訳文:
漢の帝は色好みで、傾国(とびっきりの美人)を探しておられましたが、
長年の御宇(ご治世)の間、意に適う女性は探し得ませんでした。
楊家に、初長成の(良い年頃に育ってきていた)娘がいました。
深閨で(表に出さずに)育てられていたので、世間の人は誰も知りません。
しかし、麗質(天性の麗しさ)は自ら埋もれるはずばなく、
ある日、選ばれて、帝のお側につかえることになりました。
瞳をめぐらして、にこっとすれば、百媚(皆がどぎまぎするほどの艶やかさ)が生じ、
六宮(六つの宮中)の粉黛(美人の女官たち)は真っ蒼となったのであります。
参考文献:
・「 白楽天詩選 」(上) 川合康三 訳註 岩波文庫 2011年
・ 続国訳漢文大成「 白楽天全詩集 」第二巻 佐久節 訳註 日本図書センター 昭和53年
・「
長恨歌傳 」11~15ページ 唐陳鴻 撰 1616(元和2)年 国立国会図書館デジタルコレクション
・「
沙門空海 唐の国にて鬼と宴す 」 夢枕獏 作
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