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旧約聖書 士師記:サムソンとデリラの話

ヴァン・ダイク『 サムソンの捕縛 』1628-1630 ウィーン美術史美術館
Anthonis van Dyck  " Capture Samson "
旧約聖書 士師記の中に出て来る サムソンとデリラに関する話です。

イスラエルの人々は再び主のお目に叶わぬ悪業を行ったので、主は彼らを 40年間ペリシテ人
/Philistines/
の手に渡されてしまった。
ダン人
/Danites/
の一族で、
マノア
(Manoah) という名の、 ツォルア
[Zorah]= ゾラ
の人がいたが、彼は妻との間に子が出来なかった。
ある日、主のお使いが現れて彼女に言われた。
そなたは不妊症にして子を産みしことあらず
されど、そなた妊娠して男子を産まん
そなた、慎みて、ワインおよび発酵した酒を飲むことなかれ
また、すべて穢れたものを食ふなかれ
そなた妊娠して男子を産まん
その頭にはけっしてカミソリを当つべからず
その子は胎よりして神に身を献げし ナザレ人
/Nazirite/
たるべし
彼、ペリシテ人の手よりイスラエルを救い始めん
彼女は夫のところへ行って言った
「 ねぇねぇ、今日、神さまの人が私のところに来られたのよ。神のお使いのようでした。怖かったぁ。どこから来られてのか尋ねなかったけれど、その人も名前をおっしゃられなかった。でも、その人は
おまえは妊娠して男の子を産むだろう
でも、これからは、ワインや発酵させた酒を飲んではいけない
穢れた食べ物を口にしてもいけない
なぜならば、その子はお腹の中にいる時から死ぬ日まで
神に仕えるナザレ人であるから
と言われたの 」
そこで、
マノア
は主に祈った。
「 すみません、主よ。どうか、先ほど遣わされた神の人に、もう一度お越し頂いて、その生れ来る子を、どう育てたら良いか、お教えください 」
神は
マノア
の願いを聞かれたので、女が畑仕事をしている際に、天使は再び現れられた。しかし、
マノア
は一緒にいなかったので、彼女は急ぎ走って行って夫に告げた。
「 彼が来られました! 先日、私に臨まれた人が、また、お見えになっています 」
マノア
は妻のあとについて行き、その方に会って聞いた。
「 あなたは、妻にお告げになったお方ですか?」
そのお方は言われた。
然り
なので、
マノア
は尋ねた。
「 あなたの言われたことが実現したら、その子の一生と仕事を、どう教えていけばよろしいのでしょうか?」
その主のお使いは言われた
我、先に彼女に言しところの事ども、慎むべきなり
すなはち葡萄の樹よりいづる者は全て食ふべからず
ワインと発酵酒を飲ず、また、すべて穢たるものを食ふべからず
全て、我が彼女に命じたることどもを守るべきなり
マノア
は主のお使いに言った。
「 どうか、あなた様のために子やぎを捧げさせてください。で、ですから、ちょ、ちょっとお待ちください 」
主のお使いは答えられた。
そなた、我を引き留めるも、我はそなたの食物を食らはじ
しかし、そなた、燔祭を備えんとならば
主に、これを備ふべし
マノア
は、その方が主のお使いであることが解らなかったのである。彼は主のお使いに聞いた。
「 お名は何とおっしゃいますか? あなたの言われたことが事実となったとき、私たちはあなたを崇めます 」
主のお使いは言われた。
何故に之を尋ぬるや?
そは、そなたらの頭では理解できぬ
それから
マノア
は穀物の捧げ物と共に若いヤギを取り、岩の上で主に捧げた。
彼と妻が見ている間、主は驚くべきことをされた。祭壇から炎が天に上がる時、その主のお使いは炎と共に上っていかれたのである。
マノア
と妻はそれを見て、地にひれ伏した。
再び、主のお使いが
マノア
と妻の前に現れることは無かった。
マノア
は、この方が主のお使いであったことを悟ったのであった。
「 俺たち 死ぬ運命だな。神と会うたのだから 」と、妻に言った。
しかし、妻は
「 主が、もし、私たちを死なせようとされたのなら、燔祭と穀物の捧げ物をお受けにならなかったでしょう。また、こういった事をお示しになったり、お告げなさったりはされなかったはずです 」と言った。
そうして、この女は男の子を産み、その名を
サムソン
(Samson) と付けた。その子は成長し、主から祝福された。
サムソン
がツォルア
=ゾラ
と エシュタオル
[Eshtaol]
の間にあるマハネ・ダン
[Mahaneh Dan]
に居た間、主のスピリットは彼を奮い立たせられたのである。
[13章]

