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「 長恨歌 」 と絵画: 第十段


白居易「 長恨歌 」第十段を紹介するページです。
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訳文:
この時、臨邛生まれの道士が鴻都(長安)を訪れておりました。
この者は、精誠(真心を込めた精神)で、死者の魂を招き寄せることが出来るというのです。
待臣たちは、思い焦がれて眠られない帝を気の毒に思い、
この方士に、楊貴妃を殷勤に探し求めさせることにしました。
方士は、大空を押し開いて大気に乗って雷のごとく走り、
天に昇り、地に潜って、くまなく探し求めました。
上は碧落(大空)を極め、下は黄泉(地の底)まで探したのですが、
どちらも茫茫として(広々としているだけで)、妃の姿は見あたりません。
狩野山雪『 長恨歌画巻 』より チェスター・ビーティー・ライブラリ

読み下し文:
臨邛の道士、鴻都の客
能く精誠を以て魂魄を致す
君王、展転の思ひに感ずるが為に
遂に、方士をして殷勤に覓めしむ
空を排し気を馭して、奔ること電の如し
天に昇り地に入りて、之を求むること遍し
上は碧落を窮め、下は黄泉
両処茫茫として、皆見へず

白文:
臨邛道士鴻都客
能以精誠致魂魄
為感君王展転思
遂教方士殷勤覓
排空馭気奔如電
昇天入地求之遍
上窮碧落下黄泉
両処茫茫皆不見