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訳文:
永和九(353)年、歳は癸丑に在り。暮春の初め、会稽山陰の蘭亭に会す。禊事(みそぎの行事)を脩むるなり。 群賢(名士たち)、畢く至り、少長(老いも若きも)、咸(全員)、集まる。此の地、 崇山峻領(高い山や険しい峰)、茂林脩竹(茂った林や長い竹)有り。又、清流激 湍(激しい早瀬)有りて、左右に暎帯す(照り映えている)。引きて、以て流觴の曲水(杯を流す曲水)を為し、 其の次に(各々が順に)列坐す。糸竹管弦(笛や琴の管弦)の盛無しと雖も、 一觴一詠(酒を交わし詩を詠むことは)、亦、以て幽情(奥深い心情)を暢叙する(伸びやかに表す)に足る。 是の日や、天、朗らかに、気清く、恵風(恵みの風)和暢せり(和らいで吹いている)。仰ぎては 宇宙の大なるを観、俯しては品類(万物)の盛んなるを察す。 ※ 与謝蕪村『 蘭亭曲水図屏風 』 ■ 江戸時代 東京国立博物館
読み下し文:
永和九年、歳は癸丑に在り。暮春の初め、会稽山陰の蘭亭に会す。禊事を脩むるなり。 群賢、畢く至り、少長、咸、集まる。此の地、 崇山峻領、茂林脩竹有り。又、清流激 湍有りて、左右に暎帯す。引きて、以て流觴の曲水を為し、 其の次に列坐す。糸竹管弦の盛無しと雖も、 一觴一詠、亦、以て幽情を暢叙するに足る。 是の日や、天、朗らかに、気清く、恵風和暢せり。仰ぎては 宇宙の大なるを観、俯しては品類の盛んなるを察す。 |