※「 聖書地図 」より。ゾラ=ツォルア,テムナ=ティムナ。関連する場所に赤丸を付けた。
サムソン
はティムナ
[Timnah]
に下って行き、そこで 若いペリシテ人の女性を見た。 彼は戻って父母に言った。
「 俺、ティムナでペリシテ人の女を見たんだけど、その女を妻にしたいんだ 」
彼の父と母は答えた。
「 身内や同族の中に気にいる女は居るだろう。なんで、無割礼のペリシテ人から妻を迎えなきゃならないのかい?」
しかし、
サムソン
は父に言った。
「 彼女を妻にさせてほしいんだ。彼女は俺の心に叶うんだ 」
彼の両親は、それが主から出たものであったことを知らなかった。当時、イスラエルはペリシテ人に支配されており、主はペリシテ人に立ち向かう機会を求めておられていたのである。
サムソン
は両親と共にティムナに下って行った。
彼が一人、ティムナのぶどう畑に近づくと、突然、若いライオンが吠えて彼に向ってきた。その時、主のスピリットが力強く彼にふり降りて来たので、彼は素手で、あたかも子ヤギを裂くかのように、そのライオンを引き裂いた。しかし、彼は父にも母にも、その事は話さなかった。
ジョルダーノ 『 サムソンとライオン 』 1695-96  プラド美術館
Luca Giordano " Samson and the Lion "
それから、彼は、その女性の元へ行き話し合った。彼は彼女が気に入った。
数日して、
サムソン
は彼女との結婚のために戻ったが、その際に寄り道して、あのライオンの屍を見に行った。すると、その死体の中にミツバチの群れが居て、蜂蜜が出来ていた。彼は、その蜂蜜を手で掻き出して、舐め舐めしながら歩いて行った。両親と再び合流し、それをあげると、彼らも食べた。しかし、彼は、それがライオンの死体から取ってきたものであることは告げなかった。
さて、彼の父が、その女性に会いに行くと、
サムソン
は、花婿の慣わしであったように、結婚式の宴を催した。花嫁側の人々は
サムソン
を見て 30人の客を連れてきた。
サムソン
が言った。
「 一つ、なぞなぞを出しましょう。この 7日間の宴会のうちにそれが解けたら、私はリネンの服 30着と着替えの 30セットを差し上げます。しかし、それが解けなかったら、あなたたちが、私にリネンの服 30着と着替えの 30セットを呉れなければなりません 」と。
彼らは
「 よかろう。なぞなぞを出してくれ。聞こうじゃないか 」と答えた。
サムソン
が言った。
「 食らう者から、食べものが出
  強い者から、甘い物が出る
 これ、な~んだ?」
レンブラント『 サムソン,結婚式のテーブルで謎解きをあきらめて 』1638 ドレスデン国立美術館
Rembrandt van Rijn  " Samson, giving up the puzzle at the wedding table "
3日の間、彼らは、その なぞなぞが解けなかった。
4日目、彼らは
サムソン
の妻に言い寄った。
「 あんたの旦那に言って、あの なぞなぞの答えを聞き出してくれ。さもないと、あんたと親父さんの家を焼いてブチ殺すぞ。あんた、うちらの物を盗むために招待したのか?」
彼女は泣きじゃくりながら、
サムソン
の胸を叩いて言った。
「 あなた、私が嫌いなのね! 愛してくれてないわ。お客さんたちに なぞなぞを出したのに、私に答えを教えてくれないじゃない!」
彼は答えて言った。
「 俺の両親にさえも説明しておらんのに、なんで、お前に教えにゃならんのだ?」
7日間の宴の間、彼女は泣き続けた。あまりにも彼を責め続けるので、
サムソン
は最後の 7日目に、やっと謎解きをした。なので、彼女はお客の人たちに伝えた。
その 7日目の陽が落ちる前に、町の人々は
サムソン
に答えた。
蜂蜜より甘い物があろうか?
ライオンより強いものがあろうか?
サムソン
は言った。
「 うちの若妻を詮索せんかったら、なぞなぞは解けなかっただろうによ 」
この時、主のスピリットが力強く彼にふり降りて来た。彼は、アシュケロン
[Ashkelon]
に下って行くや、その町の人 30人をぶん殴り倒して すべてを剥ぎ取り、その服を、あの なぞなぞを解いた客人たちに渡した。 そして、怒り狂いながら、彼は父の家へ戻っていったのである。
サムソン
の妻は、宴に出席していた客の 1人に貰われていった。
[14章]
日が経って、麦刈の時期に
サムソン
は子ヤギを携えて妻を訪れ、
「 妻の部屋に入りますよ 」と言ったが、彼女の父は許さなかった。
「 あんた、あの子が気に入らんのだと確信したので、あの時の客人の 1人に呉てやったわい。どうじゃ、妹の方がかわいいだろう? 代わりに貰うてくれんかの 」
サムソン
は言った。
「 今回、俺はペリシテ人と平等な権利がある。本当に彼らに害を及ぼしますよ 」
そうして
サムソン
は出ていくや、300匹のキツネを捕まえて、2匹の尻尾を結び付けて各ペアを作った。そして、その尻尾の間に松明を立てて、それに火を付け、ペリシテの刈り取り前の麦畑の中に、そのキツネを放ったのである。積みわらと刈り取り前の麦を燃やし、葡萄とオリーブの畑も焼いてしまった。
ペリシテ人たちが
「 誰だ!? こんなことやったのは! 」と聞くと、
「 ティムナの婿サムソンだ。舅がそいつの妻を、宴の客人に呉てしもうたからだ 」
ペリシテの者たちは、彼女とその父の家に押しかけ、それを焼き払って 2人を殺した。
サムソン

