パリのギュスターヴ・モロー美術館が改装のため、モロー作品の貸し出しが実現した美術展。『 キマイラたち 』のような大きな作品の貸し出しは難しいとしても、結構、たくさん会えるかと楽しみにしていた展覧会です。
総論としては、汐留ミュージアムの展覧会であるためか、「モローの一番弟子であったルオーについて」という面を主題に置いた感が強かったように思います。出品数もモローとルオーと半々でした。
とはいえ、
『 ヘラクレスとレルネのヒュドラ 』
『 ハムレット 』
『 一角獣 』
『 セイレーンたち 』
などなど、国内では拝見できない作品が数多く出品されています。貴重な機会です。
パンフレットにも掲載されている、モローの『 ユピテルとセメレ 』は、同名の代表作の試作的作品。この後、あの、おどろおどろしい完成作へと向かうのですね。
また、『 油彩下絵 』という、大作の背景部分の試作がいくつか出ていましたが、これらは抽象絵画のようであり、新たな発見でした。
一方、ルオーについても、初期の頃は明暗表現の作品を描いており、当時、美術学校のみんなからは「レンブラントの再来」と言われていたとのこと。ある時期以降、彼独自の表現へと移行するわけですが、当初、そういう作品を残していたとは意外でした。
「 モローとルオー - 聖なるものの継承と変容 - 」
2013. 9. 7 – 12.10
汐留ミュージアム図録: ¥2,300
2013.12.20 – 2014. 3.23 松本市美術館 へ巡回
→ 気になる美術展一覧
9/15 岡田三郎助、熊谷守一 の各作品のサイズ(大きさ)を反映させました。作品サイズは所蔵美術館のページに記載しております。
9/14 今週の Happy Birthday! は 竹久夢二、9/16生まれ。この時期、代表作の『 黒船屋 』は、所蔵の 竹久夢二伊香保記念館 にて特別公開されます(要予約)。
9/13 再興第98回 院展(東京展)の感想 をブログにアップしました。一時期多かった廃船などを描いた寂寥トーンものは減ってきたかと思います。
9/12 古賀春江 各作品のサイズ(大きさ)を記載しました。日本洋画のサイズ記載は遅れているので少しずつ反映させていきます。
9/11 汐留ミュージアム所蔵の ジョルジュ・ルオー作品 を数点追加しました。極東の地に、これだけ多くのルオー作品が集まっているというのは特筆すべき事でしょう
9/10 汐留ミュージアムで始まった「 モローとルオー 」展(-12/10)、明暗表現による初期のルオー作品は「レンブラントの再来」と言われたそうで、新たな発見でした。
9/ 9 祝! 2020年東京オリンピック開催決定。7年後、自分は、あの人は、世の中はどうなっているだろう? と思うこと多いですね。
9/ 8 8月の高額落札アート作品 をブログにアップしました。この月は閑散期なのか、全体の落札額が小さいので5位までの掲載としました。
9/ 7 2015年にニューヨーク・75ストリートの地からダウンタウンの川岸へ移転予定の ホイットニー美術館、結構、形が出来てきています。
9/ 6 アメリカ・アトランタにあるハイ・ミュージアムは企画展に合わせてユニークなデザインを発表することがあります。今回、「 真珠の耳飾のツイッター 」 !?
