← 第十三段 |
訳文:
方士との別れに際して、重ねて丁重に言葉を託しました。言葉の中に、帝と楊貴妃だけが知る言葉がありました。 それは、七月七日の長生殿、 誰もいない夜中に二人で語り合った言葉でした。 「天にあっては、願わくば、比翼(雄雌一体)の鳥となり、 地にあっては、願わくば、連理(根は異なるが上は一体) の枝となりましょうね」 天は長く、地は久しくとも、いつかは尽きる時があります。 しかし、この二人の悲しみは、綿々といつまでも尽きることは無いのでございましょう。 |
※ 鈴木春信『 玄宗皇帝楊貴妃図 』 MOA美術館 |