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「 長恨歌 」 と絵画: 第十一段


白居易「 長恨歌 」第十一段と絵画を紹介するページです。
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訳文:
にわかに聞いたところによると、海上に仙山という所があるとのこと。
その山は何物も存在しない、縹緲たる(ぼんやりとした)所にあって、
楼閣は玲瓏として(玉のように透き通っていて)、五色の雲がたなびいております。
その中に綽約とした(美しい)仙女がたくさん在り、
そのうちの一人に、太真という字の仙女が居て、
雪のような膚、花のような容貌、それは参差(間違いなく)楊貴妃だというのです。
かの方士は金闕(金殿)の西廂(西の建物)を訪れて、玉扃(宝玉で飾られた扉)を叩きました。
小玉、双成に取り次いで、自分が来たことを伝えてもらいます。
「漢の天子の使いである」と聞いて、
九華帳(華麗な刺繍の帳)の中で寝ていた楊貴妃は、驚いて目を覚ましました。

読み下し文:
忽ち聞く、海上に仙山有りと
山は虚無縹緲の間に在り
楼閣、玲瓏として、五雲起こり
其の中に綽約として、仙子多し
中に一人有り、字は太真
雪の膚、花の貌、参差として是なり
金闕西廂、玉扃を叩き
転じて、小玉をして双成に報ぜしむ
聞く道く、漢家の天子の使ひと
九華帳裏、夢中に驚く

吉川霊華:羽衣翔飜
吉川霊華羽衣翔飜

1923 (T12) 
東京国立近代美術館

(直接に、長恨歌を題材にした作品ではありません)


白文:
忽聞海上有仙山
山在虚無縹緲間
楼閣玲瓏五雲起
其中綽約多仙子
中有一人字太真
雪膚花貌参差是
金闕西廂叩玉扃
転教小玉報双成
聞道漢家天子使
九華帳裏夢中驚