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訳文:
都に還ってみれば、池も庭も、みな昔のままで、太液池には芙蓉(蓮の花)が開き、未央宮には柳が垂れています。 芙蓉は楊貴妃の顔のよう、柳は妃の眉のようであり、 これを見て、どうして涙を流さずにおられましょう。 春の風に桃李の花が開く夜、 秋の雨に梧桐の葉が落ちる時、 西の御殿や南の庭園には秋草が生い茂り、 落葉が階を赤く染めても、掃き清められることもありません。 かつての梨園(帝が養成した歌舞団)の弟子たちも白髪が目立ち、 椒房(妃の居室)の阿監(宮女監督の女官)の青娥(青い眉)も、 すっかり老いてしまいました。 |