝って、最も高い神に祝福されておられる。そして、そなたを導いて敵の大将の首を上げられた。この天地を造りたもうた神なる主によって祝福されておられる。
人々が神の力を思い起こす時、そなたの願いは、決して人々の心から離れることはあるまい。神が、これを、そなたの永遠の誉となし、いくつもの祝福を持って、そなたを迎えられますように。
我らの民が卑しめられている際に、そなたは自らの命をも惜しまず、真っすぐに神の前の道を歩まれ、そして、我々を破滅から救ってくれたのであるからの 」と。
そうして、人々は皆、「 そう、その通り! 」と言った。
[13章]
ユディト
はみんなに言った。
「 お聞きください、みなさま。この首を城壁の欄干に掛けてください。まもなく朝が来て日が昇ったら、勇者のみなさんは武器を手に町を出、指揮官を立てて、あたかもアッシリア軍の前哨めがけて攻撃に野を降って行くかのような素振りをしてください。ただし、本当に降りて行ってはいけません。
彼らは武装して陣営に向い、アッシリア軍の将校らを起こして、将校らは ホロフェルネス のテントに駆け込むでしょう。しかし、そこに彼を見付けられません。
ここに恐怖が襲ってきて、彼らは目の前から逃げ出すはずです。そうしましたら、イスラエルの者 総出で彼らを追い、敗走するところを斬り倒しましょう。
しかし、その前にアンモン人の アキオルさんを連れてきてください。イスラエルの家を侮り、あたかも死の宣告のごとくに私たちに彼を送りつけた、この男の首実検をしてもらいたいのです 」
そこで、人々は
オジア
の家にいる
アキオル
を呼び出した。
彼はやって来て、みんなが集まっている所で 1人の男が持つ
ホロフェルネス
の首を見るやいなや、うつ伏せに倒れ 卒倒してしまった。
民の者が彼を起こし上げた時、彼は
ユディト
の足にひざまずいて、顔を仰いで言った。
「 あらゆるユダのテントの中で祝されますように! すべての国で、あなたの名を聞く者は驚嘆するでしょう。この数日、何が起きたのか教えてください 」と。
そこで、
ユディト
は、ここを出てから、今ここで話をしているまでの間に起きた全ての事を人々の前で話した。
彼女が話し終わると、人々は大歓声を上げ、町中で歓喜の雄たけびを上げたのであった。
アキオル
はイスラエルの神が行われたことの全てを見て、深く神を信じたので、割礼をしてイスラエルの家に参加した。
夜が明けるやいなや、町の人々は
ホロフェルネス
の首を城壁に掛け、男たちは全員武器を取り、隊を組んで山々の道に出た。アッシリア軍はこれを見るや参謀へ伝令し、参謀らは将軍や大佐、そして 将校のもとへと駆けこんだ。
彼らは
ホロフェルネス
のテントに来て、そこで身の廻りの世話をする執事に伝えた。
「 主君を起こしてくれ。あの奴隷どもが、全滅覚悟で、大胆にも降り来て戦闘を仕掛けて来ている 」
バゴアス
は、彼が
ユディト
と寝ているものと思い、テントに入って戸を叩いた。しかし、返事がない。彼は戸を開けて中の寝室に立ち入るや、そこで見つけたのは、地に転がっている首なしの
ホロフェルネス
の死体であった。
彼は大きな叫び声を上げ、泣き、うめき、絶叫して衣を引き裂いた。
ユディト
が居たテントへ向うも、そこにも彼女は居ない。
彼は飛び出して周りの者たちに叫んだ。
「 あの奴隷どもに たばかられた! ネブカドネツァル家が 1人のヘブライ女に恥かかされたのだ! 見よ、首なしの ホロフェルネス様の屍が地に転がっておる!」
アッシリア軍の隊長たちは、これを聞くや、彼らはチュニックを引き裂き、そして、非常に狼狽した。そうして、霧のかかる陣営の中で泣きわめいたのであった。
[14章]
各テントにこの事が伝えられると、彼らは事件を知って驚愕する。恐怖と戦慄とに襲われ、他の者には目もくれず、皆、我先にと、あらゆる平原も丘々も抜けて一目散に逃げ出した。ベトリアの周囲の山々に陣を敷いていた者たちも逃げ出した。
ここに、イスラエル兵たちが総出で敵に向って襲いかかったのである。
オジア
は、ベトメスタイム、ベバイ
[Bebai]
、コパイ
[Choba]
、コラ
[Kola]
、そしてイスラエル全土に使者を送って、この事を知らせ、そして、皆、急ぎ敵を討つよう伝えた。
これを聞いたイスラエルの人々は一斉に敵に襲いかかり、コパイまで追い詰めた。エルサレムや山地の者たちも敵陣で何が起きたのか聞いて駆けつけた。ギレアデ
[Gilead]
、ガリラヤ
[Galilee]
の人々も敵の側面から迫って大打撃を与え、ダマスコの境界まで迫った。
ベトリアに残った者はアッシリアの陣営に乗り込み、これを略奪して多くの富を得た。殺戮を終えて帰還して来たイスラエルの者たちも、残っていたものを没収した。ものすごく大量であったため、山地や平地の村や里の者も非常にたくさんの戦利品を得た。
大祭司
ヨアキム
、ならびに、エルサレムに住むイスラエルの長老たちは、主がイスラエルにもたらした恩恵を見るため、そして
ユディト
に会って礼を言うためにやって来た。
彼らは、彼女に会うや、皆、一緒になって祝福した。