9/ 5 今週の Happy Birthday ! は 堅山南風 9/12生まれ。早咲きの紹介のみが多く、生涯を通しての画業の解説が少ないのが少し残念です。
9/ 4 大方、パンフが配布されているということは、それだけプロモーションに力入っているということですが、今週から始まる秋の展覧会、大型ものが目白押しですね。
9/ 3 浮世絵の 太田記念美術館 のページを立てていませんでしたので公開しました。特別展は前後期で2回分あることがあるので、お金の計算必要ですね。
9/ 2 パワーズ夫妻のコレクションである「アメリカン・ポップ・アート展」の感想 をブログにアップしました。これだけ鑑賞できる展覧会は稀少だと思います ^^
9/ 1 秋の虫は鳴き出しましたが、いやいや、まだまだ、酷く暑いですね。今日で終わる展覧会も多く、お出かけの際は熱中症にお気を付けください。
今回は、なかなか時間が取れず、東京展終盤になって、やっと行けました。
いつもの通り、個人的に、各作品の前で、どう立ち止まったかのリスト(敬称略)。
◎ しばらく足が止まった作品
『 想 』 宮北 千織
『 夏の細道 』 北田 克己
『 花の中に 』 伊藤 髟耳
『 雪の音・橅の音 』 安原 成美
『 春爛漫 』 田淵 俊夫
『 Ataraxia の映帯 』 大久保 智睦
○ すこし足が止まった作品
『 空へ 』 郷倉 和子
『 莫妄想 』 藤城 正晴
『 百花為誰開 』 井手 康人
『 発電所跡 』 小野田 尚之
『 秋色の中で 』 杉山 紅
『 連なりのある街 』 中神 敬子
『 ひととき 』 武蔵原 祐二
※ 前回(第68回 春の院展)の感想
■ 再興第98回 院展 東京展
会場: 東京都美術館
期間: 2013. 9. 1 – 9.16 その後、全国各地巡回
HP: 日本美術院のホームページ
巡回展
京都市・京都市美術館: 9.20 – 10. 6
大阪市・大丸心斎橋店: 10. 9 – 10.15
山形市・山形美術館: 10.19 – 11. 4
安来市・足立美術館: 11. 8 – 11.26
名古屋市・松坂屋美術館: 11.30 – 12. 8
横浜市・そごう美術館: 12.12 – 12.28
岡山市・天満屋: 2014.1. 2 – 1.19
広島市・福屋: 1.23 – 2. 4
宇都宮市・東武宇都宮百貨店: 2. 8 -2.18
魚津市・新川文化ホール: 3.14 – 3.30
北九州市・北九州市立美術館分館: 4.21 – 5.18
江津市・今井美術館: 5.23 – 6. 8
毎月の定点観測です。8月は閑散期なのか、通常月と比して全体の落札額が小さいので5位までの掲載としました。Arthur Streeton はオーストラリアの風景画家です。
1. Arthur Streeton 『 Between the lights – Princes Bridge 』 110万ドル
2. Bridget Riley 『 Off 』 88万ドル
3. Arthur Streeton 『 A road to the Kurrajong (Also known as summer heat)』 40万ドル
4. Charles (Matthew) Meere 『 Australian Beach Pattern 』 38万ドル
5. Frederick Ronald Williams 『 Gum trees in a landscape IV 』 37万ドル
→ artnet の一覧はこちら(画像が見られますが、一月で更新されます)
8/31 気になるデパート物産展、秋の北海道物産展の情報が増えてきました。味覚の秋、本番ですね。美術展の帰りにどうぞ ^^
8/30 今週の Happy Birthday! は 国吉康雄、9/1生まれ。来年、アメリカのスミソニアン博物館で回顧展が開催されるそうです。
8/29 練馬区立美術館 の新画像DBに再設定しましたが、個別リンクは前キャッシュを読みこむようで表示不安定なので、すべて開始ページ(+マーク)設定としました。
8/28 9/3からの 東京国立近代美術館 「竹内栖鳳展」、長らく行方不明で最近発見された『 日稼 』1917(T06) が出品されるとのこと。縦2m超の人物画。楽しみです。
8/27 江戸東京博物館の所蔵日本洋画一覧のページ を立てました。といっても、川村清雄だけなのですが。情報把握の都度、追加していきます。
8/26 デトロイト美術館、市の財政破綻が認定されようとコレクションを売却する義務はありませんので、と徹底抗戦の構え。どうなって行くんでしょう ??
