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「 長恨歌 」 と絵画: 第五段


白居易「 長恨歌 」第五段と絵画を紹介するページです。
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訳文:
翠華(翡翠の羽を飾った帝の御旗)は、ゆらゆらと進んでは、
また止まり、
都(長安)の門を西へ出でて百里あまり、
六軍(帝直属の軍隊)は楊貴妃の引き渡しを求めて動かず、
どうすることもできません。
そして、宛転蛾眉(美しく湾曲した眉の楊貴妃)は、
馬の前で締め殺されてしまいました。
花鈿(螺鈿のかんざし)は地にうち捨てられて取り上げる人なく、
翠翹(翡翠の尾の形の髪飾り)・金雀(雀の形のかんざし)・
玉搔頭(宝玉のかんざし)も。
帝は顔を覆うばかりで、助けることが叶わず、
返り見ては、血の涙を流されたのであります。

狩野山雪:長恨歌画巻5
狩野山雪『 長恨歌画巻 』より
 チェスター・ビーティー・ライブラリ
読み下し文:
翠華、揺揺として、行きて復た止まる
西のかた都門を出でて百余里
六軍発せず、奈何ともする無く
宛転たる蛾眉、馬前に死す
花の鈿、地に委ねられて、人の収むる無し
翠翹・金雀・玉搔頭
君王、面を掩ひて救ひ得ず
迴り看れば、血涙、相和して流る

白文:
翠華揺揺行復止
西出都門百余里
六軍不発無奈何
宛転蛾眉馬前死
花鈿委地無人収
翠翹金雀玉搔頭
君王掩面救不得
迴看血涙相和流