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「 観世音菩薩普門品 」 と絵画: その9


その8 その10

訳文:
しかし、観世音菩薩は、あえて、これを受け取られませんでした。
無盡意は、再度、観世音菩薩にお願いします。
「お願いです。私たちを愍んで、どうか、この瓔珞をお受けください」と。
その時、仏さまが観世音菩薩に言われました。
「まさに、この無盡意菩薩や四衆、天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩候羅迦の人非人 みーんなを愍んで、その瓔珞を受けられるのが良いでしょう」
その時、観世音菩薩は、諸々の四衆、及び 天・竜の、人非人等を愍みて、その瓔珞を受け取るや、それを二つに分け、一つを釈迦牟尼
(シャーキヤ=ムニ)
さまに、もう一つを多宝
(プラブータ=ラトナ)
仏塔に奉られたのでありました。
「ね、 無盡意さん、観世音菩薩には、このような自由自在の神力があって、この人々の世界に遊ばれるのですよ」
その時、無盡意菩薩は、偈をもって、問うて言いました。

安田靫彦:矜羯羅
安田靫彦 『 矜羯羅 』1921 (T10)  桑山美術館

読み下し文:
時に観世音菩薩、肯
(あえ)
て これを受けず。
無盡意、また、観世音菩薩に白
(もう)
して言
(もう)
さく
「仁者、我等を愍
(あわれ)
むが故に、この瓔珞を受けたまえ」
その時、仏、観世音菩薩に告ぐ。
「まさに、この無盡意菩薩、及び 四衆、天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩候羅迦 人非人 等を愍むが故に、この瓔珞を受くべし」
即時
(そのとき)
、観世音菩薩、
諸々の四衆、及び 天・竜 人非人等を愍みて、その瓔珞を受け、
分ちて二分と作し、一分
(いちぶん)
を釈迦牟尼仏に奉り、一分を多宝仏塔に奉れり。
「無盡意、観世音菩薩、かくの如き自在神力有りて、娑婆世界に遊ぶ」
その時、無盡意菩薩、偈を以て問うて曰く。

白文:
時観世音菩薩 不肯受之
無盡意 復白観世音菩薩言
 仁者 愍我等故 受此瓔珞
爾時 仏告 観世音菩薩 当愍 此無盡意菩薩
 及 四衆 天 龍 夜叉 乾闥婆 阿修羅 迦楼羅
 緊那羅 摩候羅伽 人 非人 等故 受是瓔珞
即時 観世音菩薩
 愍諸 四衆 及於 天 龍 人 非人等 受其瓔珞
 分作二分 一分奉釈迦牟尼仏 一分奉多宝仏塔
無盡意 観世音菩薩 有如是自在神力 遊於娑婆世界
爾時 無盡意菩薩 以偈問曰

English:
However, Bodhisattva Avalokitesvara
( kanzeon/ Guan Shi Yin )
did not
dare to accept it.
Bodhisattva Akshayamati asked again
Bodhisattva Avalokitesvara
( kanzeon/ Guan Shi Yin )
,
"Please have mercy on us, please accept this vase."
At that time, the Buddha said to Bodhisattva Avalokitesvara
( kanzeon/ Guan Shi Yin )
"It would be good to receive the jewels since you sympathize with
the four sentient beings, the Devas, Nagas, Yakshas, Gandharvas,
Asuras, Garudas, Kinnaras, Mahoragas etc.. such as non-humans.
So, Bodhisattva Avalokitesvara
( kanzeon/ Guan Shi Yin )
sympathized with
the four sentient beings, the Devas, Nagas etc.. such as non-humans
and received the jewels, then he divided it into two parts, and offered
one part to Buddha Sakyamuni and the other part to the Taho stupa.
"Hi, Mr. Akshayamati, Bodhisattva Avalokitesvara
( kanzeon/ Guan Shi Yin )
has
such free and unlimited divine power and play in the world of these people."
At that time, Bodhisattv Akshayamati asked in chorus.