「 あんたら、そんな事するんかぁ! 俺は、誓って、リベンジするまで止めんぞ!」と言い、彼はさんざんに攻撃して彼らを虐殺した。それから、降りて行ってエタム
[Etam]
の岩の裂け目に住んだ。
ペリシテ人は上って来て、ユダ
[Judah]
に陣を取り、レヒ
[Lehi]
の近くに広がった。
ユダの人々が聞く。
「 どうして我々の所に攻めのぼって来たのか?」と。
彼らは
「 サムソンをひっ捕えに来たのだ。我々に行った事を、あいつに仕返しするために 」と答えた。
そこで、3,000のユダの人々はエタムの岩の裂け目に下って行って、
サムソン
に会って言った。
「 おぬしはペリシテが我々の支配者であることを知らんのか? なんで、こんな事をしでかしてしまったのだ?」
サムソン
は彼らに言った。
「 あいつらが俺にやったことを、単に、俺は あいつらにしてやっただけさ 」
彼らが
サムソン

「 我ら、おぬしを縛ってペリシテ人の手に渡す 」と言うと、
彼は、
「 あんたら、俺を斬らないと誓ってくれ 」
「 もちろん。我ら、単に、おぬしを縛って彼らに渡すだけだ。殺しはせぬ 」と彼らは答え、2本の新しいロープで彼を縛って岩から引き上げた。
サムソン
がレヒに近づくと、ペリシテ人は歓声をあげながら向って来た。
その時、主のスピリットが力強く彼にふり降りて来た。彼の腕を縛っていたロープは焦げた亜麻のようになって、縄目が手から解けて落ちた。
彼はロバの新しいあご骨一つを見つけ、それを掴んで、1,000人もの人を叩き倒した。
サムソン
は言った。
ロバのあご骨をもって
奴らを骨抜きにし
ロバのあご骨をもって
1,000人 叩き殺した
そう言い終ると、彼はあご骨を投げ捨てた。これが故に、その場所は「あご骨の丘
[Ramath Lehi]
」と呼ばれた。
ティソ 『 千人を倒すサムソン 』 1896-1902頃
James Tissot " Samson Slays a Thousand Men "

レーニ 『 サムソンの勝利 』 1611-12
Guido Reni " The Victorious Samson "