8/25 江戸東京博物館そば、北斎通りに建設予定の「すみだ北斎美術館」の建設デザインが決まったそうです。新たなスポットになると良いですね。企画展も期待。
【訂正】「すみだ北斎美術館」の建設は辞退により白紙に、が実態でした。失礼しました。
8/24 国立新美術館 「アメリカン・ポップ・アート 展」の図録は 3,500円。正直高いと思いますが、冒頭のキミコ・パワーズさんへの長いインタビュー記事は貴重。
8/23 マティス の『 ブルー・ヌード 』は、ポンピドゥ・センターとニースのマティス美術館とにあります。
8/22 新しくなった ベルギー王立美術館HPのコレクションDB、アンソール 等 のページのリンクを貼り替えました。
8/21 今週の Happy Birthday! は、少し先ですが、牛島憲之、8/29生まれ。2000年に府中市美術館で開催された展覧会の図録を掲載しました。
8/20 熊本県立美術館 のHPの画像データベースが改訂されていましたので個別作品リンクを貼り替えました。堅山南風や牛島憲之などの作品を鑑賞できます。
8/19 「アメリカン・ポップ・アート展」(-10/21)の影響でしょう。ロイ・リキテンスタイン のアクセス急増。これだけまとまって鑑賞できることは少ないですものね。
8/18 夜風が少し涼しく感じられるようになりました。花火大会が過ぎ、秋の虫が鳴き出して、秋の院展が始まる頃には過ごしやすくなると良いですね。
8/17 国立新美術館 の「アメリカン・ポップ・アート展」(-10/21)、ウォーホルによる“キミコ・パワーズ”の部屋は圧巻。このコレクションでしか実現できないでしょうね。
国内美術館にあるアメリカン・ポップ・アート作品の全てを集合させても、これだけまとまった展示はできないだろうと思えるくらい、強力なコレクションの展覧会です。そもそも、日本国内でアメリカン・ポップ・アートのみの作品展が開催されることは稀なのですが、ウォーホルだけでなくロイ・リキテンスタインやウッセルマン等の作品も数多くまとめて鑑賞できるというのは、ほんとうに稀少だと思います。
展覧会の流れは、抽象表現主義からポップ・アートへの橋渡しとなった、ロバート・ラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズから始まります。ラウシェンバーグの「コンバイン」シリーズ作品、さらには、ジョーンズの「ハッチング」シリーズ作品をまとめて鑑賞できたのは初めてでした。
続いて、ラリー・リヴァーズとジム・ダインへ、そして、「ソフト・スカルプチャー」のクレス・オルデンバーグと移ります。
そして、いよいよ、アンディ・ウォーホル となるのですが、『 キャンベル・スープ缶 』のみならず、『 電気椅子 』『 マリリン 』『 毛沢東 』『 花 』、、と代表作の大集合!
その中でも圧巻なのは「キミコ・パワーズの部屋」とも呼ぶべき、一室全部がウォーホルによるキミコ・パワーズさん作品で埋め尽くされたコーナー。これは、このコレクションでしか実現できないでしょう。
ココまでだけでもお腹いっぱいというところなのですが、次に、ロイ・リキテンスタイン。『 鏡の中の少女 』などの他に「モネの大聖堂シリーズ」まで逢えるとは感涙ものでした。
メル・ラモス、ジェイムズ・ローゼンクイストと来て、〆は、トム・ウッセルマン。線だけのヌードが妙にエロいんですが、さらには鉄をレーザーで切って具象的に表現した作品も出品されていました。
さて、図録の最初にキミコ・パワーズさんによる蒐集回顧談が掲載されています。力入れての購入という姿勢では無く、日々の茶飲み集まり的場所がギャラリーであって、気に入ったものを集めていったという話はおもしろかったです。
この図録、3,500円と、ちょい高めなのですが、アメリカン・ポップ・アートの流れを追って把握できるように解説されていますので、学術書としても重要でしょう。
これまでにアメリカ本国でも全貌が紹介される機会は無かったというパワーズ・コレクションの展覧会。必見です。
「アメリカン・ポップ・アート展」
国立新美術館
2013. 8. 7 – 10.21
→ 気になる美術展一覧