「 そなたはエルサレムの誇り、イスラエルの大いなる誉、我々の国のプライドであられる! そなたは、このことを、たった 1人で やってのけられた。イスラエルにとって素晴らしき事を。 そして、神はこのことをお慶びになられた。全能なる主が、そなたを永遠に祝福されますように!」と。
そして、周りの者全員は声を上げた。「そうあらしめよ!」
民は 30日間に渡って敵の陣地の物品を没収していった。彼らは
ホロフェルネス
のテント・銀食器・ベッド・容器に、家財一式を
ユディト
に贈った。彼女は、これを受け取ってラバの背に乗せ、荷車を用意して、それに積み込んだ。
この時、イスラエルのすべての女性たちは彼女を見ようと集まって来て、彼女を祝福し、ある者は踊りだした。
ユディト
は木の枝を取り、一緒にいた女性たちに渡した。彼女たちはオリーブ枝で冠を作って頭にかぶり、
ユディト
も一緒になってリードして踊った。イスラエルの男たちも武具を付けたまま冠をつけて歌い、後に続いたのであった。
[15章]
この時、
ユディト
は、全てのイスラエルの前にて、この感謝の辞を始めた。そして、すべての人々が、この賛歌を高らかに歌った。
ユディト
は言った。
さぁ、タンバリンと共に我が神に、シンバルをもって我が主に歌いましょう
神に新たな詩を掲げて、崇め、御名を呼びましょう
神は戦いを打ち砕かれた主
追手から私を救い出し、ご自分の陣営へ、人々の中にお運びくださった
アッシリア人は、無数の軍勢を率いて、北の山から降り来た
その軍勢は谷々をせき止め、その騎馬は丘々を覆った
あの者は公言した
私たちの領土を焼き払い、剣をもって若者を刺し殺し、
幼児を地に叩き付け、子供たちを獲物として捕らえ、
乙女の体を奪っていく、と
しかし、全能の主は 1人の女の手によって あの者らを撃退された
敵の力ある者は、壮者の手によって倒されたのではなく
タイタンの子がほほ笑んだのでも、巨人族が襲ったのでもなく
メラリの娘:ユディトが
その美貌をもって あの者の力を無きものにしたのです
その女は寡婦の衣を脱いだ
圧迫されたイスラエルを高揚せんために
顔に香油を塗り、髪をティアラで固め、リネンのガウンをまとった
あの者を欺くために
そのサンダルは彼の目を惹き付け、その美貌は あの者の魂を虜にし
そして、剣があの者の首を断ち切った
ペルシャ人は、その大胆さに慄き
メディア人は、その不敵さに威圧された
その時、虐げられていた人々は歓喜の叫びを上げ
我が無力な民が叫ぶと、敵は震えあがった
その声を高めると、敵は逃げ惑った
仕え女の子らは彼らを刺し貫き
敵は逃亡者の子のように傷つけられ
我が主の軍隊の前に滅び去った
私は、神に新しい歌を歌います
 おぉ、主よ、あなたは偉大にして輝かしくあられる
 素晴らしく強く、無敵であられる
 すべての造られたものが、あなた様に仕えますように
 あなた様が言葉を発せられると、それが生じ
 スピリットを送られると、それが形作られます
 あなた様の声を拒む者はおりません
 山々は海と共に土台から揺れ動き
 岩も蝋のように溶けましょう
 しかし、あなた様を畏るる者には憐れみを示される
 かぐわしい香りを放つ あらゆる生贄も、小さなこと
 燔祭用の あらゆる太った供え物も、とても小さなこと
 ただ、主を畏るる者こそ永遠に偉大なのです ♪
クリムト 『 ユディトⅠ 』 1901
 オーストリア・ギャラリー
Gustav Klimt " Judith I "
我らに剣を上げる国は悲惨かな!
全能の主は、審判の日に彼らに報復なされる
彼らの肉体に火と蟲とを与えられ
彼らは永遠に痛みの中で泣くことになるのです
彼らはエルサレムに入ると神に礼拝した。お清めを済ませると、彼らは燔祭の献げ物と、それぞれ任意の物、そして奉納物を捧げた。
ユディト
もまた、人々が彼女にあげた
ホロフェルネス
のすべての家財を神に献上し、寝室から取ってきた天蓋を主への献げ物として奉納した。人々はエルサレムの聖所の前で 3ヶ月間饗宴を続け、
ユディト
も一緒に留まった。
その後、皆々は、それぞれ先祖代々の地へと戻り、
ユディト
もベトリアへ帰り、自分の土地で暮らした。生きている間、ずっと、国中の人々に尊ばれた。多くの男たちが彼女と結婚したいと思ったが、彼女は
マナセ
が死して その民に加えられて以降、一生の間、寡婦のままで通した。
彼女はますます尊ばれ、夫の家で歳を重ね、105歳まで生きた。侍女に暇を出すと、ベトリアにて永眠した。そうして、彼女は夫
マナセ
の墓に葬られ、イスラエルの家は 7日間、喪に服した。彼女は死の前に、財産すべてを、夫
マナセ
の親戚に、また、自分の近い家系の者に譲っていた。
こうして、
ユディト
が生きている間、また、死後も長らく、再びイスラエルの人々を苦しめるものは出なかったのである。
[16章]





更新情報:
 - Ver. 1.0:  2019年 2月 10日 公開
 - Ver. 1.1:  2022年 10月 19日 国立西洋美術館所蔵作品の情報を追加