国立西洋美術館新収蔵のセザンヌ作品


今回の国立西洋美術館訪問は、もちろん、今話題の企画展である「ラファエロ展」ですが(その感想は後日アップします)、もう一つの楽しみ、今年度に新たに収蔵され、先日から展示が始まったセザンヌの作品に会うことでした。

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ポントワーズの橋と堰 』 1881  59.1*72.1

セザンヌの風景画作品の中でも、川を扱ったものはあまりありませんので、珍しい作品です。

さて、これは、セザンヌ先生のどういう謎解きでしょう?

川の流れは緩やかで、これは上流から下流を臨んだものなのか、もしくは逆なのか、一見分かりません。堰に溜まっている水面に橋の姿が反映して堰のラインと橋のラインとが重なっているようでもあり、橋が2倍の大きさになっているようにも見えます。

しかし、よく見ると、橋から手前に堰があり、そこまでの流れがストップしているようです。そして、堰から、また手前に向かって、ゆっくりと水が流れているようです。つまり、下流から上流にある橋を見ている構図ではないでしょうか。

なぜか右下の草木がぼかして描いてあり、水に溶け込んでいるようにも見せてあるのが謎です。これを描かないと川幅が広くなってしまうので、一見で上流・下流の構図が判ってしまうのかもしれません。それを避けるための細工のようにも思えます。

また一作、良い作品が収蔵されましたね。^^

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