彼はひどく喉が渇いており、主に向って叫んだ。
あなたは、この しもべに、この大きな勝利をもたらされました。
しかし、私は、もう 喉が渇いて渇いて死にそうで、
無割礼の者たちの手に陥いるのでしょうか?
そこで神は レヒに窪みを作られ、そこから水が湧き出た。
サムソン
はそれを飲んで力を取り戻し、そして復活した。 なので、その泉は「呼ばわった者の泉
[En Hakkore]
」と呼ばれた。これは今でも、レヒにある。
[15章]
ある日、
サムソン
はガザ
[Gaza]
へ行き、そこで 1人の遊女を見付け、そこで一夜を過ごした。
「 サムソンが来たぞ 」と、ガザ地区の人が告げると、彼らは町の門のところで夜通し待ち伏せし、彼の居る場所を取り囲んだ。
「 夜明けと共に、あいつを殺そう 」と言って、一晩中、彼らは微動だにせず待ち伏せしていた。
しかし、
サムソン
は夜中まで寝て、夜中に起き上がるや、町の門の扉と 2つの門柱に手をかけ、かんぬき もろとも引き抜いて肩にかけて ヘブロン
[Hebron]
の向いにある山の頂に運んで行った。
しばらくして後、
サムソン
は ソレク
[Sorek]
の谷にいる
デリラ
(Delilah) という名の女の所に入り浸るようになった。
モロー
『 サムソンとデリラ 』1882
 ギュスターヴ・モロー美術館
Gustave Moreau " Samson and Delilah "
ペリシテの司たちが彼女のところにやって来て言った。
「 お前、サムソンを言いくるめて、あの馬鹿力の秘密を聞き出して、どうしたら我々が あいつを縛り上げて苦しめることが出来るか見つけてくれ。そうしたら、我々それぞれ、お前に 銀 1,100シェケルずつあげよう 」
そこで、
デリラ
サムソン
に聞いた。
「 ねぇ、あなたの、その凄い力の秘密は何なの? どうやったら、縛っておとなしくさせることができるの? 」
サムソン
は答えて言った。
「 ん~、乾いたことのない 7本の新しい弓弦をもって俺を縛ったら、普通の人のように弱くなるかなぁ 」
そこで、ペリシテの司たちが乾いたことのない 7本の新しい弓弦を彼女のもとに持ってきたので、彼女は、それで
サムソン
を縛った。彼女は男たちを部屋の奥に忍ばせておいて
サムソン
を呼んだ。
「 サムソンさん、サムソンさん、ペリシテの人が迫ってます!」
しかし、
サムソン
はその弓弦を、あたかも亜麻糸を火に近づけると切れるように、いとも簡単に断ち切った。そうして彼の力の秘密は知れなかった。
デリラ
サムソン
に文句を言った。
「 あなた、私をからかって、嘘ついたわね。さぁ、どうやってあなたを縛ることができるか、教えてよ!」
彼は答えた。
「 そやな~、まだ使ったことのない新しいロープで俺を縛ったら、並みの人のように弱くなるんやないかぁ 」
なので、
デリラ
は新しいロープ持ってきて
サムソン
を縛り、男たちを部屋の奥に忍ばせておいて、
サムソン
を呼んだ。
「 サムソンさん、サムソンさん、ペリシテの人が迫ってますよ!」
しかし、
サムソン
は、まるで糸で巻かれていたかのように、プチっとロープを簡単に切り外した。
デリラ
サムソン
に言った。
「 いゃん、あなた、ずっと私をからかって、嘘ばかり言うのね。どうやったら、あなたを縛れるの?」
彼は答えて言った。
「 ほよの~、俺の頭の髪の毛 7房を機の縦糸と一緒に織って、それを釘で打ち付けておいたら、普通の人みたいに弱くなるんやないけ 」
なので、
デリラ
サムソン
が眠っている間に、その髪の毛の 7房に機の縦糸に織り込み、それを、釘で打ち付けておいた。再び、彼女が
「 サムソンさん、ペリシテの人が迫ってますよ!」と呼ぶや、彼は起き上がって、縦糸と共に機と釘とを引き抜いた。
彼女は言った。
「 私のこと信じてないのに、どの口して『 愛してる 』なんて言えるの? 私をからかうのも いい加減にしてよ。もう 3回もよ。その凄い力の秘密 教えてくれないじゃないの!」
そうやって
デリラ
サムソン
が病気になって死にそうになるくらい、毎日毎日、ねちねちと責めたため、とうとう、彼は全てを打ち明けた。
「 俺はお袋の腹の中に居た時から神に仕えるナザレ人なんで、生まれてからこの方、一度も頭にカミソリを当てたことが無いんだ。俺の髪の毛を剃ったら、力が抜けて、他の普通の人みたいになるだろう 」
デリラ
サムソン
がことごとく打ち明けたのを見てペリシテの司たちに言づけした。
「 もう一度おいでください。彼は全てを話しましたわ 」と。
なので、ペリシテの司たちは手に銀を携えて戻って来た。
彼女は
サムソン
を膝の上で眠らせると、人を呼んで彼の 7房の髪の毛を剃り落とさせ、彼を抑え始めた。そして、彼の力は抜けていったのである。

ホントホルスト『 サムソンとデリラ 』1621頃
 クリーブランド美術館
Gerrit van Honthorst " Samson and Delilah "

ルーベンス『 サムソンとデリラ 』1609-10頃  ナショナル・ギャラリー,ロンドン
Peter Paul Rubens " Samson and Delilah "
レンブラント 『 サムソンとデリラ 』 1628  個人蔵
Rembrandt van Rijn " Samson and Delilah "

デリラ

「 サムソンさん、ペリシテの人が迫ってます!」と言うと、彼は目を覚まして
「 前と同じように、いっちょ、自由に身震いしてくっかー 」と思ったのだが、彼は知らなかった。既に、主が彼の体を離れておられたことを。
そうして、彼はペリシテ人に捕えられ、両眼をえぐり取られた。
レンブラント
『 目を潰されるサムソン 』1636
 シュテーデル美術館
Rembrandt van Rijn " The Blinding of Samson "

ヤン・ステーン 『 サムソンとデリラ 』1667-70  ヴァルラフ=リヒャルツ美術館
Jan Steen " Samson and Delilah "

ペリシテ人は
サムソン
をガザに引っ連れて行き、青銅の足かせを付けて獄屋の中で臼を曳かせた。
しかし、その髪の毛は、剃り落された後に再び伸び始めていたのである。
さて、ペリシテの司たちは、
「 我らの神は、敵なるサムソンを我々の手中に渡された 」と言って、 彼らの神であるダゴン
[Dagon]
に盛大なる いけにえを捧げてお祝いをしようとイベントを開催した。
人々は
サムソン
を見て、自分たちの神を褒めたたえて言った。
我が神は、我らの敵を我々の手中に渡された
我々の国を荒し、我々を数多く殺した敵を
その集団はテンションがハイになって叫んだ。
「 サムソンを引っ張り出して見世物にしろ!」と。
なので、彼は牢屋から引き出されて、みんなから笑いものにされた。
彼らが
サムソン
を柱の間に立たせるや、彼は自分の手をひいている使いの者に頼んだ。
「 俺に、この神殿を支えている柱を探らせてくれ。それに寄り掛かれるように 」
その神殿には男女が満ち、ペリシテの司たちも そこに居て、屋上には 3,000人ほどの男女が
サムソン
のパフォーマンスを見ていた。
サムソン
は主に向かって祈った。
「 あぁ、至高の主よ、どうか、私を思い出してください。どうか、神よ、あと 1度だけ、私を強くしてください。この両眼のために、ペリシテ人に一撃でリベンジさせてください!」
そして、
サムソン
は神殿を支えている 2つの中央の柱に近づいた。右手を一方に、左手をもう一方に当てるや、
「 ペリシテ人もろ共に死なん!」 と言って、全力を込めて ぐいっと両柱を押すと、神殿全体が ガラガラと崩れて、中にいた司たちと全ての民の上に倒れ落ちたのであった。こうして、彼は生きていた時に殺したよりも、さらに多くの人々を殺した。
彼の身内の者たちや父の家族の者たちは 彼を引き取り、そして、ツォルアとエシタオルの間にある父
マノア
の墓に葬った。
サムソン
がイスラエルを率いたのは 20年間であった。
[16章]






更新情報:
 - Ver. 1.0:  2019年 3月 1日 公開